自殺の問題(6)−どうすれば自殺を防げますか

               自殺の兆候を見分ける
日本でも、周囲が問題を真剣に扱わなかったために、子供の自殺を防ぐことができなかったという事件が起きています。では、どうやって未然に自殺を防ぐことができるでしょうか。


若者の自殺について、「統計的に見ると,自殺の前には,自殺未遂や自殺の暗示,予告などの先行する例が少なくない」とキャスリーン・マッコイ博士は書いています。また,「子どもが自殺を口にするようなことがあれば,じゅうぶん気を配るべきで,専門家の助けを求めたほうがよいかもしれない」とも述べています。
 

親や他の大人は若者の自殺志向のどんなサインも真剣に受け止めるべきだと言えます。「調査した自殺の事例はたいてい,若者に自殺の兆候が見られても,見過ごされたり軽視されたりしていた」と,アンドルー・スラビー博士は自著「だれも分かってくれなかった私の苦しみ」(英語)の中で書いています。


「家族や友人は自分の見ている変化の大きさが分からなかった。現われた変化に気が取られ,根底の問題に注意が向けられなかったため,“家庭内のトラブル”とか“麻薬使用”とか“拒食症”のためと判断した。怒りや錯乱やかんしゃくであれば対処もしただろうが,抑うつの場合はそうしなかった。根底の問題は残り,苦悩やうっ屈した気持ちは深まった」。


今日、専門家たちは、多くの自殺の背後にうつ病などがあると述べています。それで、周囲の人は、問題となっている人の行動の背後にうつ病抑うつ状態があることを洞察できます。それは、自殺につながるかもしれません。自殺を防ぐために、うつ病などの病的な状態を見分けて配慮を払う必要があります。


               一般的な症状


うつ病の一般的症状としてどんなものがあるでしょうか。ここでは、若者と述べていますが、これは年をとった人にも当てはまるでしょう。このリストは、自殺の危険のあるうつ病を周囲の人が、見分けるのに助けになります。



気分や行動の急な変化。

以前は素直だったのに,急に対立的になる。うつ病の若者は,反抗的になったり家出をしたりすることも多い。


社会からの孤立。



Leaver by jennifercw
孤立していることはうつ病の兆候かもしれない

友人から遠ざかりがちになる。ある人の態度や行動の好ましくない変化に気づいて,友人のほうから遠ざかることもある。


ほとんどすべての活動に対する興味の減退。

ひどく受動的になる。少し前まで熱中していた活動に対する関心を急に失う。


食習慣の目立った変化。

うつ病と共に、時にはうつ病のために,拒食症,過食症,強迫性過食など,摂食障害に陥ることが少なくない,と多くの専門家は考えている。


睡眠障害

眠れなかったり,眠り過ぎたりする。睡眠の習慣が乱れ,一晩じゅう起きていて,日中は眠っている人もいる。


危険な,または自己破壊的な行為。

“無鉄砲な”行動が見られるなら,生きることへの関心をほとんど失っているかもしれない。自傷行為(皮膚に切り傷をつけるなど)がうつ病の症状であることもある。


無価値感や不適切な罪悪感。

自己批判の気持ちが強く,実際にはそうではないのに,自分はまったくだめな人間だと思い込む。


心身相関の問題。

身体的な原因がまったく見当たらないのに,頭痛,腰痛,胃痛など,体の不調があるかもしれない。それは,うつ病が潜んでいることを示しているかもしれない。


死や自殺についての反復思考。

何か恐ろしい事柄や、死や自殺についていつも考えているかもしれない。自殺をほのめかすこともある。


成績の低下。

学齢期の若者の場合は、先生や友人との関係がうまくゆかなくなり,成績が急に下がることもある。やがて学校にまったく行きたがらなくなる。


とりわけ親は子供に以上のような症状が見られる場合、子供に自殺の危険があることを考慮した方がいいかもしれません。子供が反抗的な態度を表したり、粗暴な行動をとったりする場合、周囲はおうおうにして怒りを感じるかもしれません。しかし、その背後に深刻なうつ状態があるかもしれないことを洞察するなら、思いやりを示す助けになります。うつ病を治療すれば、そうした望ましくない振る舞いは和らぐかもしれません。


        どうすれば自殺の恐れのある人を助けられますか


自殺を考えている人は、意思が完全に固まっている人はまれで、多くの場合、心の中では死の瞬間まで死のうか止めようかと激しく揺れ動いています。心理的に自殺に追い込まれていく中で、救いの入るのを待ち望む心が、言葉や行為の形で死の予告を発信させます。これが、自殺のサインです。


ほかの人から自殺したいと打ち明けられたなら,どうしたらよいでしょうか。その自殺のサインを見過ごしたり、軽視したりしないようにしましょう。その言葉を真剣に受け取りましょう。米国疾病・予防対策センター(CDC)は,「よく話を聴いてください」とアドバイスしています。その人が自分の気持ちを言い表わせるようにしてください。



Serious conversation? by bardgabbard
死にたいと打ち明けられたらよく話を聴いてください






耳を傾けるときには,感情移入をする必要があります。「本人の命があなたにとっても他の人たちにとっても重要であることを強調するのは大切です」とCDCは述べています。その人の死が,あなたにも他の人にも,どれほどのダメージを与えるかを伝えてください。また、創造者が気遣っておられることを認識できるようにすることも助けになるはずです。(ペテロ第一 5:7)


その人の長い間の粗暴な行動のゆえに、周囲の家族が当人に対する愛が薄らいでいることもあるかもしれません。ですから、家族でなくても、自分の知り合いに自殺をほのめかす人がいる場合、可能なら助けを差し伸べる方が愛があることです。しかし、とりわけこの点で、親には子供を助ける責任があります。


専門家は,特に銃器など,自殺の道具となるようなものを一切取り除くことも勧めています。これは、致死的な農薬や薬物、睡眠薬などについても言えるでしょう。多くの場合、医療や専門家の助けを受けるよう勧めることが賢明です。


以上はウィキペディアなどネットの情報や目ざめよ2001年10/22号 2001年9/8号を参考に再構成したものです。次回は、「自殺の問題(7)−身近な人が自殺してしまった時」を取り上げます。


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