気分障害に取り組む(4)−他の人はどのように助けになれるか

先回、「気分障害に取り組む(3)−さまざまな実際的な助け」をアップしました。今回は、気分障害を患う人のために他の人はどのように助けになれるかについて取り上げたいと思います。

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                           病気であることを認める
身近な家族や友人、同僚にうつ病双極性障害などの気分障害を抱えた人がいる場合、他の人はどのように助けになれるでしょう。まず、気分障害うつ状態躁状態が病的なものであると認識することが必要です。
米国精神疾患連盟のD・J・ジャフィーは,次のような適切なアドバイスを与えています。「病気とその人個人とを混同しないでください。病気を憎んでも,その人を愛してください」。


本人も周囲もそもそも病気であるという認識を持たなければ、治療を受け、改善していくことは難しくなります。それで、病気であることを理解して、その人を思いやりをもってみることが必要です。


                     医療の助けを求めるよう勧める


聖書は,ただ霊的な活動を増し加えるだけで医学的な問題が解決するとは述べていません。病気なのですから、祈りに調和して医者の助けを求めたり、実際的な対策を取ることが必要になります。イエスは,身体的に病んでいる人には医者が必要なことを認めました。(マタイ 9:12)


心理的葛藤に起因しないうつ病の場合 セロトニンノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっていると推測されています。統計やさまざまな経験は、抗うつ剤など医療上の助けによって気分障害が好転する人もいることを示しています。多くの場合、重度のうつ状態の場合、坑うつ薬が効果的な場合があると言われています。また、専門家のカウンセンリングも助けになるかもしれません。ですから、気分障害を抱えた人が医療上の助けを得るよう勧めることもできます。


                     あなたの家族が気分障害を抱えている場合


気分障害は、栄養素の欠如が原因になる場合もあることを多くの研究は示しています。それで、たんぱく質やビタミンB群の豊かな食事を準備するように心がけることができます。このことは、とりわけ一家の食事を準備することの多い母親や妻に求められるでしょう。(箴言31:15)

                         
                 気分障害の人に辛抱強さを示し支える   


医療の助けを得るよう勧めること以外にも,周囲の人が支えになるために行なえることはたくさんあります。言うまでもなく,辛抱強さが求められます。聖書は,「憂いに沈んだ魂に慰めのことばをかけ、弱い者を支え、すべての人に対して辛抱強くありなさい」とクリスチャンすべてに勧めています。(テサロニケ第一 5:14)


感情移入を示してうつ病になるのはその人自身が悪いというようなことは言わないようにすることが必要です。(コリント第一 10:24。フィリピ 2:4)気分障害がとりわけ重度の場合、身体的な原因でなることが多いのです。最近は野菜の栄養素が減ってきていることや、汚染のために体に害を及ぼす化学物質や重金属が蔓延しているために、気分障害を抱える人も多くなっているかもしれません。また、今の時代は誰でも「対処しにくい危機の時代」です。(テモテ第二2:1)多くの人は、この時代のもたらすストレスに対処し切れず、うつ病になってしまいます。


病気の人がうつ状態の時に、仕事、家事、霊的な活動など、状態がいい時にできる多くのことを十分できない場合があることを認める必要があります。それは、インフルエンザにかかっている人が仕事を休んだり、家事ができないのと同じです。無理な期待をして重荷を負わせないようにすることが必要になるでしょう。


多くの経験は、気分障害に悩む人の家族や友人のサポートは、気分障害を忍耐したり、乗り越えて通常の社会生活を送れるようになるために大きく貢献することを示しています。


本人が回復するまで、例えば、一家の稼ぎ手であっても、仕事ができないことを認めたり、主婦であっも、家事という荷を担うことを期待しないようにして、その人の重荷を軽くすることができます。



We make a good team
気分障害に悩むあなたの家族を支えましょう


しかし、このことは、家族や友人に本当に愛と辛抱強さを求めることになるでしょう。例えば、家族の頭が仕事ができない場合、家族の他の成員が働いて家計を補うことが必要になるかもしれません。主婦が家事をできないことを認めることは、他の家族に余分の家事を行なうという負担をもたらすでしょう。それは、家族にとって余分の荷を意味します。しかし、そうした荷をになうことは、弱い者を支える愛の労苦であり、家族の絆を保ち、エホバに喜ばれることになります。(テサロニケ第一1:2,3)


Husband Cooking Is My Favorite Thing ! by chickadeeacres
気分障害の妻の代わりに夫が料理をすることが必要かもしれません



ネットには、うつ病に悩む妻がしばらくの間実家で静養することを許す夫の例や、妻がうつ病の夫の代わりに働いたり、うつ病の兄弟を気遣う妹たちのエホバの証人の経験が見られます。


気分障害を抱えている人たちは,そうした支えが差し伸べられる場合、当然のことと考えるのではなく、感謝することが必要でしょう。
                   共に気分障害に立ち向かう


家族や友人は,気分障害を抱える人と共に、気分障害に立ち向かうことができます。マリオは,早い時期にそのことをしました。マリオの妻ルシアは双極性障害を患っています。マリオはこう述べています。「当初,妻と一緒に医師のもとへ行くことや,この不可解な疾患について勉強して,自分たちの立ち向かっているものに精通することが助けになりました。ルシアとわたしは,二人でよく話し合い,時と共に状況がどう変わっても一緒に対処しました」。


              気分障害を抱えた人のために祈る


弟子ヤコブは,霊的な問題を抱えた人に関連して、「互いのために祈りなさい。それは,あなた方がいやされるためです。義にかなった人の祈願は,それが働くとき,大きな力があります。」と書いています。(ヤコブ 5:16)ですから、気分障害を抱えた人のために祈ることができます。当人の気分障害がもたらしている気がかりな状況についても、いつでもエホバに祈ることができます。エホバの目に義にかなった人による利他的な祈りは一層エホバに聞かれるでしょう。(詩編 55:22。フィリピ 4:6,7)


ヤコブが述べたのは,霊的に病んでいる人に関してでしたが、「信仰の祈りが病んでいる人をよくし,エホバはその人を起き上がらせてくださるでしょう」と述べています。(ヤコブ5:15) そして、エホバに祈って頼るよう気分障害を患う人に勧めることができます。また、共に祈ることもできるでしょう。


聖書は、今の事物の体制下で、身体的な病気が奇跡的に治ることを約束していません。しかし、エホバは気分障害を患う人に病気に対処する知恵を与えてくださり、その対処法はある程度うまくいくかもしれません。(ヤコブ1:5)


気分障害は長引いたり、再発したり、慢性病化することもあります。しかし,神の新しい世では「『わたしは病気だ』と言う居住者はいない」と聖書は約束しています。(イザヤ 33:24)気分障害をはじめ,あらゆる病気が永久になくなる新しい世に関する神の約束があるのですから,気分障害に悩む人が忍耐し続けるように励ますことができます。


祈りによってエホバ神の助けを得ながら、気分障害に悩む人を支えていきましょう。

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