ダニエル7章・四番目の獣の小さな角と神の王国の実現

「わたしがずっと見ていると、ついにその獣は殺され、その体は滅ぼされて燃える火に渡された。また、残りの獣たちについては、その支配権は取り去られたが、一時また一時節のあいだ命を延ばすことが許された。」(ダニエル7:11,12)


ダニエル7章では、ダニエルが見た預言的な夢が説明されています。夢の中でダニエルは海から四つの獣が出てくるのを見ます。また、ダニエルは、四番目の獣に小さな角が現れ、滅ぼされるのを見ます。ダニエル7章の預言から何を学ぶことができるでしょうか。


その中で、ダニエルは、古代バビロンから世の終わりに至るまでの世界強国について説明しているようです。さらにダニエルはそこで、聖なる民すなわち14万4千人が天に復活して神の王国に入る時を説明しているようです。ダニエルが見た海から上がってきた四つの獣は、バビロン、メディア・ペルシャギリシャとそれから派生する世界強国、そしてローマとそれから派生する世界強国です。(ダニエル7:3-7) 今回はその細かい説明は省きます。



The Arch of Titus from outside the Forum, Rome, Italy.
Located at the highest point of the Via Sacra which leads to the Roman Forum, this triumphal arch commemorates Titus' conquest of Judea which ended the Jewish Wars (70).
ダニエル7章の四番目の獣はローマ帝国とそれから派生した諸国家


今回、とりわけ四番目の獣に生えている小さな角に注目します。その小さな角は、四番目の獣から生えていた十本の角の間に生えてきます。(ダニエル7:8)そして、「聖なる者たちに戦いをしかけ、小さな角が彼らに対して優勢にな(ります)」(ダニエル7:21)


四番目の獣はローマ帝国で始まっています。ローマ帝国からヨーロッパのさまざまな諸国家が登場しました。そして、16世紀後半からイングランドスコットランド、フランス、スウェーデン、スペイン、オランダが北アメリカ東部を植民地にして、アメリカはそれらの諸国家から西暦1776年に独立して誕生しました。ですから、アメリカはローマ帝国の流れを汲んでおり、比較的近年になって登場した世界強国です。


小さな角は、「聖なる者を悩ます」と述べられています。(ダニエル7:25)また大いなるバビロンは、「聖なる者」に対して流血を伴う迫害を行なうことが預言されています。(啓示17:6)この小さな角の特徴と大娼婦に関する特徴は合致します。


しかし、エホバ神の天の法廷が開かれ、小さな角は裁かれることになります。(ダニエル7:9,21)「その獣は殺され、その体は滅ぼされて燃える火に渡され」ます。(ダニエル7:11)「残りの獣たち」は「一時また一時節のあいだ命を延ばす」ことになります。(ダニエル7:12)小さな角は「その獣」ですから、ひとつの世界強国です。その世界強国の滅びを生き残る獣たちがいます。ですから、その小さな角は、世の終わりではなく、この事物の体制が存続している間に、滅ぼされます。


啓示の書によると、大娼婦大いなるバビロンは、エホバ神から法的な裁きを受けて滅ぼされることになっています。大いなるバビロンについては、「[神]は,その淫行によって地を腐敗させた大娼婦に裁きを執行し(た)」と述べられています。(啓示19:2;17:16)そして、大いなるバビロンの滅びの後、「地の王たち」は大いなるバビロンの被った裁きを悲嘆すると述べられています。(啓示18:9,10)ですから、大いなるバビロンの滅びの後存続する政府があります。ですから、大いなるバビロンは、この事物の体制が存続している間に滅ぼされます。


ですから、四番目の獣の小さな角の特徴と、啓示の書の大いなるバビロンの特徴が合致します。四番目の獣の小さな角と、啓示の書の大いなるバビロンは、同じ実体であるに違いありません。



Statue of Liberty by aherrero
ダニエル7章四番目の獣の小さな角は大いなるバビロンアメリカ合衆国



今回注目したいもう一つの点は、「聖なる者たち」が「王国を取得する」のは、大いなるバビロンの滅びの前後であるとダニエル7章が述べているように思われることです。(ダニエル7:13,14,18,22)


「王国と、支配権と、全天下のもろもろの王国の偉観とは、至上者の聖なる者たちである民に与えられ(る)」ことが予告されています。(ダニエル7:27)ところが、聖なる者たちが神の王国を取得するのは、小さな角が「聖なる者たちを絶えず悩ま(し)」、その後、「法廷が座に着いて」、裁きを下し、小さな角を「滅ぼし尽く(した)」後のようです。(ダニエル7:26)また、「日を経た方」が、「人の子」に「王国」を与えるという記述も、小さな角が滅ぼされるという記述の後に出てきます。(ダニエル7:11,13,14)


しかし、聖書は確かに、イエスがまず王権を手に入れられ、その後、イエスは地上のご自分の追随者の業を検分され、その後、地上のイエスの弟子たちが王国の報いを得ると述べています。(ルカ19:12,15,26。啓示6:2;7:4)イエスが王となる時と、聖なる者たちが王権を与えられる時は、時間差がある筈です。ですから、イエスが西暦1914年に天で王権を与えられ、小さな角、大いなるバビロンの滅びの後に、聖なる者たちが王国を取得すると考えることもできると思います。


ですから、私は、神の天の王国が設立される時に関するエホバの証人の説明は正しい可能性もあると考えています。現時点で、天でイエスはまず、西暦1914年に神の王国の王として即位したということを決定的に否定する聖書的根拠はないのではないかと思います。しかし、ダニエル7章の預言は少なくとも、聖なる者たちが王国を取得するのは、大いなるバビロンの滅びの後だと述べているようです。なぜなら、聖なる者たちは、小さな角によって悩まされる筈だからです。


聖なる者たちが王国を取得するとは、聖なる者たちが迫害のもとでも、「死に至るまで」忠誠を保つことを意味しています。聖なる者たちがそうする時、エホバは報いとして彼らを不滅の霊者として復活させます。(啓示2:10,11。コリント第一15:53,54)そして、彼らは神の王国の一部となります。


ですから、現時点では、私はダニエル7章の預言によって、イエスが西暦1914年に天で王権を与えられたことを決定的に否定するとは思いません。しかし、「人の子」イエスが王国と支配権をエホバからいただく時も、大いなるバビロンの滅びすなわち大患難の前後の可能性もあると思います。


ダニエル7章の預言は、大患難の前に一部の聖なる者たちが、南の王すなわち大いなるバビロンによって、迫害され殺されることを示唆していると思います。しかし、エホバは聖なる者たちを助ける裁きを下されるのですから、大いなるバビロンの滅びを生き残る聖なる者たちも大勢いると考えられます。


しかしながら、大いなるバビロンの滅びの後には、聖なる者たちに神の王国が与えられること、すなわち彼らが忠誠のうちに死ぬことが示唆されています。ダニエル書は、北の王によって「聖なる者たち」すべてが滅ぼされてしまうことを示唆しています。(ダニエル8:24)そのようにして、神の王国の14万4千人という定員が満たされていくことになるのではないかと思います。


しかし、聖なる者たちが小さな角つまりアメリカによって悩まされることになるというダニエル7章の預言も、聖なる者たちが、大いなるバビロンから早急に出る必要性を示していると思います。(啓示18:4)神の王国が実現する時について、さらに聖書の預言を検討していきたいと思います。


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