原発の安全性−原発事故は何千キロもの範囲で被害をもたらす

 原発は非常に危険です。なぜなら、いったん原発事故が起きるとその被害は非常に大きなものになります。その被害は何百キロ、何千キロもの範囲に影響し、また何十年にも及びます。1986年4月にウクライナチェルノブイリ原発事故が起きました。チェルノブイリは、ウクライナベラルーシのおよそ中央の国境付近にあります。両国の大部分がチェルノブイリからおよそ500キロ圏内に位置します。




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ウクライナチェルノブイリ原発の位置



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チェルノブイリ原発事故により多量の放射性物質が放出されウクライナの近隣諸国は人口が減少することになりました



 事故以来、ウクライナでも、ベラルーシでも人口は減少しています。ウクライナでは、かつて約5200万人だった人口は、2011年には約4560万人となり、事故後約20年の間に640万人あまり1割以上の人口が減少しました。国連の報告では、ウクライナは、「世界で最も人口減少の激しい国の一つ」と警告されました。


 ベラルーシは、事故の発生した1986年には1000万人に達しました。しかし、事故8年後の1994年から徐々に減少し始め、2010年に948万人になりました。両国とも、死亡者数が確実に増え、新生児数が減りました。


 また、放射能は、人々の精神機能に悪影響があります。チェルノブイリ認知症が知られていますが、放射線障害として人々はうつ病、記憶喪失、統合失調症慢性疲労症候群失語症、集中力の喪失などの精神障害に悩まされることになります。また、自殺者も多くなります。統合失調症の専門家であるP.フロ−ル・ヘンリ−の報告によれば、被爆した人は、脳が器質的に変化し、脳波検査によって客観的に診断できるとのことです。


放射線被ばく後の神経障害と精神障害
仙台市に住む大学生の脳の「海馬」が原発事故から1年後に萎縮していた


 チェルノブイリの事故によって放出された放射能また、その後に放出された放射能は、チェルノブイリの周辺の諸国に広範囲にわたって影響を及ぼし、自殺率を高くしたようです。


 WHO(2009年)による世界の国の自殺率順リストによると、チェルノブイリの周辺の諸国家がのきなみ上位にあります。一位は韓国ですが、二位はリトアニア、三位は旧ソ連の核実験地があったカザフスタン、四位がベラルーシ、六位がロシア、八位がウクライナ、十位がウクライナの西にあるハンガリー、十一位がベラルーシの隣のラトビア、十二位がハンガリーの隣のスロベニア、十三位がハンガリーの隣のセルビア・モンテネグロ、十四位がフィンランドです。


このデータは、1986年のチェルノブイリ事故で放出された放射能チェルノブイリ周辺の諸国家に何千キロもの範囲にわたって少なくとも23年以上ものあいだ人々の精神機能に悪影響を与えたことを示しています。


チェルノブイリ事故で放出された放射能は、風にのって周辺諸国家を汚染したことでしょう。さらに、その放射能は雨によって土壌に落下し、周辺の作物を放射能で汚染したことでしょう。低線量の放射能は蓄積され、人々の精神機能に悪影響を及ぼし、人々の自殺率を高くしたことが考えられます。


では、韓国は近年急速な経済発展を遂げたにもかかわらず、どうして自殺率が世界一位になってしまったのでしょうか。韓国の自殺率の高さは多くの要因があるのかもしれませんが、そのひとつの原因にやはり放射能があるでしょう。



なぜなら、韓国では、近年原発放射能漏れ事故が相次いで起こっているからです。新古里原発、光栄原発、月城原発、蔚珍原発で、深刻な放射能漏れ事故などの原発事故が続いています。原発事故で放出された放射能は、韓国人の精神機能にも有害な影響を与えたと考えられます。




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韓国の自殺率の高さは原発放射能漏れ事故も一つの原因でしょう



日本の福島第一原発事故のため、精神障害に苦しむ人が増えています。福島や福島の北にある宮城で認知症うつ病になる人が増えてきています。




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福島第一原発事故のため放射性物質が放出されうつ病認知症や精神病に苦しむ人が増えたと考えられます



震災情報に接することの多い宮城県の仙台での生活で不眠やフラッシュバックなどPTSDの症状があった約2割の学生に、左眼窩(がんか)前頭皮質が震災前よ り減少している傾向が確認されました。その脳の部分は、恐怖や不安などを伴う記憶を消去する機能があります。放射能の影響により、脳が縮小し、精神的な問題を生じさせていることが推測できます。

 
いったん重大な原発事故が起きれば、チェルノブイリの事故のように、その影響は、何百キロ、何千キロもの広範囲に何十年も悪影響を与える可能性があります。


また、たとえ事故が起こらなくても、原発は有害な放射性廃棄物を産み出します。誰もその廃棄物を置く場所を見つけることができません。たとえ、地下深くに埋めたとしても、地震や時の経過のために、放射能が漏れ出すことを避けることができません。



もし、地下の放射性廃棄物が地下水を汚染するなら、飲み水がなくなるだけでなく、入浴することもできなくなります。国家によっては、有害な放射性廃棄物を海に投棄しています。それは、海の魚を激減させます。


また、地震が多い地域は、原発の設備にダメージを与え、事故が起きる可能性は高くなります。今でも、毎年大小の原発事故が何件も起きているのですから、決して原発は安全だとは言えません。


聖書は、神が「地を破滅させている者たちを破滅に至らせる」と警告されています。(啓示11:18)核兵器の爆発だけでなく、原発も地を破滅させます。ですから、原発をエネルギー源として利用するのは賢明でないと言えます。


私は、諸国家の自殺率の高さと、人口減少には、他の要因もある可能性もあると考えています。しかし、原発事故の影響が一つの要因になっていることは間違いないと思います。


原発を稼動するだけで、国民に有害な影響があります。それで、エネルギー政策を推進する政策立案者の方々に、原発に依存してこれ以上、国民に有害な影響を増し加えるのではなく、再生可能エネルギーに移行するという賢明な行動をとられるようにお願い致します。


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