どんな政権が長期間続くと聖書は述べていますか


最近は、諸国家の大統領や首相の在任期間が短い政権が多くなっています。長期間、独裁政権が続いてようやく選挙が行なわれて指導者が選ばれてもその寿命が短い政権もあります。では、どうしたら政権を長期間保つことができるのでしょうか。


聖書はどんな政権が長期間続くかについて幾つかの原則を述べています。まず、「王が立場の低い者たちを真実をもって裁いているところでは,その王座はいつまでも堅く立てられる」と述べています。(箴言29:14)「貧しい人たちは常にいます。」(マタイ26:11)どの国家にも貧しく社会的立場が低い人たちが存在しています。聖書は、そうした社会的立場が低い人たちを正当に扱う国家は長く存続すると述べています。





India-6029 - I have nothing but a smile........by archer10 (Dennis) (poor)
聖書は支配者が立場の低い者たちに対して好意を示すならばその支配は長く保つと述べています



一般的に、政治家は、政治指導者に対して金銭的に報いる富裕層また有力者を優遇しがちになります。しかし、実際には多くの国家で貧しく社会的な立場が低い人が国民の多数派であることが多いです。多くの国では、選挙が行なわれています。ですから、多数派の貧しい一般大衆をふさわしく扱うならば、その政権が国民から不満を買うということは少なくなるでしょう。それで、多数派の支持を得る政権が選挙で勝利する可能性も高くなるでしょう。また、その政権が一般民衆の不満のため革命によって倒される可能性も少なくなるでしょう。


聖書は「立場の低い者に恵みを示している人はエホバに貸しているのであり,その扱いに対して[神]はこれに報いてくださる。」と述べています。(箴言19:17)反対に、「立場の低い者の訴えの叫びに耳を閉じる者は,自分もまた呼ぶが,答えてもらえない。」とも聖書は述べています。(箴言21:13)


ですから、エホバ神は富んだ人も貧しい人も、すべての人々の益を図っておられます。ですから、立場の低い人々の訴えに耳を傾け親切を示す政権は、エホバ神も報いてくださるでしょう。けれども、立場の低い人々の訴えを退ける政治指導者は、エホバ神からも助けてもらえないでしょう。


また、「愛ある親切と真実―これが王を安全に守る。愛ある親切によって[王]は自分の王座を支えた。」と述べています。(箴言20:28)国民は、その政治家が国民に示した愛ある親切を覚えているでしょう。政治指導者が国民に対して愛ある親切を示すならば、その政権は、国民の尊敬を受け、その王座は支えられ、その政権は長く存続する可能性が高くなるでしょう。また、国民を欺くのではなく、真実に基づいて国民を扱うことも政治支配者を守ります。


例えば、世界で最も長く政権指導者の立場にいたのが、キューバフィデル・カストロ氏です。1959年に革命で首相に就任して以来、2008年まで、国家評議会議長国家元首)を務めていました。「その生活は住まいから全ての暮らしが大変質素で、キューバの教育、医療、社会保障は高い水準を維持し続けている。独裁者が国民からこれほど慕われ愛されている存在はカストロをおいて他に無いと思う。」とネットにありました。


CIAによって147回暗殺を計画され、またCIAの依頼で、マフィアからも暗殺の標的にされ、命を狙われた回数が最も多い人物としてカストロギネスブックへの掲載が決まっているそうです。それにも、かかわらず彼は、長期間政権の座についていました。


カストロ氏は確かに社会的弱者に対して愛ある親切を示す人でした。本が手元にないのですが、キューバアメリカの経済封鎖のため国家が飢きんに直面した時に、カストロ氏は女性、老人、子供が食糧に優先的にあずかれるように取り計らったということが書かれていたと思います。吉田太郎氏(東京都農林水産部)の「200万都市が有機野菜で自給できるわけ」だったかもしれません。それで、確かに彼は立場の低い人たちに愛ある親切を示す人であり、そのため周囲の人々の敬意とサポートを得ていました。


もちろん、彼は無心論者であり、私は彼がクリスチャンとして完全な人だとも、彼の政策がすべて賢明だったと言っているわけではありません。それでも、ウィキペディアによると、彼は個人崇拝を避け、また、ジャーナリストから防弾チョッキについて尋ねられ、「着ていないよ。モラルってチョッキは着てるけどね。これがあれば強い」と答えたそうです。カストロ氏は、高潔な原則に従うように努力しておられたので、彼の政権は長く続いたのでしょう。これは、政権について聖書の述べることを実証する一つの例です。




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カストロ氏は立場の低い人たちに愛ある親切を示す人であり彼の支配権は長く存続しました




さらに、聖書は次のようにも述べています。「王の前より邪悪な者を除け。そうすれば,その王座は義そのものによって堅く立てられる。」(箴言25:5)政権の中に賄賂や汚職や犯罪行為、他の人々の虐待などの邪悪なことを行なう高官が含まれている場合、その政権は、一般民衆の不満を買って倒されかねません。ですから、聖書は邪悪なことを行なう高官を除くように勧めています。そうすればその政権は長続きします。


さらに、「民の多いことには王の飾りがあり,人口の不足には高官の滅びがある。」と聖書は述べています。(箴言14:28) 支配される国民が多いことは、その支配者にとって栄光となりますが、国家が人口が少なくなるならば、政治指導者が滅びてしまうと述べられています。人口が少なくなるなら、例えば、税収が減るでしょう。それで、人口減は、その政権の存続を危うくすることになります。


いろんな理由で人口が減ります。戦争や内戦のために難民が発生したり、不況や抑圧や虐待のために国民が海外に移民したり、放射能のために人々の死亡率が高くなり、出生率は減少したり、健全な家族制度が崩壊して子供の数が減少したり、食糧難で人口が減少したりします。それで、こうした問題に実際的な施策を講じて、人口の減少をとどめるならば、政権にとって「飾り」となります。


聖書中のユダとイスラエルの王たちの治世の長さを見ると、エホバの目に正しいことを行った王は期間が長い傾向があります。例えば、ダビデは、四十年、おおむね良い支配を行ったアサは四十二年支配しました。(歴代第一29:27。歴代第二16:13)



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ダビデは失敗もありましたが聖書の原則を守り彼の治世は長く続きました




しかし、エホバの目に悪いことを行った王は、統治期間が非常に短い傾向があります。例えば、バアル崇拝者のアハブの子アハジヤやイスラエルの王ペカフヤは、たったの二年しか支配しませんでした。(列王第一22:52;列王第二15:23,24)


しかし、例外もあります。エホバの目にたいへん悪いことを行ったユダのマナセ王は、55年も支配しました。(列王第二21:1)もっとも彼は最後には悔い改めたのですが。


確かに、聖書は邪悪な人が長生きして、富においても勝っている場合があることを述べています。(ヨブ21:7-9)ですから、ある人が長く政権の座についていることが、必ずしもその人が善い為政者であることを証明するわけではありません。


それで、聖書中に述べられている原則は、現実に当てはまりますが、さまざまな要素が関係していているので、おおまかな傾向が当てはまります。しかし、聖書の原則に敬意を払ってエホバの是認を求めることは長い目で見て、良い結果になるでしょう。(伝道の書8:12,13)


それで、是非、立場の低い人たちに愛ある親切を示し、彼らの言うことに耳を傾け、偽りではなく、真実をもって支配を行ない、邪悪な者を退け、エホバの是認と助けを得られるようにされてください。そのように神を恐れて努力する政治指導者は、長期間政権の立場にとどまるという結果になる可能性が高くなるでしょう。