心的外傷後ストレス障害 にどのように対策できますか

 人は心に大きな傷を残す経験をすると、それが脳に深く刻み込まれ、長期間にわたって精神的に苦しむことがあります。とりわけ東日本大震災のために、PTSDうつ病などの問題に苦しんでいる方は大勢おられます。今回は、心的外傷後ストレス障害にどのように対策できるかを考えてみたいと思います。


〇自分で自分の状況を理解する


対処するひとつの方法は、自分がどうしてこのような状態にあるのか理解することです。 そして、PTSDがストレスに対する人間としての普通の反応であることを認めることです。広範囲に及ぶ死と破壊を目の当たりにする強烈な体験があまりに急に速いスピードで起きたため、人がそれに対処できる能力は圧倒されてしまいます。


 自分で自分を吟味して、イライラの原因を自覚することが必要です。イライラする原因を特定すると自分を客観的に見て、自分の感情をコントロールする助けになります。


〇周囲に助けを求める


 もし、自分の感情を抑え込んでいるなら、いつまでもその状態は変わりません。また、精神状態が悪化するかもしれません。もし、自分で自分の精神状態や感情をコントロールできない場合は、周囲に助けを求める必要があります。


 どこに、助けをもとめることができるでしょうか。各地に被災者を支援するための、行政やNPOの取り組みがあります。また、親しい友人や家族に助けを求めることもできます。また、精神科の病院で同情心のある医師や臨床心理士に助けを求めることができます。



東日本大震災】国際協力NGOの多様な支援活動




 津波の被害者の会に行って見るのはどうでしょうか。そこで、経験を話して感情を他の人と共有することは助けになるはずです。理解してくれる友達を探す、もしくは問題を共有できる友だちを作りましょう。


 私は怒りはあまり表現しない方がベターでないかと思いますが、男性でも悲しみや恐怖を表現することは正当なことで精神衛生にいいと思います。

 
 以下は、東日本大震災の被災者の心の問題に対応するための行政の取り組み、もしくはNPOです。そのような集まりに積極的に参加してみるのはどうでしょうか。


 他に私が調べることができなかった取り組みも各地にあると思います。以下の取り組みがご自分が住む地域になかったら、ご自分で行政に連絡して尋ねてみられてください。



みんぷくネット(3.11被災者を支援するいわき連絡協議会)



司法と協働したこころの健康支援 仙台市精神保健福祉総合センター
(はあとぽーと仙台)電話265-2191



(自殺対策緊急強化事業)傾聴ボランティア仮設カフェ「サロンさくら」
石巻市 仮設大橋団地集会所 仮設南境第7団地北集会所健康部健康推進課
精神保健グループ0225−95−1111(内2422)



こころとからだとくらしの相談センター事業 こころとからだとくらしの相談センター
(健康福祉課:保健センター・地域包括支援センター
仮設住宅集会所,既存住宅地区集会所)女川町健康福祉課(0225−54−3131)



メンタルヘルス交流会「心(ここ)カフェ」気仙沼市社会福祉協議会 気仙沼市保健福祉部健康増進課(0226−21−1212)


〇自分にとってプラスになる人々や経験、自分の良い特質を思い巡らす


 自分を落ち着かせたり、安心させたり、安らぎを感じさせてくれる人々や、場所や、経験について思い巡らしてみることができます。


 また、例えば、ユーモアの感覚、勇気、思いやり、強さなど自分の好きな自分の特徴は何かを考えてみることができます。そうした積極的な事柄を思い巡らすことは、精神的に自分を安定させる助けになります。


 聖書も「すべての事に感謝しなさい」と勧めています。(テサロニケ第一5:18)すべてのことに感謝するとは、物事の積極的な面、自分にとって良い面に注意を向けるということです。それは、物事がすべて暗くて絶望的ではないことを理解する助けになります。物事には、明るい面もあります。


PTSDをさまざまな形で表現する


 PTSDが自分の生活や人間関係をどのように変えたかを話したり、文章や絵画、音楽、歌などで表現する ことができます。アメブロで、絵を趣味にしてうつ病を克服したことをブログのテーマにしている人もいます。


〇家族や友人としての心得


 PTSDの回復には、時間がかかります。家族や友人は辛抱強く耳を傾けることが必要です。聖書は、「憂いに沈んだ魂に慰めのことばをかけ,弱い者を支え,すべての人に対して辛抱強くありなさい。」と勧めています。(テサロニケ第一5:14)トラウマのことを何度も言うかもしれませんが、辛抱して聞いてあげましょう。過去のことを話すのは、PTSDの回復の兆候になります。


 記念日やトラウマと関連する人間や場所、景色、音、匂いなどがPTSDの症状を引き起こすきっかけになることを覚えておくことができます。落ち着くまで、見守りましょう。


PTSDに苦しんでいる人は、その悲惨な記憶に苦しめられているのです。PTSDの虚脱状態や怒り、いらいら、興奮、無関心などの症状は、家族や友人に個人的に向けられたものではないことを覚えておくことが必要です。


〇アルコールや薬物を使用しない


 アルコールや薬物は一時的には慰めになりますが、長期的には返ってPTSDの症状を長引かせます。また、アルコール中毒や薬物乱用という二次的な病気をつくってしまいます。


〇ストレスについてさらに研究する必要


 ある人々は、ストレスによって大量に分泌されるコルチゾールが、脳の海馬を委縮させると主張しています。私は、このことを裏付ける実験をネットで確認できなかったので、このことを裏付けるためには、さらに研究が必要だと思います。


 しかし、聖書は「穏やかな心は身体の命であ(る)」と述べて、私たちの心と健康が密接に結びついていることを認めています。(箴言 14章30節)ですから、確かにストレスは病気を引き起こすでしょう。しかし、放射能の影響を全く否定するのは間違いだと思います。


PTSDに対処する助けになる聖書の音信


 また、 聖書は、神の王国が近い時に、地震津波などの災害が起こることを予告していました。(マタイ24:7。ルカ21:25)ですから、そうした災害は、神の王国による地上の楽園が近いことを示しています。


 また、もし、自然災害が人為的なものによって引き起こされているとすれば、エホバ神は、その流血を見過ごされることはないでしょう。


 聖書によると、イエス・キリストは地上におられた時、嵐を沈められました。(マルコ4:37-39)ですから、イエスが支配する神の王国のもとでは、地震津波、その他の自然の災害は制御されることになります。


 津波で亡くなった方の中には、海に流されてしまって行方不明の人もいます。しかし、聖書は将来、「海はその中の死者を出す」と予告しています。(啓示20:13)ですから、死んで海に流された人も地上の楽園で復活してきます。(イザヤ65:17,18)


 エホバ神は、地震津波によって命を失った人々も神の王国の下の地上の楽園で復活させてくださいます。そのようにして、エホバは将来人類の苦しみや悲しみをすべていやされます。


 最終的には、エホバ神がすべてのPTSDをいやしてくださいます。また、PTSDのない世界を作ってくださいます。