放射線被爆にどう対策できますか(8)-安価な除染の方法の提案


  福島第一事故以降、非常に広範囲に放射性物質がまき散らされました。政府は、放射性物質汚染対処特別措置法に基づき除染事業を行ないました。その法律により、除染費用は国が立て替えた後、東電に請求することになっています。


 環境省は、これまでに約2155億円東電に請求しましたが、東電はそのおよそ半分を支払えずにいます。そして、除染をしたにもかかわらず、放射線量が望むように下がらないという事態も起きています。
 

 では、どのような比較的安価で済む除染の方法があるでしょうか。私は、以下のような方法を提案します。



(1)被災地に人工的に大量の雨を降らす


 過去に広島・長崎でも原爆投下により、大量の放射能が拡散しました。私たちは過去の事例から教訓を学ぶことができます。広島への原爆投下は1945年8月6日、長崎は、8月9日でした。


 その後、広島と長崎の人々はそこから、避難することなく、住み続けました。原爆投下から数か月以内に、ある統計によると、広島で約11.4万人(人口の33%)、長崎で約7万人(人口の28%)の多くの人々が死亡しました。


 長崎では9月2日に大雨が降り、広島、長崎ともに、9月17日には、戦後最大級の枕崎台風が到来しました。当時、長崎で治療に当たった故・秋月辰一郎医師は枕崎台風が襲った後、「この台風を境にして、急に病院付近の死亡者が減少した。私をはじめ職員たちの悪心や嘔吐、血便も回復した。頭髪も抜けなくなった」と枕崎台風による変化を述懐しています。


厚生労働省田中委員提出資料


 それで、大量の雨は土壌中の放射性物質を流し去って、川から海に持って行ってくれると考えられます。そのため、放射能レベルが下がり、放射能障害による症状が減少したと考えられます。


 しかしながら、広島県枕崎台風の死者・行方不明者合計は2000名を超える大惨事となりました。


 福島県では、第一原発から常時放射能が出ていると考えられるので、定期的に人工的に大雨を降らせることも効果的だと思います。それで、被害さえでなければ、梅雨や台風は歓迎すべきものです。


(2)空き地によもぎ、スギナ、ハコベなどの雑草をはびこらせる


 原爆投下地の広島と長崎では、人口は、原爆投下時に大きく減りましたが、その後、増加しています。そして、長崎では、1960年に、広島では、1975年に以前の人口水準に戻りました。


 このことは、チェルノブイリ事故の後、ベラルーシウクライナ、ロシアなどが人口が減少しているのに比べると対照的です。 しかしながら、原爆は原発事故と違って、その後は放射能を放出し続けないという側面もあります。


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 広島、長崎への原爆投下後の影響がいくらかましであったことに貢献した要因として考えられることは、原爆投下後、広島では、樹木やヨモギ、スギナ、ハコベなどの雑草が大変繁茂したことが挙げられます。


 そのことが記録として残っています。


原爆と広島大学





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ヨモギを除草したりコンクリートで固めるのではなくはびこらせておくことは除染の助けになるでしょう




 また、ヨモギは人の体内の放射性物質も減らします。原爆の被災者で、周囲の人々が死んでしまった中でヨモギハコベ、ギシギシなどの雑草を食べて放射能障害を生きのびたという人の話があります。実際、従来世界一の長寿であった沖縄では、ヨモギが店で売られており、ヨモギを味噌汁に入れて常食する習慣がありました。


薬草ヨモギの放射能解毒作用



 そして、後で述べますが、とりわけヨモギ放射能レベルを低減させる光合成細菌がたくさんついている草なので、歓迎すべき草です。被災地をコンクリートで固めたり、除草剤をまいてそれらの雑草を除いてしまうのではなく、ヨモギなどの雑草ができるだけ生えるようにする方が、放射線量は減るでしょう。


 放射能汚染対策のためには、できるだけ公園、駐車場なども、コンクリートで固めるのではなく、ヨモギハコベ、スギナなどの有用な雑草を茂らせておくことが望ましいです。この事実を住民に知らせる必要があります。


 今回は、放射能汚染地の土壌の放射能レベルの低減のために、大量の雨が貢献すること、また、空き地の雑草をそのままはびこらせることを提案致しました。