聖書の創造の記録は神話それとも事実ですか

 ある教会の牧師は、聖書が創造について述べる創世記の最初の部分は、バビロニアの神々の創造神話のモチーフを材料として使って書かれたと言っています。それで、創世記が述べる創造説話を真実のものだと考えません。しかし、バビロニア創造神話と聖書の創造の記録は全く異なっています。


 バビロニアの主要な神話によると,バビロンの主神マルドゥクは女神ティアマットを殺してから死体を取り,「彼女を二つに裂き,彼女の半分で空を造り」ました。(「古代近東テキスト」,ジェームズ・プリッチャード編,1974年,67,68ページ)女神の体の半分が空になったというのは、作り話であると誰でも分かるでしょう。


 しかし、聖書の最初の言葉は、「初めに、神は天地を創造された」となっています。これは、宇宙に始まりがあったことを示す理性的な記述です。そして、現代科学は、宇宙がビックバンによって始まった、つまり宇宙に始まりがあったと考えています。宇宙に始まりがあったことを認める点で聖書と現代科学は一致しています。

 
 しかし、創造の六日間の創造の順番は現代の地質学で常識とされていることと必ずしも完全には一致しないかもしれません。しかし、科学者の中には、古代地球についてほとんど何も分かっていないことを正直に認める人もいます。例えば、東京大学・大学院で地球環境進化学を研究している関根康人氏は、 「地球の歴史の前半部分、つまり太古代以前(25億年前より昔)の地球について、実はほとんど何も分かっていません。」と述べています。


 科学者が分からないと言っているのですから、創造の六日間に起こったと聖書が述べることを科学は否定することはできません。そして、科学上の学説は新たな発見によってどんどん塗り替えられます。


 しかし、聖書は創造の六日目に地上の動物が現れたことを言っていますが、地質学も哺乳類などの地上の動物の出現が比較的に遅かったことを認めています。


 このように、理性的で実証された科学とも一致する部分もある聖書の記述は、女神の体から天を作ったというバビロンの神話を下敷きにして書かれたものではありません。聖書の記述は、地球を人の住みかとして整えられ、初期の地球のことを知っている方を源としています。神は太古の地球について人間に教えて下さったのです。


 創世記の筆者は誰でしょうか。その牧師は、創世記は複数の筆者によって書かれたと言っていました。それは、同じ創造に関する記述が繰り返し出て来るからです。

 聖書は、最初の五つの本,創世記,出エジプト記レビ記,民数紀略,申命記を律法と呼んで、その律法はモーセによって書かれたと何度も言っています。(ルカ24:44)



聖書とユダヤ人の伝統は創世記をモーセが書いたと証言しています




そして、ユダヤ人と初期クリスチャンもともにそのすべてをモーセによって書かれたものと認めていました。聖書そのものが聖書の最初の五書をモーセが書いたと言っており、その見方はユダヤ人と初期クリスチャンに受け継がれてきました。創世記を多くの筆者が書いたと考えるのは、後代の人が考え出したことです。後代の人々は創世記の筆者が誰であるかについて判断するうえで事実を知っている最初期の人々よりも有利ではありません。


 モーセは、幾つかの歴史的記録を参照してその記録を編集したかもしれません。そのたびに創造の事実に再び言及したかもしれません。また、私たちも何度も同じことを違う観点で繰り返すこともあります。モーセが創造の話に何度も言及することはあり得ることです。 


また、その牧師は、聖書の創世記の記述が神話であって、ダーウィンの進化論に代わる教科書にはなりえないと言っていました。私は進化論は立証されていないし、創世記の創造の記録は実際に起きたことを記録していると思います。それで、進化論を否定し創造説を擁護する科学者たちの言葉を紹介したいと思います。

 まず、ダーウィン自身が「種の起源」の中で、こう述べました。「あらゆる種類の無類の仕掛けをもつ目が自然選択よって造られたであろうと想像するのは、このうえなく不条理のことと思われる、ということを、私は率直に告白する。」(「種の起源岩波文庫)ダーウィン自身当初神を信じていたのです。


 進化論の根幹になる節の一つは、生命の自然発生です。しかし、イギリスの有名な天文学者フレッド・ホイルは、こう述べています。「進化の確率は、ちょうど屑鉄置き場を襲った竜巻によって、ボーイング747型機が偶然に出来る可能性と同じだ。・・・この地上で生命は絶対に偶然によっては誕生できない」。




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進化論の自然発生の確率はボーイング機が竜巻で偶然にできる可能性と同じと言われています 


また、化石の専門家も化石の記録が進化論を立証していないことを認めています。今日知られているすべての化石種の20%を所有しているシカゴのフィールド自然博物館元館長のデビッド・ラウプはこう述べました。「ほとんどの人は、化石は一般に普及している生命の歴史をダーウィン流に解釈するのに有利な論拠の重要な証拠を提供していると考えている。残念ながら、これは正しくない。」


 また、オレゴン州立大学で博士号を取得した物理化学者ドナルド・E・チティックは,化石の記録についてこう述べています。「化石の記録をすなおに見ると,動物は創世記が示しているとおりその種類にしたがって繁殖してきたという結論に至る。ある種類から別の種類へと変化したりはしなかった。今ある証拠は,ダーウィンの時代と同様,創世記にある直接的な創造の記述と一致している。」


  航空宇宙学の技術者ルーサー・D・サザランドは,証拠は生物が器官を徐々に発達させたのではなく、生物が最初から完成した形であったことを述べています。彼は自著「ダーウィンの不可解」にこう書きました。「科学的な証拠が示すところによると,単細胞の原生動物から人間に至るまで,根本的に異なる種類の生物体が最初に地上に現われた時はいつも,そのすべては完成した形で,器官や組織も全部そろって完全に機能していた。この事実から必然的に引き出される結論は,地上に生命が現われる前から,何らかの理知がすでに存在していたということである」。


 遺伝子工学の世界的権威の 「村上和雄氏」 (筑波大名誉教授) も、真っ向から進化論を否定する一人です。 一つの遺伝子に組み込まれている膨大な量の情報を研究しているうちに、「進化論は絶対にありえない」 という結論に到達しました。 


 博士は、「生命の暗号」という本の中で、 このように言っています。「ヒトの遺伝子情報を読んでいて、不思議な気持ちにさせられる事が少なくありません。これだけ精巧な生命の設計図を、いったい誰がどのようにして書いたのか?・・・まさに奇跡としか言いようがなく、人間業をはるかに超えている。そうなると、どうしても人間を超えた存在を想定しないわけにはいかない。そういう存在を私は『偉大なる何者か』という意味で十年位前からサムシング・グレートと呼んできました。 」


 つまり、村上氏 は最初に、精巧な遺伝子情報を作り出した偉大な知性を持つ存在がいるのではないかと言っています。

 進化論は立証された説ではありません。進化が起きる確率はゼロです。そして、科学者は古代地球について分からないことが多いことを認めています。化石の記録は進化を立証してはいません。また、科学者の中には、自然界を創造した偉大な知性が存在するのではないかと考えている人もいます。


 ですから、私は、聖書の創造の記録は決して神話などではないと思います。進化論は間違っていて、神はご自分がどのように宇宙を創造され地球を整えてこられたかを人間に教えて下さったのだと思います。