イザヤ45章・キュロスは神に用いられ偶像崇拝の対象となる

 イザヤ45章には、神がペルシャ人キュロスを用いられて彼の前に諸国の民を従えられることが預言されていました。神がキュロスを助けたのは、神の目的を達成するためです。



 ところが、イザヤ45章にはさらに、神がキュロスを用いた結果、キュロスが諸国民から偶像崇拝の対象になることが預言されていました。これは、エホバ神が是認されることではありませんでした。ところがこのような偶像崇拝は今日も生じることが考えられます。南の王を倒すことになる北の王に対する偶像崇拝が生じることが考えられます。



 エホバ神がキュロスを高めてバビロンや他の諸国の民に勝利を得させたのは、神の選ばれた者イスラエルのためでした。(イザヤ45:4)そのゆえに、神はキュロスの名を呼んで、イザヤ44章にあるような神の目的を成し遂げさせました。



 すなわち、バビロンに捕らわれていたイスラエル人を解放させ、エルサレムに再び人を住ませ、神の神殿の土台を据えさせることでした。(イザヤ44:26,28)エホバ神はご自分の崇拝を復興させるためにキュロスを用いられました。



 実際に、キュロスは、バビロンに入城して「諸王の王」と号し、バビロン捕囚にあったユダヤ人をはじめ、バビロンにより強制移住させられた諸民族を解放しました。 キュロスの行ったことがキュロスの円筒印章に記録されて残っています。




Justin Ennis
The Cyrus Cylinder
キュロスの円筒印章にはキュロスが諸国民に宗教の自由を与え故国に帰還させたことが記録されています



 イザヤ45章によると、神がキュロスを助けて行わせたことのゆえに、エジプト人エチオピア人、シバ人はキュロスのもとにやってきて、キュロスに自ら服しました。(イザヤ45:14)


 彼らはキュロスに身をかがめてキュロスに祈りました。そして、それらの諸国民はこう言いました。「本当に神はあなたと共におられます。ほかにはいません。ほかの神はいません。」(イザヤ45:14)諸国民は、神ではなくキュロスに祈りました。つまり諸国民はキュロスを神として崇拝したのです。




Illustration from "Illustrerad verldshistoria utgifven av E. Wallis. volume I": Relief of Cyrus.
キュロス大王はバビロンを倒壊させたので神として崇拝されたようです


 諸国民は、キュロスがバビロンや諸国民を下すことに見事に成功したのを見て、神がキュロスと共におられると考えました。また、キュロスそのものが神だと考えました。


 ですから、昔、キュロスは神の禁じられた偶像になってしまいました。そのようにして、諸国民は実際はエホバ神の神性を否定しました。



 確かに、バビロンは神の民を攻撃しました。そして、そのバビロンを滅ぼしたキュロスはエホバ神の導きを受けていました。彼は、エホバのご意志を行いました。それでも、エホバの代わりに人間に過ぎないキュロスを崇拝するのは間違っていました。


  それで、イザヤ45章15節では、エホバ神について「ご自分を覆い隠す神です。」と言われています。


 実際はエホバ神がイスラエル人を助けるために、キュロスを用いてバビロンを倒壊させ、バビロンからイスラエル人を解放させたのですが、エホバ神に用いられたキュロスが崇拝されることになったのです。それで、エホバ神は実際にご自分を覆い隠される結果になりました。




Tetragrammaton (God's name, see Jehovah) at the Roman Catholic Church Saint-Germain-des-Prés, at Paris, France P.Vasiliadis.

エホバ神はキュロスを用いられた時にご自分を覆い隠されました―実際はキュロスの成功はエホバを崇拝するいわれになつたのです


 しかし、キュロスを偶像として拝む人々は、「ひとり残らず必ず恥をかき、辱めを受ける」ことになっていました。(イザヤ45:16)「偶像の形を作り上げる者たちは、共に辱めのうちに歩むことを余儀なくされる」ことになっていました。(イザヤ45:16)
 
 また、「救うことのできない神に祈る者たち」も何の知識も持ってはいないと述べられています。(イザヤ45:20)ですから、キュロスは、「救うことのできない神」であり、キュロスに祈って頼る者たちは辱めを受けることが予告されていました。


 実際、エホバ神は一時は、キュロスを愛されキュロスに誉れを与えました。(イザヤ45:4;48:14)しかし、ヘロドトスの著書『ヒストリアイ』によると、キュロスはマッサゲタイ人との戦いで戦死したという説を伝えています。キュロスは辱められて死んだようです。


 キュロスの墓は、王都パサルガダエに築かれたとされ、現在でも残っています。キュロスを偶像としてそれに祈る者たちは、何も知らず、恥をかくことになりました。キュロスは究極的には、救うことのできない神になりました。


MAITE ELORZA キュロスの墓キュロスは神に愛されましたがキュロスを神として崇拝する者たちは辱めを受け落胆することになりました



 エホバは「誰がこれを昔から聞かせたか。・・・それはわたしエホバではないか。・・・義なる神救い主はわたしを別にしていない。」と言われました。(イザヤ45:21)エホバ神はご自分だけが救い主だと言われました。


 確かに、キュロスのすることを聖書のイザヤ書の中で二百年も前から告げておられたのはエホバ神なのですから、真の救い主はキュロスではなく、エホバ神です。




Scroll of Book of Isaiah Pete unseth
イザヤ書でキュロスを用いてイスラエルを助けることを預言されたのはエホバ神なので神が真の救い主です


 このことで思い出されるのは終わりの時に、北の王が果たす役割です。北の王は三度南の王に総攻撃をしかけます。(ダニエル11:25,29,40)そして、一度目と三度目に成功します。(ダニエル11:26,42)


 しかし、聖書をさらに検討した結果、一度目に成功する北の王は、神の民の拠点を攻撃して後、別の政治勢力により倒されることになっているようです。(ゼカリヤ1:18-21)最初の北の王が、神の民を攻撃することにより、エホバ神に対して高ぶるので、エホバ神は最初の北の王が倒れて次の北の王に移り変わるようにされるのではないかと考えています。(ダニエル1:19-21) 


 北の王は、エホバ神に敬意を払う部分があることをダニエル書は述べています。(ダニエル11:38)それで、神は「ご自分の考えを遂行することを彼らの心の中に入れ」ることが預言されています。(啓示17:16,17)神は、南の王が神の民に対して行うことに対して復しゅうされるように取り計らわれるようです。(啓示19:2)


 しかし、諸国民はそのように考えません。北の王が成功するので、諸国民は北の王を神として崇拝することになります。ダニエル書には比ゆ的な「エチオピア」と「リビア」が北の王の「歩みにつく」ことが預言されています。(ダニエル11:43)それで、北の王は、諸国民からキュロスのような扱いを受けます。


 しかし、北の王はエホバ神に対して高ぶります。北の王は、自分を「あらゆる神の上に高め」、「神々の神たる者に向かって驚くべきことを語り」ます。(ダニエル11:36)そして、神の民と戦います。
(啓示17:14)
 

 北の王は、聖書の神に対して幾ばくかの敬意を払うとはいえ、北の王は、基本的に自由に行動し、エホバ神より自分を高めようとし、実際に神の民を攻撃することにより、エホバ神に対して敵対していることも示します。(ダニエル11:38)しかしながら、政府組織や国際組織の場合、人々はさまざまな異なる意見を持っているので異なる仕方で行動します。それで、北の王もさまざまな行動をとる部分があるのかもしれません。


また、北の王が設立する組織は、「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」と言われています。(ダニエル11:31)「嫌悪すべきもの」とは偶像です。(エゼキエル7:20)この組織も人々によって神のように崇拝されることになっています。(啓示13:15) 


 しかしながら、最初の北の王も次の北の王も神の民を攻撃することになるのかもしれません。ダニエル11章には、北の王から「出る腕があって立ち上がる」ことを予告しています。(ダニエル11:31)「立ち上がる」とは、ダニエル書の中では、王が権力を握るという意味で用いられることがあります。(ダニエル7:17;8:23)「腕」とは、最初の北の王の親族あるいは関係者を意味する場合があります。(ダニエル11:6)それで、おそらく北の王の側に分裂があって最初の北の王の親族または関係者が新しい政権を設立し、それか、以前の政権を攻撃し、野獣の像を設立するという仕事に率先するのでしょう。


 しかし、その新しい政権も神の民の攻撃に加わることになるのかもしれません。(ダニエル11:31)また、聖書は南の王の側にも分裂があることを示唆しています。「大いなる都市は三つの部分に裂け」ることが予告されています。(啓示16:19)


 それで、この北の王の分裂と、南の王の分裂は最終的に神の民を利する結果になるのかもしれません。南の王の獄に捕らわれている神の民が解放される結果になるのかもしれません。(イザヤ43:14)聖書は、サタンがサタンに対して内部分裂する場合があり、その王国が「立ち行かない」し、「荒廃」することになるというイエスの言葉をのせています。(マタイ12:25,26) 


 聖書は、大患難の前に、神の民が山間部に逃げることを予告しています。北の王は少なくとも神の民が山に逃げた時、世界的な攻撃を行なう時、神の民の命を容赦することによって、神に敬意を払うでしょう。


 しかし、北の王の古い政権も新しい政権も神の民を攻撃するように見えるのに、なぜ北の王が南の王を攻撃することになるのかこの点も、理解できません。しかし、確かに、聖書は緋色の野獣と十本の角が大いなるバビロンを憎んで滅ぼすこと、そのようにしてエホバ神のご意志を行なうということを予告しています。(啓示17:16,17)どのような事態の変転があるのか、理解できないので、この辺はさらに研究していきたいと思います。


 しかし、いずれにせよ、北の王と荒廃をもたらす嫌悪すべきものを偶像崇拝する諸国民は恥をかくことになっています。確かに、南の王を首尾よく倒すことによって北の王は崇拝されることになりますが、北の王は誇り高ぶってその後神の民に対して最終的な攻撃をしかけるようです。(エゼキエル38:2,8)その時、エホバ神は霊者として復活させられた144000人を用いて、北の王と諸国民の軍勢を滅ぼしてしまわれます。(エゼキエル38:21,22)


 それで、北の王は、エホバ神に助けられる時、神に対して高ぶらないようにすることができます。(ダニエル11:38)また、国家が神に許されて勝利を得る時に、その国家を崇拝しないように気をつける必要があります。私たちは南の王も北の王も北の王によって設立される国際組織も偶像崇拝をしないようにしましょう。エホバ神だけを崇拝しましょう。(マタイ4:10)




Michael Kotrady

ご自分の言葉聖書からすべてのことを預言され導いていかれるエホバ神を崇拝しましょう