エゼキエル37章・預言によって骨が生き返りイスラエルに戻る

 エゼキエルは、バビロンからエルサレムかが荒廃させられた時期に、将来イスラエル人が故国に帰還することを預言しました。(エゼキエル37:14,16)エゼキエル37章には、谷あいの平原に満ちていた骨が預言によって、筋、肉、皮膚が生じ、息を吹き返して生き返ることになることが預言されています。(エゼキエル37:10)そして、その生き返った大いなる軍勢はイスラエルの故国に戻ることになります。(エゼキエル37:12)




The Vision of The Valley of The Dry Bones" by Gustave Doré
エゼキエル書に骨が預言によって生き返り故国に戻ることを示す預言があります



 この預言は、確かに過去にイスラエル人に成就しました。イスラエル人は、バビロンに捕らわれの状態にありましたが、立ち上がってイスラエルに戻り、エホバの崇拝を回復しました。



 時が到来した時、ダニエルはエルサレムの荒廃が七十年で終わることになっていること、その時が近づいていることをエレミヤ書など聖書の各書を読んで気が付いたことを記録しています。(ダニエル9:2)





Photo: Andreas Praefcke
バビロンに捕らわれていたダニエルは聖書の預言からバビロンからの解放が近づいているということを悟り霊的に励まされました



 故国が荒廃してバビロンに捕らわれていたダニエルを初めとしたユダヤ人が聖書の回復の預言に気づいたことは、比ゆ的に言って、骨に肉が生じ、立ち上がって生き返るような影響を及ぼしたでしょう。



 ダニエル自身はあまりの高齢のゆえに、故国に戻る長旅に耐えられなかったのでしょう、そのままバビロンにとどまりました。しかし、バビロンに捕らわれになっていたユダヤ人は、預言を考慮して、そのような事態になるように取り計らったのがエホバ神であることを知ることになりました。ペルシャのキュロスがバビロンを倒壊させ、故国に戻ってエホバの神殿の土台を建てるようにという命令が出されユダヤ人は従いました。(エズラ1:2,3)


 実際に、そのような命令が出されたことは、キュロスの円筒印章によって裏付けられています。キュロス・シリンダーは大英博物館にあります。レプリカも国際連合にあります。




Photograph by Mike Peel (www.mikepeel.net). Modifications by مانفی
キュロスがユダヤ人が故国に戻るように命じたことを示す円筒印章が残っています



 そして、バビロンで落ち込んでいたユダヤ人は、立ち上がって、エホバの崇拝を復興する力を得た事でしょう。


 エゼキエル37章には、イスラエルの山々で一人の王を持つことになると述べています。(エゼキエル37:22)王になるのは、エホバの僕ダビデであると述べられています。(エゼキエル37:24)ところが、昔、バビロンからユダヤ人が故国に帰還した時には、ダビデの王統の王が復位してイスラエルを支配することはありませんでした。



 エスは、マリアからの誕生の前に、ダビデの王権を永遠に受け継ぐことが預言されていました。(ルカ1:32,33)ですから、このエゼキエル37章の預言は、実際にキリストがダビデの王権を永遠に相続して、天で王権を取ることについて預言している預言でしょう。(エゼキエル37:24)




Second Coming Jesus 03
by Waiting For The Word
聖書はイエスが天で王として即位する時を予告しています



 人々が自分の足で立ち上がることで、思い出される預言は、啓示11章の預言です。聖書の預言はひとつの出来事を幾つかの角度から述べています。そこでは、二人の証人が自分たちの証しを終えた時、底知れぬ深みから上る野獣が彼らと戦い、彼らを征服して殺します。(啓示11:7)



 そして、彼らの遺体が、霊的な意味でソドムまたエジプトと呼ばれる大いなる都市の大通りに置かれることになります。(啓示11:8)「大いなる都市」とは「大いなるバビロン」を意味しています。(啓示16:19;17:18;18:10,21)そして、大いなるバビロンとは、アメリカのことです。 (啓示11:8)





USCapitol - Lying in State of Unknown Soldiers of World War II and the Korean War
預言はふたりの証人が野獣に殺されて南の王の土地に遺体として置かれることを預言しています



「彼らの主もそこで杭につけられた」と記されています。(啓示11:8)エルサレムでは、確かに昔から預言者たち、イエスだけでなくイエスの弟子たちに対する迫害と殺害が行われました。(使徒12:2;7:59,60。マタイ23:31,35。使徒9:1)そして、聖書は、大いなるバビロンがエホバの僕たちの殺害に酔うことを予告しています。(啓示17:6)それで、このことは、大いなるバビロンが比ゆ的な意味で、「エルサレム」であることを示しているでしょう。



エルサレムとは、エホバへの崇拝がある程度行われてきた所でした。しかし、エルサレムの人々はクリスチャンに敵対するようになりました。



 ですから、このことは、二人の証人が捕らわれになって置かれる所が、南の王の領域、つまり、従来キリスト教国である米国であることを示しているでしょう。そして、その土地は、「霊的な意味でソドムまたエジプトと呼ばれる大いなる都市」であるとも述べられています。(啓示11:8)


米国は、従来ほとんどがキリスト教徒の国でした。しかし、無宗教の人が増えています。しかし、2015年の調査によると今でも約70%がキリスト教徒であることを公言しています。この傾向は続くと考えられますが、それでも、このことは、二人の証人が置かれる場所が従来聖書の神への崇拝が中心的に行われていた場所、つまり霊的に「エルサレム」であることを示していると思います。 



Timothy Valentine - http://www.flickr.com/photos/el_ramon/2309145326/in/set-72157604041449617/
Old Ship Church in Hingham, Massachusetts.
従来米国はキリスト教が大勢を占めるキリスト教国で霊的な意味でエルサレムと言うこともできるでしょう



 使徒11章の預言からすると、おそらく、北の王によって設立される国際組織「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」は、世界各地からクリスチャンを捕らわれとしてアメリカに連れて行くのでしょう。「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」は北の王の呼びかけによって南の王を中心として設立されることになるので、北の王と南の王は共同して行動することになるでしょう。(啓示13:11,14)


 今日でも、主に南の王によって設立された国連は、南の王と共同で行動しています。ところが、米国と国連の間では、ある程度敵対心が見られます。将来の国際組織にも、南の王と協力する部分と敵対する部分が見られることになるでしょう。



 そして、最終的に北の王と南の王は協力して「飾りの地」、つまり、キリスト教の拠点を攻撃するようです。啓示11章には「底知れぬ深みから上る野獣」、つまり、北の王の提唱により南の王を中心として再び据えられる国際組織は、「二人の証人」を征服して殺すこと、そして、彼らを南の王の領土に遺体として置くことが予告されています。(啓示11:7,8)さらに、啓示13章にも、「致命的な打ち傷」から回復した野獣の一つの頭は、「聖なる者」たちと戦って征服するという事態が許されることが述べられています。(啓示13:7)




The United States Capitol is the seat of government for Congress.
将来米国はクリスチャンに軍事攻撃をしかけて世界的な証言の業をやめさせ自国に捕らわれにするでしょう



 神の民の拠点は、一カ所ではなく世界中に幾つも存在するでしょう。南の王は従来キリスト教国でしたが、聖書のキリスト教に対して敵対的になっていくでしょう。



 そして、二人の証人は、南の王の領地で遺体になって横たわることになります。(啓示11:8,9)つまり、エゼキエル37章にあるような霊的に死んだ状態です。(エゼキエル37:2)おそらく、敗北している団体なのですから、強制収容所に入れられているのでしょう。しかし、三日半の後、神からの命の霊が彼らに入り、彼らは自分の足で立ち上がります。(啓示11:11)



彼らは、何らかの形で預言の説明を受けるのでしょう。これは、エゼキエル37章にあるように大勢の死体が生き返って自分の足で立ち上がるという預言を思い起こさせます。(エゼキエル37:10)



 そして、聖書は国際組織が、「四人の職人」、つまり、その組織を設立することに携わる四人の人、もしくは、四つのグループによって造られることを予告しています。(ゼカリヤ1:18-20)さらに、その国際組織を設立することになる人、もしくはグループは、神の民を攻撃し、また、南の王の攻撃から神の民を解放するというふたつの矛盾した役割を果たすことになるようです。


  それで、神の民への攻撃が行われた後、攻撃する側に内紛と分裂が起こり、神の民を攻撃した政権の一部が倒されることになるようです。(ゼカリヤ1:20,21)そして、私は米国にこうしたことが起こって欲しいと願っているわけではありませんが、啓示の書の中には、大いなるバビロンが分裂することを示唆する預言もあります。(啓示16:19)そのために、神の民が強制収容所から解放される機会も開かれるのでしょう。(イザヤ43:14) 



 エゼキエル預言では、預言が行われると、骨に肉や筋や皮膚が奇跡的についてきて、体になり霊が吹き入れられて生き返り立ち上がりました。(エゼキエル37:4-6)それで、二人の証人に対して、捕らわれになっているアメリカで、預言の説明が行われて、大勢のクリスチャンが霊的に生き返るということが起こるのではないかと思います。啓示11章によると、天から出る大きな声が「ここに上って来なさい。」と彼らに言うのを聞きます。(啓示11:12)


 エゼキエル37章の預言では、「四方の風」が吹きつけ、彼らが「生き返る」ことになります。(エゼキエル37:9)


西暦33年のペンテコステの時、エルサレムのクリスチャンに聖霊が注がれた時に、「激しい風が吹きつけるような物音が天から起こり」ました。(使徒2:2)ですから、エゼキエルの預言は大いなるバビロンにいる二人の証人に聖霊が注がれることを意味しているのかもしれません。


 「上って来なさい」という表現で、天に復活することを命じているとは考えられません。(啓示11:12)天に復活することは神の僕の意志でできることではないからです。しかし、エホバのもとに「上って来なさい」という表現なら、聖書の中にあります。(出エジプト19:24。申命記10:1)また、ダビデは、王に即位するようにソロモンに「上って来なさい」と命じたことがありました。(列王第一1:35)


ですから、この言葉は、やはり、大いなるバビロンに捕らわれていた神の民に対する、エホバの崇拝の拠点である山間部に来るようにという招待なのではないかと思います。また、大いなるバビロンにいる神の民に対して、「彼女から出なさい」という命令が出されることになっています。(啓示18:4) 



 啓示11章によると、ふたりの証人が天に上って行き、その時刻に大きな地震が起こります。(啓示11:12,13)地震という語は、啓示の書の中で比ゆ的な地震、つまり、戦争や内戦などの患難を意味すると思います。(啓示16:18。マタイ24:21)


 このふたりの証人が天に上って行く時起こる地震とは、大患難とは別の、大患難よりは小さくても大変大きな患難を意味すると考えられます。なぜなら、続く啓示11章18節に出て来る、「地を破滅させている者を破滅に至らせる定められた時」が大患難を意味すると考えられるからです。


 それで、何かのことが原因になり、神の民が、大いなるバビロンから出て、山間部に逃れる機会が開かれるのでしょう。(列王第一1:35。啓示18:4)エゼキエル37章では、生き返った骨は「大いなる軍勢」になったと述べられているので、帰還ができる人も非常に大勢になるのでしょう。(エゼキエル37:10)アメリカに捕らわれになっているクリスチャンたちは、アメリカにいる神を崇拝する人々を一緒に連れて山に逃れることができるのかもしれません。(啓示18:4)


 また、同時に、神の民が捕らわれになっている大いなるバビロンの中で内戦が起きるのでしょう。(啓示11:13)また、「七千人の人がその地震によって殺され」ると述べられています。(啓示11:13)昔、イスラエルでバアル崇拝に屈しなかったイスラエル人の数が「七千人」だと記されています。(列王第一19:18)ですから、神に忠実な民が、大勢殺されることになるのかもしれません。


 このことは、もし機会が開かれたら、捕らわれになって解放される神の民と共に早急に米国外に出る必要性を示しているでしょう。南の王に捕らわれた神の民が解放される機会が開かれたら、それが大いなるバビロンから逃れる最後の機会になるのでしょう。



 そうしなければ、米国から出ることは不可能になり、預言によると米国内で命を落とすことになる可能性が高いです。そのチャンスの時以降は、エホバの崇拝に対する反対が強くなり、聖書の原則を守ろうとするクリスチャンが命を失う結果になるのでしょう。



 南の王の土地で神に忠実な人が大勢殺されることは、確かに大患難を引き起こすことになるでしょう。そして、続く啓示11章15節によると、「世の王国はわたしたちの主とそのキリストの王国となった」という発表があります。これは天での神の王国の設立を意味しています。キリストがエホバから王権を与えられることになります。



そして、神の王国の設立の宣言の中では、「地を破滅させている者たちを破滅に至らせる定められた時が到来しました。」という発表が行われます。(啓示11:18)これは、大患難を意味すると考えられます。ですから、神の王国の設立を証明するものとして、大患難が起きるのでしょう。




Bodies of American soldiers on the beach of Tarawa. The Marines secured the island after 76 hours of intense fighting. There were over 6,000 US, Japanese and Korean dead in total.
大患難による大勢の死者が出ることは天で神の王国が設立されたことを証明するものとなります



 さらに、実際の所、現在でも、何百万ものシリア人が故国の戦火を逃れて大移動をする時、その過程で大勢の人が命を失っています。ですから、神の民が大いなるバビロン、また、周囲の諸国家から、自分たちの故国のエホバの崇拝の拠点に戻ろうとする時、非常に大勢の人が命を失うことは避けられないかもしれません。



Freedom House
今日シリア難民が大移動の際に命を落としているので米国の内戦から脱出するのに命を落とす人も多いかもしれません


 これは、今回、エゼキエル37章が、終わりの時、また神の王国の天での設立に関連する預言であると考えた場合の、私の新たな理解です。こうして預言を考察するならば、大いなるバビロンアメリカに住んでいるエホバの崇拝者は、早めにアメリカから出ることが賢明だと思います。


 私は、こうしたことが米国に起こって欲しいと願っているわけではありませんが、聖書の各書を考慮した時に、聖書は事態がこのように進展していくと預言しています。さらに、聖書的な根拠を検討して考察を深めていきたいです。しかし、米国がクリスチャンやキリスト教の信条を尊重して、クリスチャンを迫害しなければ、こうしたことは、米国に起こらないと思います。


 また、大いなるバビロンから解放される希望があるとはいえ、神の民がそのような結果になるのは、神の民の側の「違反」のためです。(ダニエル8:12)ですから、流血、偶像崇拝、淫行、比ゆ的な売春、心霊術などの神の律法の違反を避けて、エホバの是認を保つ必要性をこのことは示しています。


 しかしながら、エゼキエル書と啓示の書の考察によって、神の国がどのようにして設立されることになるのかも、理解できます。私たちは、そのことが起きる時、確かにキリストが天で王として即位され、天的希望を持つ者たちの復活が天で行われて、神の王国が設立されたことを識別することができるでしょう。