集団的自衛権(6)−聖書は北の王と共に戦う立場を背教と述べている


①ダニエル書は神の民が剣をとって戦うことを非としている


 ダニエル11章の預言は南の王と北の王がどのように勢力争いをするかを預言しています。そして、おおむね神の民が効果的に行動しますが、一部の神の民が北の王によって背教させられると予告しています。(ダニエル11:32)つまり、一部の神の民は北の王の滑らかな言葉によって、北の王の側に立ち、北の王と共に剣をとって戦う立場になるようです。(ダニエル11:34,35)




Portrait of Christian I, Elector of Saxony (1560-1591)
クリスチャンが剣をとって戦うのは背教


  こうした聖書の記述の仕方は、聖書の神への信仰を持つ民が、北の王の側に立って戦う立場になることに対して否定的であることを示しています。しかしながら、聖書は南の王のためにも、北の王のためにも武器をとって戦うことを非としています。啓示の書は、「剣で殺す者がいるなら,その者は剣で殺されなければならない。」と述べています。(啓示13:10)




German soldiers pause before the graves of their fallen comrades
Bundesarchiv, Bild 141-0848 / CC-BY-SA 3.0
剣で殺す者は剣で殺されることになる



 しかしながら、南の王が神の民を初めとして全世界で流した流血のためにエホバ神は、北の王が南の王にとって代わるようにされます。しかし、北の王が世界の覇権を握る期間は長くありません。北の王は神の民の拠点に対して総攻撃を加えることによって聖書の神エホバ神に対抗する立場をはっきり示すことになります。(エゼキエル38:8-12)



 そのために、最後にすべて天に復活して天の霊者の軍勢の一員となった神の王国により、北の王の軍勢はみな滅ぼされることになります。




最後に北の王の軍勢はイエスに率いられた天の霊者の軍勢に滅ぼされてしまいます




北の王は全滅してしまいます




 そして、北の王の軍勢と共に行動せずに、生き残る地の王たちも存在するようです。(エゼキエル38:13。ゼカリヤ14:16-19)


 ですから、聖書は地の王たちに、南の王のためにも北の王のためにも、武器をとって戦い、軍事行動を共にすることを勧めてはいません。


 そして、歴史の事実はそのように戦闘に加わって流血を行なう事を賢明に避けることが、現在でも、一番、経済的にも繁栄する立場であることを示しています。また、それは神との良い関係を保つ立場であり、この事物の体制の終わりを生き残ってエホバを崇拝し永遠の命を享受する立場になります。


②米国から離れて北の王につく元米国の同盟国


 しかし、聖書のダニエル書は少なくとも二つの同盟国が米国から離れて北の王につくことを予告しています。(ダニエル11:43)エジプトの同盟国であったリビアエチオピアが北の王の歩みにつくことを予告しています。エジプトは、大いなるバビロン米国を意味します。




以前の霊的なエジプトの同盟国リビアエチオピアが北の王の歩みにつくことになります



 また、ダニエル書は北の王が「異国の神と共になって,最強の防備の施されたとりでに対しても効果的に行動する。」と予告しています。(ダニエル11:39)これは、やはりエホバの崇拝に対する反対や淫行を特徴とする他の宗教の国家と北の王が連携する結果、北の王が効果的に行動できる結果になることを意味するのかもしれません。そして、これは、以前南の王との同盟国であった国家を意味するのかもしれません。


 ですから、確かにそれらの同盟国が北の王の側につくことは、米国にとって、大変不利な結果をもたらすでしょう。


 しかし、聖書はその国の名前を特定していないので、それぞれの国家は政治指導者、また国民が自国の運命をどのようにするか自国で決めることが可能だと思います。


 私は、この南の王の同盟の立場から離れて北の王の側に立つ立場はお勧めしません。聖書は、軍事強国との同盟から離れようとする時、以前の情夫である同盟国から攻撃を受けることを予告しているからです。(エゼキエル23:22,23)


 米国との同盟関係を捨てて、反米国の北の王に組する時、米国による大きな反撃を受けるでしょう。情婦に裏切られた情夫がその情婦をひどく扱うことは人間関係でも起きていますが、国家間の同盟関係でも起きるでしょう。



情夫が裏切られた情婦を殺すということが国家間でも起きるでしょう


 米国は、武器のために今まで膨大な軍事費を注ぎ込んでいますから、その武器を使って反撃するでしょう。それは国家の経済的な状況を悪化させます。自国の国土の荒廃を招くかもしれません。ですから、私は、南の王との友好的な関係を捨ててしまうのではなく、北の王と共に軍事行動を取らない立場を保つようにお勧めします。


さらに、北の王は三度、南の王に対して総攻撃を加えることになっています。その過程でやはり多くの兵士の命が失われます。また、たとえ、一度目の攻撃で南の王に勝利したとしても、南の王から手痛い復しゅうを受けることを予期できます。
 

 三度目の南の王の攻撃の後、南の王は地位の低い王国になってしまって、二度と世界の覇権を握る国にはならないようです。(エゼキエル29:13-16)しかし、最後の戦闘で、北の王の軍勢の一員となり、南の国を初めとしてその同盟国にも攻撃を加える際、大勢の兵士の犠牲者が生じることは避けられません。結局、戦争は勝っても負けても双方に犠牲が生じます。




A mass grave at Katyn, 1943
戦争はどちらの側にもとても大きな犠牲をもたらします


③国家が他の国家に対してどのように行動するかを決める背後にある感情


 聖書は大娼婦を滅ぼす諸国家が大娼婦を「憎む」と述べられています。(啓示17:16)それは、大娼婦のうちに「地上でほふられたすべての者の血が見いだされた」と述べられているので、大娼婦の流した流血が多大な損害のためにそれらの諸国家の大娼婦に対する憎しみの感情が動かしかたいものとなるからでしょう。(啓示18:24)


 とりわけ、イスラム圏の国は一般的にキリスト教の理解もないために、米国発のキリスト教に対する理解も感謝も少ないでしょう。また、聖書に対する知識も理解もありません。そして、イスラム圏の一部の国々は、欧米諸国からの軍事攻撃を近年湾岸戦争イラク戦争アフガニスタンでの戦争、シリアの空爆という形で受けたために、欧米諸国のキリスト教に対する反感と敵意が強くなっています。


 そのために、北の王と南の王との間で引き起こされる国際紛争はおそらく、イスラム教諸国とキリスト教諸国との間の戦争のような形をとることになるのでしょう。


 一方、大患難を生き残る地の王たちは、大娼婦の滅びを「気の毒だ。気の毒な事だ」と嘆いています。(啓示18:10)このことは、それらの地の王たちの米国に対する感情が同情的なものであることを示しています。当然、それらの王たちの感情が米国に対して少しでも好意的なものであれば、南の王に対する軍事攻撃に加わることはないでしょう。


 このことは、米国が地の王たちや地の諸国民の感情を配慮し、少なくとも米国の同盟国に対して好意的な接遇をするべきことを示しているでしょう。そうしなければ、以前の米国の同盟国が北の王の側についてしまい、米国は、自国の敵国を増やしてしまうことになるでしょう。


④聖書の預言がどのように成就するか観察していき国際紛争に中立を保ちましょう


 結局、世界強国はエホバの預言通り、自ら戦って移り変わっていきます。とりわけ、聖書は北の王と南の王の抗争が勝ったり負けたりして続いていくことを預言しています。結局、エホバの預言のようになっていきます。


 どちらかに軍事的に味方をするとどちらかの世界強国を怒らせることになります。すると、その国家から軍事攻撃を受けることになります。ですから、聖書は、どの国に対しても、軍事的に支援するようなことは勧めていません。


 そして、聖書は実際、北の王であっても、南の王であっても、その他の地の王たちであっても、賢明に行動するように助けます。少なくとも、聖書の原則に注意を払うならば、その国は自らの存続期間を長くすることになるでしょう。(列王第二22:20)聖書は結局人々に益を与え、教えるために書かれている本だからです。(イザヤ48:17)




聖書の預言に注意を払うことによって益を受けましょう