集団的自衛権(14)−ユダがエジプトに頼ることは無駄になる

 日本が米国のために、集団的自衛権を行使しようと考えるのは、日本が隣国との紛争が生じた場合に、助けてもらいたいと考えるからです。では、そのようにして米国に頼った場合、必ず日本は最終的に益を得られるでしょうか。


 昔、ユダはエジプトの軍事力に頼らないようにとエホバ神によって戒められました。エホバ神は、ユダがご自分ではなく、エジプトの軍事力に頼ったことを不快に思われました。それでも、なおユダはエジプトに頼りました。ユダはお金を払ってエジプトの支援を求めました。

 しかしながら、エジプトはユダを助けるために何もできませんでした。ユダがエジプトを頼ったことはまったく無駄になりました。もちろん、日本は昔のユダのようにキリスト教国家ではありません。しかし、昔、ユダやエジプト、バビロンなどの諸国家に起きたことは、今日でも起きえる世界情勢を示しています。わたしたちは昔の諸国家に起きたことから教訓を学ぶことができます。昔ユダに起きた事は、米国に頼っている日本にも起きえるでしょう。


(1)ユダはエジプトに頼らないようにと戒められる



 昔、ユダは、バビロンから軍事的な脅威を経験した時、エジプトに援助を求めました。エジプトの軍事力に頼りました。しかし、その時、エホバ神はユダがご自分を頼らず、ご自分のご意志を確かめることをしなかったことを非難されました。そして、ユダに災いをもたらされると言われました。


 「援助を求めてエジプトに下る者,単なる馬に頼る者,それが多いからという理由で戦車に,それが非常に力強いからという理由で乗用馬に信頼を置き,イスラエルの聖なる方を仰ぎ見ることも,エホバご自身を尋ね求めることもしなかった者たちは災いだ。・・・神も・・・災いとなるものをもたらされる。」(イザヤ31:1,2)



 今日、日本の場合、中国や北朝鮮からの軍事的な脅威に対抗するために、米国の軍事力に頼ろうとしていることは、昔ユダが他の強国の脅威に対抗するために、エジプトに頼ったのに似ています。


 エホバ神はユダがエジプトに頼ったことでユダが落胆するように災いを経験するようにされました。そして、エホバはエジプト人が単なる人間であって、その馬も霊者とは違うと言われました。結局、エホバは霊者ではない単なる人間や動物に頼らないようにと言われました。




Chariots and archers were weapons of war in Ancient Egypt.
エホバは一見して強く見えるファラオや馬に頼ったことが無駄になるようにされると言われました


「エホバご自身がみ手を伸ばされるので,助けを与えている者も必ずつまずき,助けを受けている者も必ず倒れ,彼らはみな同時に終わりを迎える。」(イザヤ31:1,3)エホバは、「助けを与えている者」、つまりエジプトもつまずき、「助けを受けている者」、つまりユダも同時に終わりを迎えると言われました。


②ユダはエジプトによってその王を殺される


国家が自国の経験する軍事的脅威に対抗しようとして、他の軍事強国に頼るのはいつの時代でも同じです。昔ユダ二部族王国は、エジプトにバビロンの脅威からの救援を頼みました。しかしながら、ユダはその王をエジプトに殺されていたのです。



 ユダの王ヨシヤはエジプトのファラオ・ネコとの戦いで命を失っていました。(列王第二23:29)しかし、その後ユダの王「エホヤキム」の時代に、「バビロンの王ネブカドレザル」は 「ユーフラテス川のほとりカルケミシュにいた」「エジプトの王ファラオ・ネコの軍勢」を「撃ち破った。」ことを記録しています。(エレミヤ46:2)




Khafre Enthroned  Jon Bodsworth - http://www.egyptarchive.co.uk/html/cairo_museum_10.html
エジプトのファラオは強そうでしたエジプトはバビロンに敗北してしまいました





Harold Jarche Follow Babylonian Soldiers バビロンの兵士ユダが頼ったエジプトはバビロンの前に敗北してしまいました



James Tissot, The Flight of the Prisoners.
エジプトの軍事力は何の助けにもならずエルサレムはバビロンによって火で焼かれました



③ユダはバビロンの脅威に対抗してエジプトに頼る


 しかし、エジプトを倒した「バビロンの王ネブカドネザル」が上って来て、ユダの「エホヤキム」を従属者としました。(列王第一24:1)そのため、バビロンの軍事的な脅威に直面したユダは、今度は、ヨシヤ王を殺したエジプトに頼りました。ユダの最後の王ゼデキヤは、バビロンとの契約を破り、「エジプトに使者を送り,馬とおびただしい民を得ようと」しました。(エゼキエル17:15)




Egyptian camel transport passing over Olivet
ユダの最後の王は贈り物をもっていってエジプトの王に軍事的な支援を求めました


 この同じことは、イザヤ30章にも書かれています。ユダは、エホバの「口に問い尋ねることを」しないで、「エジプトに下って」いきました。つまり、ユダは、「エジプトの陰を避難所とするため」使節をエジプトに遣わしたのです。(イザヤ30:2)ユダの使節は、らくだやらばに「資産」を運ばせて、エジプトに頼ったのです。(イザヤ30:6)


④バビロンはエジプトを退けユダがエジプトに頼ったことは無駄になる


 しかし、エホバはその贈り物が「民のために」「何の益にもならない」と言われました。「エジプト人は「全く何の助けにもならない」と言われました。(イザヤ30:6,7)






reynermedia A lot of dollars
エホバはエジプトへの贈り物が何の助けにもならないと言われました



しかし、バビロンはユダに攻めて来て、エルサレムを包囲しました。しかし、エジプトがユダを助けるために軍隊を派遣しました。バビロン軍は一時的に攻囲を解かなければなりませんでしたが、首尾よくエジプトを退けることができました。


 エホバは、「援助のためにあなた方のところに出て来るファラオの軍勢は,自分の地であるエジプトに帰らなければならなくなる。そしてカルデア人は必ず戻って来て,この都市と戦い,これを攻め取り,これを火で焼くであろう」と予告されました。(エレミヤ37:7-9)




エジプトは確かにユダを助けるために出てきたのですが何らかの理由で自分の国に帰らなければならなくなり何もできませんでした

 そして、預言通り、エジプトはユダを助けに来ましたが、何らかの理由で撤退しなければならなかったようです。エジプトに別の国との間で軍事的な問題が生じたのかもしれませんし、国内で内戦などが生じ撤退を余儀なくされたようです。そのためユダはエジプトの助けを得られず、エルサレムはバビロンの前に陥落し、火で焼かれることになりました。(列王第二25:1-7)それで、ユダがエジプトに頼ったこと、お金を払ったことは何の助けにもなりませんでした。


⑤他の軍事強国に頼ってもその国は何もできないことがある


 聖書の中に書かれているのは、歴史の事実です。このことは他の軍事大国から脅威を受けた時に、その他の軍事大国に頼っても、お金を払っても、その国が頼られた国を助けようとしても、何もできない結果になる場合があることを示しています。


 聖書の中で大いなるバビロンは「霊的なエジプト」だと述べられています。(啓示11:8)それで、過去の歴史は大娼婦大いなるバビロンに軍事的に頼っても、落胆させられる場合がある可能性があります。聖書はエジプトに軍事的に頼るならば、エホバ神が不快に思われ、災いを経験することになることを述べています。


 もちろん、米国が軍事大国であることは事実なので、敵対せずに、平和的な関係を求めるようにするのが賢明で実際的なことです。しかし、日本はある程度、昔のユダに似ています。昔のユダは、バビロンの軍事的な脅威に直面した時、ヨシヤ王を殺したエジプトに軍事的に頼りました。日本も、米国から太平洋世界大戦の時に、致命的な打撃を受けましたが、その米国に軍事的に頼っています。


 エホバ神は諸政府が軍事力に頼るのではなく、平和の道を歩むようにと勧めておられます。エホバ神の助けが得られるように初政府のリーダーが平和外交に努力されることをお勧めします。