集団的自衛権(17)−なぜ神はエジプトに頼らないようにと言われたのか

 聖書の中で、霊的なエジプトは、大いなる都市、つまり大いなるバビロンです。(啓示11:8)それは、現在の南の王を表わしています。聖書の中では、エホバ神はユダに、エジプトとその馬に頼らないようにと言われました。(申命記17:16。イザヤ31:1-3)エジプトから多くの馬を購入しないようにと言われました。

(1)なぜエホバはエジプト人とその馬に頼らないようにと言われたのですか


エホバ神はなぜ、エジプトやその馬に頼らないようにと言われたのでしょうか。ひとつの理由は次の通りです。「エジプト人といえども,地の人であって,神ではない。彼らの馬は肉であって,霊ではない。」(イザヤ31:3)




Egyptian pharaoh













神として崇拝されていた恐れを感じさせるエジプトのファラオも・・・単なる死すべき人間に過ぎないので神は頼らないようにと言われました




 


つまり、エジプト人であっても、病気にもなり、寿命が来たら死んでしまう単なる人間に過ぎません。(ペテロ第一1:24。詩編90:3,4,6)人間が他の人に死をもたらすことができたとしても、当人は、はかない野辺の草のように非常に短期間で、死んで塵に戻ります。


 また、その馬も数十万人の人間を一挙に滅ぼすことのできる強力な霊者とは違います。(イザヤ37:36)一方、エホバ神は永遠に生きておられます。(詩編90:1,2)エホバ神は、人々が目に見えても本当は弱い死ぬべき人間ではなく、目に見えなくても全能者のご自分に頼るように望まれました。




永遠に生きておられる全能のエホバ神に頼りましょう



そして、エホバ神は、終わりの時の南の王が北の王に世界一の座を譲ることになることを聖書に予告されています。もちろん、北の王に軍事的に行動を共にすることも聖書に、それは「背教」であると述べられています。(ダニエル11:30,32)しかしながら、霊的なエジプトに軍事的に頼ることも賢明ではありません。


 ですから、諸政府にとって最も賢明な道は、中立の立場をとることです。戦い合うどの軍事的な陣営にも属さないことです。


(2)エホバ神がエジプトに頼らないようにと言われた別の理由


 当時、アッシリアとエジプトとバビロンが世界の覇権を争い合っていました。ユダはアッシリアの脅威に面してエジプトに頼ったり、バビロンの脅威に面してエジプトに頼ったりしました。しかし、どの軍事強国もユダが他の軍事強国に頼ることを望みませんでした。



Ancient Egypt and Mesopotamia c. 1450 BC
昔ユダは北のアッシリアと南のエジプトの間で揺れ動いていました





Assyrian king













Egyptian phahraoh






最初はエジプトとアッシリアが覇権争いをしていたので両国ともユダが競争国に頼ることを喜びませんでした




Egyptian king




















Babylonian king





バビロンとエジプトは対抗していたのでバビロンはユダがエジプトに頼るとユダに攻めてきました


 アッシリアはユダがエジプトに頼ったことに反対し、エジプトに頼ることは何にもならないと言いました。バビロンはユダがエジプトに頼ったので、ユダのエルサレムに攻めてきました。



 このように世界の軍事強国が、他の軍事強国の味方になるのを望まないのは、昔から今まで同じです。軍事強国は普通、自分が世界一の軍事強国になりたいと願っています。そのため、他の諸政府が他の軍事強国に頼ったり、他の軍事強国と軍事同盟を結ぶことを望みません。


 そして、現在米国が世界で第一の軍事力を持っており、米国はまた、世界で一番の経済大国でもあります。しかし、世界にはまた反米国も存在しており、そうした反米国はそのうち勢力を伸ばしてくるでしょう。


 過去において、世界の覇権を振るう国々は移り変わって来ました。一時は、エジプトが世界で一番強い国であった時期もありましたが、そのうち、バビロンが世界で覇権を振るうことになりました。しかし、バビロンの座はペルシャ帝国に奪われてしまいました。そして、ペルシャギリシャが倒しました。


 ですから、いつか、米国に代わって世界の覇権を振るう国家も登場してくるでしょう。それで、もちろん、現時点で米国が世界一の軍事・経済大国なのですから、米国と良い関係を結ぶのは良いことで賢明なことです。しかし、米国と軍事行動を共にするなら、世界に現在存在する軍事強国、また、いずれ登場することになる、反米の世界強国に敵対することになります。そうすると、それらの軍事強国から軍事攻撃を受ける可能性が高くなります。


 ですから、昔ユダにとって一番安全な道は、エジプトに軍事的な支援を頼るのではなく、また、エジプトと戦火を交えることでもありませんでした。また、バビロンに軍事的に敵対することでもありませんでした。それは、静かにエホバ神に頼り、どの軍事強国にも軍事的な支援を頼まないということでした。


 ですから、今日霊的なエジプト、米国と良い平和な関係を結ぶのは望ましいことですが、米国に軍事的に頼って、米国から大量の武器を購入したり、米国に軍事行動をとることを要請しないようお勧めします。