エゼキエル33章・イスラエルが荒廃した原因−偶像崇拝と流血と軍国主義 

 エホバ神は「わたしはいつでも同じ者である」と言われています。(イザヤ43:13)ですから、今日においても、エホバ神は過去と同じ仕方で行動され、ご自分が同じ道徳基準を持っておられることを示されることになるでしょう。



A color version of Joseph Priestly's A New Chart of History.
エホバ神は歴史を超えて存在される同じ神です


(1)神はご自分の律法を守りご自分に頼る者たちを保護される

 エホバ神は、ご自分に信仰を持ってご自分のみ名に頼り、ご自分の律法を守り、ご自分のご意志を行う者たちは保護されますが、ご自分の律法に違反する者たちには、正当な報いが臨むようにされます。(詩編31:23。箴言13:6;18:10)



Title: Tetragrammaton. author: Sephardi Bible.
ヘブライ語の神の名−エホバ神はご自分に頼る者を保護される


それで、人々は、ご自分の律法を守ることを要求されるエホバという名を持たれる全地の創造者、全能者が存在することを知る結果になります。(イザヤ60:16。詩篇83:18)



(2)ユダは神の律法の違反のために国土が荒廃してしまった


 エホバがエゼキエルに音信を与えた時、エルサレムはバビロンによって陥落していました。(エゼキエル33:21)エゼキエル33章の後半では、エホバ神はご自分がそのようにされた理由を説明されました。さらに、それはその時以降起きることでもありました。


 バビロンによる攻撃のために、ユダは、一時的に荒廃して人の住まない所となってしまいました。考古学者G・E・ライトは,「この時代に都市が次々に人の住まない所となり,多くの都市には二度と人が住まなかったことを示す考古学的調査から見て……ユダが暴虐を被ったことは明らかである」と言明しています。(「聖書考古学」1957年版,179ページ)





old bet shemesh
イスラエルエルサレム地区にあるエルサレムの30キロメートルほど西にあるベトシェメシュ―昔のベトシェメシュは廃墟になりました


エホバの予告通り、ユダは「荒廃」しました。エホバ神は預言者たちを通してご自分の律法に違反する時、どのようなことが起きるかを予告されていたので、エホバの預言が成就する時、人々は、「わたしがエホバであることを知らなければならなく」なりました。(エゼキエル33:29)


 エホバ神がイスラエルに居住する場所を与えられたので、エホバ神はイスラエルがご自分の律法を守らない場合、その土地の居住許可を取り消すことができました。(エゼキエル33:25)


(3)イスラエルの人々がしていたさまざまな律法違反・偶像崇拝軍国主義


 イスラエルはどんなことをしていたのでしょうか。「あなた方は血と共に食べ続け、あなた方の糞像に目を上げ続け、絶えず血を注ぎ出す。それなのに、あなた方はこの地を所有してよいだろうか。あなた方は自分の剣に頼った。」とエホバ神はイスラエルを非難されました。(エゼキエル33:25,26) 

 イスラエルは食べることを禁じられていた血を食べました。(エゼキエル33:25)また、エホバ神の代わりに糞像を崇拝しました。それから、糞像に絶えず血を注ぎ出しました。(エゼキエル33:25)

 また、「剣」、つまり、武力に頼りました。(エゼキエル33:26)さらに、友の妻を汚しました。(エゼキエル33:26)つまり、姦淫を行ないました。そのため、エホバ神は、イスラエル人を剣で倒れさせ、約束の地が荒廃するようにされると言われました。(エゼキエル33:27)


 このことは、エホバ神がご自分の律法を守るように断固として要求されることを示しています。エホバ神は、ご自分がご自分の律法を守ることを断固として求められることを、事態の推移で示されることがあります。 


 聖書の預言は、エホバが、ご自分の律法を守ることを求められるために起きることになる将来の出来事を示しています。そして、その言葉が「実現するとき」人々は、「自分たちの中に預言者がいたことを知らなければならなく」なります。(エゼキエル33:33)



エホバ神はご自分の律法に違反する時災いが起きることを預言されています


(4)偶像崇拝と流血

 エホバ神が何より不興を覚えられたのは、イスラエル人が偶像崇拝と流血を行なっていたことでした。(エゼキエル33:25)実際、昔ソロモン王がエホバの律法に違反して偶像崇拝にふけるようになると、「エホバはソロモンに反抗する者」を数多く起こされたことが記されています。エドム人ハダド、レゾン、ソロモン王の僕ヤラベアムなどを反抗者として起こしました。(列王第一11:14)彼らは、イスラエルを憎んで、倒す機会を伺ったり、ソロモン王に反抗したりしました。エホバ神は偶像崇拝に対する不興を表明されます。


 さらに、エゼキエルはイスラエル人が「絶えず血を注ぎ出す」と言いました。異教の神の崇拝は、流血と結びついていました。カナンの土地ではイスラエル人は、バアルを崇拝して、モレクの神にヒンノムの谷で子供を犠牲として火で焼いて捧げるというこを行ないました。(エレミヤ32:35)




昔ユダではモレクの神に子供の犠牲が捧げられました
RonAlmog Follow Valley of Hinnom
ヒンノムの谷―聖書時代にここでモレク神に子供たちが火で焼いて捧げられた



歴史を通して流血が異教の神の崇拝と結びついてきました。北のイスラエル十部族の国家では、アハブがイゼベルと共にバアル崇拝を推進し、大勢のエホバの預言者たちを殺しました。(列王第一18:4)バアル崇拝は淫行や流血や国家主義と結びついていました。


(5)現代の偶像崇拝やオカルトと結びついた流血


 ドイツのヒットラーは表面上はキリスト教徒であるとしていましたが、聖書を間違って理解していました。イエスユダヤ人と戦っていたと信じ、自分がキリストが完成できなかった戦いを実現すると述べました。さらに、内々には、キリスト教や聖書を批判し、ローマ帝国が滅んだのはキリスト教のせいだと言っていました。さらに、ヒットラーは軍事力で帝国を成立させようと考えていました。また、一説には、ヒットラーの周囲は神秘主義やオカルトの影響を受けた側近がいました。そのため、彼はアーリア人が優秀で、ユダヤ人が劣等であると考えました。


 そのため、ヒットラーに率いられたナチス党やドイツ軍は、ユダヤ人や周囲の諸国民を何百万人も殺しました。それで、聖書の教えに対する反抗やオカルトの影響がヒットラーユダヤ人を初めとした人々の虐殺へと向かわせたようです。


(6)日本の神道の中での天皇


 さらに、日本も第二次世界大戦前は、神道が強く支配していました。神道は、古事記の神話に基づいています。古事記の上巻には多くの神々が登場します。天地開びゃくののち七代の神が交代し、その最後にイザナギイザナミが生まれ、ふたりは結婚し、山の神、海の神など様々な神を産みました。こうした国産みの途中、イザナミは火の神の出産のため、火傷を負い死んでしまいました。イザナギは黄泉の国(死者の世界)を訪れイザナミを連れ戻そうとするが、できませんでした。


 その後、イザナギが左目を洗ったときに天照大御神アマテラスオオミカミ)、右目を洗ったときに月読命ツクヨミノミコト)、鼻を洗ったときに須佐之男命(スサノオノミコト)を産みました。ですから、日本の古事記は、イザナギイザナミが日本を産み出した神だと主張しています。しかし、女神であるイザナミは死んでしまったので、神ではないでしょう。さらに、こうした記述は歴史的に正確だと考えられないのではないでしょうか。天皇はそうした神々の子孫であると考えられています。そして、日本は天皇の支配のもとに、明治時代から富国強兵を目指し、幾つもの戦争を行なってきました。



多くの神々に囲まれた明治天皇天皇は日本の神々の子孫だと考えられ崇拝され日本帝国の拡大のために戦争が推進させられました

 しかしながら、天皇家そのものはキリスト教の影響も強く受けました。そして、戦後、昭和天皇は人間であることを宣言し、平和な日本を作ることを努力してくださっています。

(7)殺人や日本倒壊をめざしたオウム真理教


 また、日本ではオウム真理教ヒンズー教の戦争の神シバ神を信じています。オウムは、日本社会を覆し、麻原自らが支配者になろうと考えていました。オウム真理教は、地下鉄サリン事件で13人の人を殺し、6300人の人を負傷させたことで有名ですが、他にも殺人を犯し、内部でも信者を殺害していました。




オウム真理教ヒンズー教の戦争の神シバ神を崇拝しています−ヒンズー教のシバ神は化身のひとつと考えています


 オウム真理教を詳しく調べた著作のネットでの情報によると、オウムは、北朝鮮やロシア、米国、韓国などの他の諸国家を用いて日本を荒廃させることを考えていたようです。今のシリアに起きたようなことが日本に起きるように計画していたようです。それで、昔から、異教の偶像崇拝や戦争や殺人や流血と結びついてきました。 


(8)堕胎により子どもを殺すという流血


 例えば、胎児を堕胎することは殺人であり、流血です。(詩編106:38)エホバの目に母胎にいる胎児も、ひとりの人間だからです。(詩編22:10;139:16)今日、胎児を殺すことは、昔のモレク崇拝のようにエホバ神からみなされるでしょう。それはエホバの怒りを買います。


(8)神の怒りを引き起こす殺人と流血


 聖書は、とりわけ、マナセの時代には、エルサレムの端から端まで罪のない者の血が流されたと言われています。(列王第二21:16)マナセの前には、良い王ヒゼキヤが支配していたので、エルサレムにはエホバ神を崇拝する人が大勢いたでしょう。マナセはそうした大勢のエホバの崇拝者の血を流したと考えられます。それで、エホバ神はユダを許さないことにされ、ユダはバビロンによって荒廃することになりました。(列王第二23:26,27;24:3,4)


 今日、テロ攻撃をして、何の罪もない市民を殺害することが行われています。自爆テロや、トラックや車で突っ込んで人の命を奪います。また、アメリカでは、劇場や学校で銃を乱射して、何の罪のない人を大勢殺害します。また、路上の面識のない人を殺すという犯罪も起こります。それは、テロ攻撃と同じです。

 それは、マナセの時代の殺人と同じことです。それらは、エホバ神の怒りを引き起こします。そのために、昔のイスラエルとユダは、いったん滅びたのです。そうしたことを行なう国家はエホバ神の怒りを買うことになるかもしれません。


(9)武器や軍事力に頼る事


 また、イスラエル人は、剣に頼りました。「あなたがたは剣に頼った」と非難されています。(エゼキエル33:26)剣に頼るとは、武器や軍事力に頼ることを意味しています。

 ある人々は、武器を製造したり所有したりすることにより、自国が安全になると考えるかもしれません。もちろん、聖書は国家が軍隊や軍勢を持つこと、剣を持つことを禁止してはいません。(マタイ22:7。ルカ14:31-32。ローマ13:4)しかし、その剣や兵士を不当な仕方で行使すると問題が生じます。


 軍事力を増強すると、その武器をいたずらに保持しているのがもったいなくなり、使いたくなります。そのために、紛争が生じた時、容易に武力に頼って、問題を解決しようとするようになります。また、自衛のためにその武器を使うのではなく、その武器を使って他国に侵略することを考えるかもしれません。すると、敵を増やすという結果になります。


 日本は戦前天皇制と軍部の支配のために、軍備を増強しました。その結果、アジア各国に侵略して大勢の人々を殺しました。そして、戦後、七十年たっても、周辺の中国や韓国との関係がうまくいかないことがあります。それで、流血は世代を超えて憎しみが続く場合があります。そして、そのことに流血を憎まれるエホバ神も関係されているのでしょう。 

 武力に頼って問題を解決しようとすると、その国家は他の諸国民から怖れられ、ある程度自国の思い通りにできるかもしれませんが、憎まれることにもなるでしょう。自分の家族や友人の命を奪われた人は、殺人者を許せないと考えるでしょう。そのため、命を奪われた人は、軍事力を不当に用いる国家の強硬な反対者になったり、また、その国家に復しゅうすることを人生の目的にするかもしれません。それで、武器に頼った国家や人々は、実際は自分たちの身を危険にします。

 すると、その国家はいつまでも存続できないという結果になります。過去において過度に流血を行なう国家が倒れて存在しなくなったという事例はたくさんあります。例えば、バビロンやアッシリアなどの軍事国家は存在しなくなりました。軍事強国が別の軍事国家に倒されてしまうということが頻繁に起きました。バビロンやアッシリアに起きた事は、エホバ神のご意志でした。





David Stanley Babylon Palace
A sweeping view of the restored Palace of Nebuchadrezzar II at Babylon, Iraq,
流血のバビロンはエホバ神のご意志のため滅びました


(10)武器の製造をすることも流血を促進する


 また、私たちは、自分たちの知識や技術を他人を殺したり傷つけたりすることに用いるべきではありません。どんな知識も技術も平和利用もできれば、軍事利用もできます。

 実際に自分が武器を用いて人殺しをすることを避けるだけでは十分ではありません。私たちは、武器を用いて他の人が人殺しを効果的にできるように助けるべきではありません。昔、エホバ神は王に対して、「自分のために馬を多くするべきではなく,また馬を多くするために民をエジプトに戻らせてもいけない。」と言われました。(申命記17:16)しかし、ソロモン王は馬をエジプトから輸入し、兵車を増やしてしまいました。馬と兵車は当時戦争のための道具でした。馬や兵車を増やすことは今日では、武器を増やすことを意味します。

 そして、ソロモン王が戦いの道具を増やしたにもかかわらず、ソロモン王の息子の時代にイスラエルは二つに分裂してしまいました。ソロモン王がしたことは何の助けにもなりませんでした。

 さらに、武器の製造に携わることは、他の人を殺し、傷つけることになるので、他の人を愛することにはなりません。(マルコ12:31)さらに、国家の益に結びつくとは限りません。


 それで、さまざまな武器、銃器や毒ガス、生物兵器としての細菌、核兵器、軍用機、戦車などを製造する企業で働くことは、流血を促進し、エホバ神の不興を買うことになるでしょう。


(11)武器に頼るのではなくエホバ神に頼りましょう


 確かに、銃を持たない無実の人々がただ殺されるという事態も少なからず起きています。しかし、その人々は少なくとも神に罪を犯すことを避けることができています。そのために、その人には復活の希望があります。(ヨハネ5:29)さらに、緊急時での祈りがエホバに聞かれて、命を脅かされるような災害や事故など危機的な時を生き永らえるということも起こるでしょう。(詩編34:7。箴言13:6;18:10)


(12)人々と信条や意見が異なる時に武力ではなく話し合いに頼りましょう


 また、諸国家や人々のグループの間で意見や信条が異なる時に、交渉によって平和的にその問題を解決しようとするのではなく、武力に頼って自分の思い通りにしようとすると、結果が非常に悪くなります。 


 例えば、シリアやウクライナで、政府や一部の人々は自国や他国の軍事力に頼って自分の思い通りの結果を得ようとしました。その結果、国土は荒廃し、大勢の人々が死にました。また、多くの人々は周囲の国家に逃げなければなりませんでした。


 剣に頼ることは結果がとても悪くなります。問題が生じた時に、できる限り人々と話し合うように互いの調整を図りましょう。そして、エホバ神の非とされる流血を避けましょう。「平和を求める人」になりましょう。(イザヤ1:15。マタイ5:9)


(12)神の律法を守ってエホバ神の不興を避けましょう


 それで、エホバが言われた通り、イスラエルは血の誤用、偶像崇拝、流血、剣に頼ること、姦淫のために荒廃してしまいました。エホバ神は、歴史を超えて存在しておられます。エホバ神は永遠に存在される神です。詩編には、「定めのない時から定めのない時に至るまで,あなたは神です」と言われています。(詩編90:2)そして、昔の人々に要求されたことを「末の日」の諸国家の政府や人々にも要求されます。
 今日も神の律法を無視するならば、同じことが起きるでしょう。私たちは聖書の神エホバ神の不興を買う行為を慎むようにしましょう。