政府に同意できない場合どうすることができますか

 多くの人は、政府のやり方に同意できない場合、政府を武装攻撃して崩壊させ、思い通りにしようとします。ある国では、学生が政府の建物を占拠しました。政府に同意できない場合、聖書はどう行動することを勧めているでしょうか。


〇武器をとって政府を倒そうとすると命を失う可能性が高い


 聖書は、「我が子よ、エホバと王を恐れよ。変化を求める者たちとかかり合いになるな。・・・変化を求める者たちの消滅にだれが気づくであろうか。」と述べています。(箴言24:21,22)つまり、政権の変化を求めようとすると、突然に消滅することになると述べています。


 エスは「剣を取る者は剣によって滅びる」と述べられました。(マタイ26:52)ですから、政権を倒すために武器を持って戦う人が、滅びる可能性が高いことを聖書は述べています。剣つまり武力をもって政府と戦うと政府は、軍隊や警察を動員します。そのために、政府の軍隊や警察によって命を失って滅びる可能性が高くなります。




A Prayer by Palinopsia_Films (police2)
政権を倒すために武器を取って戦う人は政権によって命を失って滅びる可能性は高くなります




 箴言のこの聖句は、王を恐れるようにとも勧めています。つまり、既成の政治の権威を認めて敬意を払うように勧めています。また、ローマ書でも、「上位の権威に服しなさい」と勧めています。(ローマ13:1)上位の権威とは、王や政治支配者たちのことを意味します。(ローマ13:3)
 

 聖書によると、昔北のイスラエル十部族王国で、部下が王を殺して何度も政権を奪おうとするということがありました。(列王第一15:25-27)その過程で王の反逆者は、首尾よく政権を奪取できた場合もありましたが、政権を奪おうとする過程で、命を失った者も少なくありません。(列王第一16:15-18)


 また、そのように武力で権力を奪った政権は、その統治中も安定せず、比較的に短期間しか続かないことが多く、新しく立てられた政権も武力によって政権を奪われて殺されてしまうという場合が多くありました。(列王第一15:32;16:8-10,15-18。列王第二15:8-10,13,14)


また、ペルシャ帝国の時代にも、ペルシャの王を殺そうとした反逆者は、王に報告され処刑されました。(エステル2:21-23)


 ですから、聖書によると、通常の平和的な方法で、政権を引き継ぐ場合と違って、武力で政権を倒そうとすると、その過程で命を失うケースが多く、またその政権は短命になる傾向があることを示しています。ですから、武力で政権を倒そうとすることは、賢明ではありません。


 アラブの春で、エジプトやリビヤを初めとして多くの国で、多くの人々が長く続いた独裁政権を倒すために戦いました。確かに、独裁政権を倒すことはできましたが、その過程で多くの人々が逮捕されたり命を失ったりしました。このことは、聖書の言葉が真実であることを証明しています。




Syrian Revolution protesters(arabspring7)
アラブの春で武力によって政権を奪取した政権はあまり長く続きませんでした




〇政府に対して敬意を払いつつ辛抱強く請願するという方法を聖書は勧めている


 私たちが、政府と異なる意見を持っていたり、ある問題で困っていて政府なら解決できると考える場合、どうしたらいいでしょうか。
 

 エスは、不当な扱いを受けていたやもめの話をされたことがありました。「神への恐れを抱かず,人に敬意も持たないある裁き人がいました。ところが,その都市にひとりのやもめがいて,しきりに彼のもとに来ては,『わたしが自分の訴訟の相手に対して公正な裁きを得られるようにしてください』と言いました。」


 「さて,しばらくのあいだ彼は気がすすみませんでしたが,後になって自分に言いました,『わたしは神を恐れたり人を敬ったりするわけではないが,とにかく,このやもめが絶えずわたしを煩わすから,彼女が公正な裁きを得られるようにしてやろう。そうすれば,とことんまでやって来てわたしをこづきまわすようなことはないだろう』」。(ルカ18:2-5)

  このイエスの話は、公正の神エホバにあきらめないで辛抱強く祈る必要性について語られたものです。(ルカ18:7,8)しかし、このイエスの話は政府に対して、どのように行動するのが賢明であるかについても教えています。


 このやもめは、お金もなく権威もありませんでした。また、この裁き人は、神に信仰を抱く良心的で人を親切に扱う人でもありませんでした。それでも、そのやもめはその裁き人が公正で良い裁き人と交代するように努力は払いませんでした。


 そうする代わりに、その裁き人のもとにしきりに行って、繰り返し自分の訴えを述べました。その裁き人は、そのやもめの根気強さに負けて、やもめが公正な裁きを得られるようにしました。このやもめは、その過程で命を失うことはなく、自分の当初の目的を達成できました。


 ですから、政府や自治体の役人に行動してもらいたい場合、そのことを敬意をもって辛抱強く繰り返し陳情できます。それが、一番平和的で効果的な方法です。


 結局、今の人間の政治支配者は、神の取決めになっています。(ローマ13:2)クリスチャンは、今の事物の体制が続く間は、人間の政府や自治体が不十分なものであっても、神の取決めとして尊重していくしかありません。


 人間の支配は、他の政権に代わったとしても、完全なものになることはありません。ですから、私たちは神の王国が支配を始めるまで、不完全な人間の支配を甘受していくことが必要です。

 
 それで、聖書は、政府と意見が違う場合、政府の官僚に陳情するという平和的な方法をとることを勧めています。その方が、その過程で命を失う可能性をできるだけ低くすることができます。また、政府から反抗的な者として命を脅かされる可能性も少なくなるでしょう。