啓示18章・大娼婦の抑制されないぜいたく

「地の旅商人たちは彼女の恥知らずのおごりの力で富を得たからである」(啓示18:3)

啓示18章には、大娼婦の別の特徴が冒頭の聖句のように描写されています。地の旅商人たちは彼女の恥知らずのおごりの力で富を得たとあります。「恥知らずのおごり」の語が、新世界訳では、英語で、「shameful luxury」、王国行間逐語訳(英語)では「unreined luxury」となっています。地上の旅商人たちが、大いなるバビロンの抑制されない恥知らずのぜいたくのために富を得たということが示されています。つまり、大いなるバビロンの特徴のひとつは、抑制されないぜいたくのために商業組織を富ませているということです。


アメリカ合衆国はそのような国家でしょうか。


たとえば、世界でもっともエネルギーを大量に消費している国はアメリカです。2001年の統計では、アメリカのエネルギー消費量は世界の26%、世界の四分の一以上を占め、世界一位です。石油、天然ガス、石炭、原子力、水力をすべて合わせた年間の消費量は、二位の中国の約三倍となっています。アメリカは原油の生産量が世界三位を誇っています。けれども、そのあまりの消費量のため原油の輸入量は世界二位となっています。このことからも明らかなように、アメリカ人には大量消費のライフスタイルが完全に定着しています。それで、確かに、大いなるバビロンは石油企業その他の企業や商業組織をもうけさせています。


石油消費の少なからぬ分が自動車保有によるものです。1969年から1995年にかけてアメリカの自動車保有台数は、人口の六倍の速さで増加しました。2000年にアメリカ合衆国の自動車保有台数は2億2千万台、世界の29.6%を占めています。アメリカ人のぜいたくのために、自動車企業など数多くの企業が利益を上げています。


また、アメリカ合衆国は、カード社会として有名であり、銀行が年間40億枚という膨大なクレジットカードを発行しています。これをアメリカの総人口で平均させると一人当り十五枚のクレジットカードを持っていることになります。また、そのあまりの消費天国のために1995年から1999年にかけて個人破産が70%増加しました。それで、ごく普通の多くのアメリカ人が数多くのカードを利用してみずからの支払い能力を超える消費を気軽に続けています。確かにこのことからも、アメリカ合衆国が大量消費社会となっており、抑制されないぜいたくを続けているということが分かります。


世界で最も飽食なのもアメリカ人です。たくさんの残飯を投棄しています。アメリカ人が捨てる残飯の総カロリーは、6000万人分の人口を養って余りあるほどです。また、アメリカ合衆国の貿易は、1980年代以来経常赤字となっており、輸入が輸出を大きく上回っており、輸入大国になっています。それで、このことからも、アメリカでは豪勢なぜいたくのライフスタイルが完全に定着していることが分かります。それで、この点でも大いなるバビロンの特徴はアメリカ合衆国に合致しています。


聖書は富そのものが罪悪であるとは述べていません。しかし、聖書は神を無視して、富や利益を追求するなら、倒壊を経験すると警告しています。(ルカ12:15〜21)聖書は、アメリカが将来倒壊を経験することになると預言しているようです。


それで、大いなるバビロンという大娼婦の特徴は、恐ろしいほどアメリカ合衆国という一つの政治国家の特徴を良く表わしています。細かいことを調べれば、大いなるバビロンの特徴はもっとアメリカに当てはまっているようです。それは、今後調べていきましょう。


〔参考文献〕
面白いほどよくわかるアメリカ 鈴木晟・荒木教夫共著 2006年 日本文芸社

アメリカ 理念と現実 瀬戸岡紘著  2005年 (有)時潮社 93,94,129p

わからなくなった人のためのアメリカ学入門 2003年  洋泉社MOOK