マタイ19章・離婚は幸福をもたらすか

「人を創造された方は,これを初めから男性と女性に造り, 『このゆえに,人は父と母を離れて自分の妻に堅く付き,二人は一体となる』と言われたのです。」(マタイ19:4,5) 


 美男美女の芸能人や有名人が結婚しても、すぐに離婚してしまったというニュースが流れ、一般の人々をがっかりさせることは少なくありません。ある人にとっては、芸能人や有名人の行動は、見倣う手本になっています。


 では、結婚の取り決めを尊重すべきでしょうか。離婚することは、当人に幸福をもたらしますか。エホバ神は一人の男性と一人の女性が夫婦として結び合わされるという結婚の取り決めをエデンの園で始められました。その際にアダムとエバの二人が夫婦として結び合わされるように取り計らわれました。それで結婚の取り決めは神に由来します。エホバ神は人間の幸福を願っておられます。(イザヤ48:17、ヨハネ第一4:8)結婚の取り決めの解消、つまり離婚の理由で神に唯一認められるのは淫行です。(マタイ19:9)


 結婚の取り決めは生涯続くはずのものでした。結婚の取り決めは人間の感情的、身体的必要を恒久的に満たすことができます。さらに経済的、社会的な支えを生涯与えることができる可能性があります。


 エホバ神は離婚をどうご覧になるでしょうか。マラキ書 2章15,16節には次のように記されています。「『あなた方(は)あなた方の霊に関して自ら守り,自分の若い時の妻に対してだれも不信実な振る舞いをしてはならない。神は離婚を憎まれたからである』とイスラエルの神エホバは言われた。」それで、離婚を憎んでおられます。


 では、離婚は当事者に幸福をもたらすでしょうか。離婚すれば,普通経済的に難しい問題が生じます。当事者双方が収入,財産,快適さなどをある程度失うことは避けられません。非常に愛着のある家を失う可能性もあります。支出が増えて減った収入でまかなわなければならないということもよくあります。


 「結婚と家族ジャーナル」誌に掲載された調査によれば,離婚は暗い気持ちやうつ状態の原因となります。調査によると、離婚した人はうつ状態になりやすく,2回以上離婚した人はそれだけうつ状態になる割合が高いという結果が出ています。社会学者のレノール・バイツマンは自著「離婚革命」の中で,離婚した人や別居した人は,精神病院に入る割合が最も高く,病気や早死にや自殺の割合も高いと述べています。


 米国の三人の教授は,「今日の心理学」誌の1977年4月号の中でこう伝えています。「我々が調査した家族の中で,犠牲者のいない離婚など一つもなかった。各家族に少なくとも一人は苦悩を訴えたり,行動に否定的な変化を示したりした者がいた」。その記事は,離婚して気ままな生活を送る男性が永続的な満足を味わっていないことに注目しています。「のんきで,現代的な独身生活というお決まりのイメージは,女性の場合にも長続きしなかった。気まぐれな性関係は,女性に絶望感や抑うつ感を与え,自尊心を失わせる結果になった」。その調査によると、離婚した人々の間では,結婚している人々の場合より,少なくとも三倍も自殺者が多く,アルコール中毒についても同じパターンが見られます。


 統計に表われるこうした離婚の結果を考えると、結婚生活にも問題がともなうとはいえ、結婚関係を終わらせる事は、さらにいっそうの苦しみがもたらされ得ることが分かります。このことは、結婚の取り決めが神の取り決めであり、人間の幸福にある程度貢献することを裏づけています。


 聖書は確かに、聖書的理由のある離婚を認めています。しかしながら、聖書的理由がないならば、問題があるからといって性急に結婚関係を終わらせるのでなく、結婚生活を持続させ、夫婦の関係を改善するように努力するのが賢明だと言えます。また、聖書はたとえ、聖書的な理由があっても、潔白な方が配偶者を許して結婚関係を存続させることも認めています。