サムエル第二13章・婚前交渉と近親相姦

「アムノンは非常に大きな憎しみにかられて彼女を憎みはじめた。それは彼女を憎んだその憎しみが,彼女を愛したその愛よりも大きかったからである。そのため,アムノンは彼女に言った,『起きて,出て行け!』」(サムエル第二13:15) (サムエル第二13:15)


 今日では、結婚前に性関係を持つという婚前交渉をするのは普通になっています。けれども、昔、モーセの律法下では、婚前交渉をした人は恥ずべき愚行をしたとみなされ、死刑に定められていました。(申命記22:21)それで、婚前交渉は淫行であり、エホバ神の目に悪いということが分かります。


 婚前交渉を行なって妊娠してしまっても、恋人に捨てられて傷つくという話はよくあります。聖書の中でも、恋した人をレイプして捨ててしまった話が出てきます。ダビデの息子アムノンは、異母姉妹タマルに恋をして策略を用いてレイプし、その後、冒頭の聖句のように行動したと記録されています。


 婚前交渉をすると、カップルの間の関係を強めることになると考えるかもしれません。けれども、アムノンの場合は、性関係を持った後、恋をしていたタマルに対する気持ちが急激に冷めてしまい、かえって憎むようになってタマルをその場から追い出しました。実際の経験は婚前交渉を行うなら、二人の関係を強めるどころか、破壊するものになる場合が多いということを示しています。


 婚前交渉などの「淫行」は決して恋人に対する真の愛の表われとは言えません。純潔を保ち、結婚するまで性関係を持つのを待つのが、恋人に対する真の愛の表われだと言えます。


 なぜなら、性関係を持つと、妊娠する可能性があります。妊娠したら、どうするのでしょうか。男性は生まれてくる子供に責任を持てますか。また母親となった女性は子どもを育てる準備ができていますか。性関係を持つと妊娠する可能性があることを考えると、結婚するまで待つことが相手に対する真の愛の表れだと言えます。


 あるいは、創造者の目に殺人である堕胎をするのでしょうか。聖書は母体に宿された胎児が神にとって一人の人間であることを示しています。(詩篇139:15)創造者は生まれてくる子供に、子供を愛する二親がそろっていることを意図されました。カップルが結婚しているなら、生まれてくる子供を大抵の場合、歓迎できます。


 それで、聖書の中では、結婚していない男女による性関係は非とされています。さらに、配偶者に性的に忠節であれば、性病に感染することからも守られます。一方、結婚していない人と相手構わず性関係を持つと、性病によって苦しむ可能性が高くなります。


 近親相姦については何が言えますか。近親相姦は、結婚していない男女の間で行われるなら、神の目に非とされている淫行です。 (ヘブライ13:4)モーセの律法下では近親者間の結婚が禁じられていました。(レビ18:6〜16)クリスチャンはモーセの律法下にはありませんが、やはり、多くの国の法律が近親者間の結婚を禁じています。近親相姦は親族の間の信頼関係を損ないます。また、近親婚による子供には、先天性の病気や障害が起きやすいことが知られています。近親相姦も、人に真の幸福をもたらすものだとは言えません。


 実際は、アムノンとタマルの性関係は近親相姦でした。アムノンとタマルは父親が同じだったからです。アムノンとタマルの例は、血がつながった兄弟の間で、恋愛感情が芽生えて淫行に陥ることがあることを示しています。しかし、今まで述べたようにアムノンとタマルの例は、近親相姦が、二人の間に真の愛を築くものにならないことを示しています。


 創造者は人間の幸福を奪おうとして、婚前交渉や近親相姦を禁じておられるのではありません。実際は、婚前交渉や近親相姦が人の幸福を損なうものとなるので、禁じておられることが分かります。エホバ神は人に「[自分を]益することを教える者」と述べられています。(イザヤ48:17)