マタイ4章・悪魔の誘惑をどのように退けるか

「[イエス]は答えて言われた,『人は,パンだけによらず,エホバの口から出るすべてのことばによって生きなければならない』と書いてあります。』」(マタイ4:4) 


 イエスバプテスマを受けられた後、荒野で悪魔の誘惑を受けられました。(マタイ4:1)悪魔は、イエスに間違った判断をさせようとして三度イエスを誘惑しました。イエスはどのようにサタンの誘惑を退けられたでしょうか。
 

 最初にサタンは、イエスに「あなたが神の子であるなら、これらの石に、パンになるように命じなさい。」と誘惑しました。(マタイ4:3)イエスは冒頭の聖句のように答えられました。その時、イエス旧約聖書申命記8章3節を引用して答えられました。その聖句を、イエスはご自分の言葉にして答えておられます。
 

 イエスは、人はエホバの口から出るすべての言葉に従って生きるのが重要なことで、パンには限られた価値しかないこと、限られた価値しかないパンのためだけに、神の子として与えられている奇跡の力を用いるのは、間違っていると言いたかったのでしょう。イエスは、ご自分のご存知の聖書の言葉から、サタンの誘惑を退けられました。
 

 次に、悪魔は、イエスが神の子であるなら、神殿の胸壁の上から、身を投じなさい、神は、使いたちに命じて、イエスを運んで石に足を打ち付けないようにすると書いてありますから、と誘惑しました。ここで、悪魔は、詩篇91編11,12節を引用しました。


 引用聖句は間違っていませんでしたが、悪魔は、イエスが自分の特権的な立場を自分の虚栄心を満足させるような仕方で誤用するように誘惑しました。悪魔は、聖句を用いて、聖句を間違って適用するように仕向けて、誘惑することもあることが分かります。


 イエスは今度も、「『あなたの神エホバを試みてはならない。』と書いてあります。」と言われて、旧約聖書申命記6章16節を引用して答えられました。(マタイ4:7)それで、悪魔は、聖書の言葉を用いてイエスを誤導しようとしましたけれども、イエスは、聖書の言葉の原則から、悪魔の誘惑に乗らないように守られたことが分かります。


 次に悪魔は、イエスに世のすべての王国とその栄光とを見せて、自分に対してひれ伏して崇拝の行為をするならば、これらのすべてをイエスに提供すると申し出ました。(マタイ4:8,9)


 その時、イエスは「サタンよ、離れ去れ!」と言われ、申命記6章13節の聖句の原則をご自分の言葉で言い換えられて答えられました。(マタイ4:10)つまり、ただエホバだけを崇拝しなければならないと言われて、悪魔の誘惑を退けられました。その時、悪魔はイエスを離れました。(マタイ4:11)

 このようにイエスは悪魔の誘惑を受けた時、三度とも聖書の言葉の原則に従って悪魔の誘惑に乗らないように守られたことが分かります。私たちも悪魔や悪魔に用いられた人間から正しい道から逸れるように、誘惑されることがあるかもしれません。悪魔の誘惑に乗せられるとエホバの是認を失い、自分にとって有害な結果をもたらす決定を下してしまうかもしれません。
 

 それで、私たちも悪魔の誘惑に乗らないようにするためには、悪魔の巧妙な誘惑に対処できるように、聖書の言葉の原則を心に良く銘記する必要があるということが分かります。悪魔の誘惑を退けるために、いろいろな状況に対処するための聖書の言葉の原則に精通するようにしなければならないということが分かります。そのために、聖句を覚えるのはいい方法です。いつも、聖句の示す原則に従って決定を下せるようでありたいものです。