ペテロ第二2章・ロトを救った義を愛する心
「無法な人々の放縦でみだらな行ないに大いに苦しんでいた義人ロトを救い出された」(ペテロ第二2:7)
エホバは昔、同性愛にふけっていたソドムとゴモラを滅ぼされました。その時、ロトとその家族はその滅びから救い出されました。ロトは、なぜ助け出されたのでしょうか。調べてみましょう。
み使いたちが旅人のふりをしてソドムにやってきました。み使いたちはソドムへの訪問の目的をアブラハムに告げていたのですが、ソドムの町を調査しようとしていました。み使いたちは、旅人のようにソドムの公共広場にいましたが、彼らを泊めようとする人はソドムの住民にひとりもいませんでした。そこにやってきたロトはみ使いとは知らずに、その男たちに家に泊まるように勧めました。男たちは公共広場に泊まると言ったのですが、ロトは男たちに家に泊まるようにと強いて勧めました。(創世記19:2,3)
ロトはソドムに同性愛者が多いことを知っていました。聖書はロトが、「日々彼らの間に住んで見聞きする事柄により,その不法な行ないのゆえに,自分の義なる魂に堪えがたい苦痛を味わっていた」と述べています。(ペテロ第二2:8)ロトが自分の住んでいる場所で日頃見聞きしている事柄に、非常に悩まされていました。
ロトはソドムの町の人々の同性愛行為について見聞きして嫌悪を覚えていたに違いありません。また、ソドムで日頃誰かが襲われてレイプされたというような事件も見聞きして心を悩ませていたに違いありません。ロトは、正しい心を持っていたので、日頃耳にするニュースに苦しめられていました。
それで、旅人たちが公共広場に泊まるならば、同性愛者たちに襲われる危険があると考えたに違いありません。ロトはソドムを通りかかった旅人たちを自分の力で守りたいと考えたのでしょう。それで、男たちに強いて自分の家に泊まるようにしきりに勧めたのでしょう。それでロトは男たちを招待し、宴を開いてもてなしました。
ロトの家で宴が開かれていると、子供から年寄りまでソドムの男たちが皆、ロトの家に訪れた男たちと同性愛の関係を持つために、こぞってやってきました。(創世記19:4)み使いたちが、ソドムを訪問する目的は、ソドムの状況を調べるためでしたが、み使いたちは、ソドムが全体的に全く道徳的に腐敗していることが分かりました。
ロトは、その時男たちを守ろうとしました。家の入り口の戸から外に出て、やってきた群衆を説得しようとしました。そして、「ただこの人たちにだけは悪いことをしないでください。せっかくわたしの屋根の陰のもとに来たのですから。」と言いました。(創世記19:8)このロトの言葉からも、ロトが男たちを保護しようとして、家に泊めようとしていたということが伺えます。
み使いたちを守ろうとしたロト自身が危険になり、家の戸も破られそうになりました。それで、み使いたちは、入り口にいた男たちを皆打って盲目にならせました。それで、暴徒の脅威はなくなりました。
そしてみ使いたちは、ロトにエホバがソドムを滅ぼそうとしておられるので、自分に属する者を連れ出すようにと言いました。ロトは、み使いたちから知らせを聞いた時、信じました。それは、ロト自身がソドムの状況を憎んでいたからに違いありません。
ロトはふたりの娘たちの将来の婿たちに起ころうとしている事を告げました。婿たちもロトのようにソドムの状況で心を悩ませていたなら、ロトが伝えた警告を真剣に受け取ったかもしれません。しかし、そうではなかったので、婿たちはロトが冗談を言っているとしか思いませんでした。
み使いたちは、ロトとロトの妻、ロトの二人の娘たちを連れ出した後、ソドムとゴモラと周辺の地域に、硫黄と火の雨を降らせました。それで、そこの住民は滅びてしまいました。
ロトの妻は、み使いの命令に逆らって後ろを振り返ったので、塩の柱になって滅びてしまいました。(創世記19:26)ロトの妻は、ソドムに残してきた財産に未練があって振り向いたようです。(ルカ17:31,32)ロトの妻は、物質的なものを重要視していて、ロトのようにソドムの道徳的な堕落を気にかけていなかったのでしょう。それで、ロトの妻は、後ろを振り返ったのでしょう。
それで、ロトは、義を愛する心ゆえに、ソドムで起きていたことに悩んでいましたが、自分で旅人と思った人を守ろうとして、義を愛する心を持っていたことを証明しました。また、ロトはソドムを滅ぼすというエホバの宣告を信じ、それに基づいて行動しました。それゆえに、ロトはエホバからもたらされる災いから保護を受けました。
箴言は、こう述べています。「廉直な者たちが地に住み,とがめのない者たちが[地]に残されるからである。邪悪な者たちは地から断ち滅ぼされ,不実な者たちは[地]から引き抜かれるのである。」(箴言2:21,22)エホバは、今日においても、邪悪な事物の体制に災いをもたらそうとされる時に、エホバの正しい道徳基準を愛している廉直な者たちが保護されるよう取り計らわれるでしょう。