創世記2章・エデンの園の場所はどこにありましたか

「さて,川がエデンから発していて園を潤し,そこから分かれ出て,いわば四つの頭となった。第一のものの名はピションという。・・・また第二の川の名はギホンという。・・・また,第三の川の名はヒデケルという。・・・そして,第四の川はユーフラテスである。」(創世記2:10〜14)


 エデンの園はもともとどこにあったのでしょうか。それについては、推測の域を出ません。


 その地理上の位置を見極めるおもな手がかりは、川が「エデンから発して」、その後四つの「頭」に分かれ、ユーフラテス、ヒデケル、ピションおよびギホンという名の川を生じさせていたという聖書の記述です。(創世記 2:10‐14)ユーフラテス川はよく知られています。「ヒデケル」は古代の碑文の中でチグリス川に対して使われている名称です。しかし、他の二つの川、ピションとギホンについては、今日どこに流れていたのかはわからなくなっています。


 下にチグリス川とユーフラテス川の写真をアップします。



チグリス川




ユーフラテス川




 エデンの園の位置として指摘されている所は、人類が大洪水後の早い時期に文明を発達させた場所の比較的近くにあります。学者たちが一般に受け入れている見方を,P・J・ワイズマンは次のように言い表わしています。「我々が有している現実の証拠,つまり創世記,考古学,および人間の伝承という証拠はすべて,メソポタミア平原を人間が住んだ最古の場所として指し示している。中国のものであろうとインドのものであろうと,極東の文明はその民族の古さの点でこの土地には太刀打ちできない。そこは文明のゆりかごというその主張を容易に立証できるからである」―「創世記に関するバビロニアでの新発見」,1949年,28ページ。


 エデンの園は、メソポタミア平原にあったでしょう。ペルシア湾に流れ込む二大大河のチグリス川、ユーフラテス川の生み出した肥沃な平原がメソポタミア平原です。しかし、メソポタミア平原のどこでしょうか。


 下部メソポタミアペルシャ湾の湾頭付近、チグリス川とユーフラテス川の接近する辺りのどこかがエデンの位置ではないかと論じる人もいます。そうした人々は、ピションとギホンをこの二つの川の間を結ぶ運河と関係づけてきました。しかし、そうなると、これらの川は一つの源から分かれ出る分流ではなく、本流に注ぎ込む流れであることになります。


 むしろ、ヘブライ語の本文は、ユーフラテス川とチグリス川が現在その源流を有する地域のどこかすなわちメソポタミア平原の北にある山岳地帯を指し示しています。それで、アンカー・バイブル(1964年)は,創世記 2章10節に関する注解の中で、「ローシュつまり『頭』の複数形はここでは上流を指しているに違いない。」と述べています。


 伝承によるエデンの園の位置としては、アララト山の南西約225キロ、ヴァン湖の数キロ南、現在のトルコ東部の山岳地帯にあったのではないかと久しく言われてきました。エデンの園は、山々など何らかの自然の障壁によって囲まれていた可能性があります。なぜなら、アダムとエバが出て行った地点である、園の東にのみ、ケルブたちが配置された、と書かれているからです。(創世記 3:24)つまり、園の東以外は山々に囲まれていて、エデンの園への道を守る必要がなかったと考えられます。


 楽園の園からアダムが追放されたのち,エデンの園は、『それを耕し、その世話をする』者がいなくなりました。ですから、エデンの園は、動物だけがそこに住む、ただの自然の豊かな場所となり、最後には押し寄せる大洪水の水によって跡形なくぬぐい去られてしまったのでしょう。そして、エホバ神は命の木の実を誰かがとって食べないように、エデンの園への道をケルブで守られたのですから、誰もそこに来ないようにするのが、神のご意志でした。(創世記3:22,24)ですから、エデンの園の正確な所在が分からなくなったのも神のご意志であったでしょう。


 ユーフラテス川とチグリス川が現在一つの源から出ていないこと、およびピション川とギホン川に当たるものを確定できないのは、恐らくノアの洪水の影響によって地形が変わってしまったからでしょう。ノアの洪水によって、ある川の通り道は埋まり、他の川が造り出されるなど、地形に大きな変化が生じたに違いありません。


 伝承によるものであっても、エデンの園の跡地の写真を準備することはできませんでしたが、伝承によるエデンの園の近辺にあるトルコのヴァン湖の写真をアップします。下の写真は、トルコのヴァン湖の衛星写真です。





 ヴァン湖とは、ワン湖とも言います。トルコ語でVan Gölü。トルコ共和国最大の湖で、イスタンブールから東南東へ1,642キロ、アナトリア東部、イランとの国境付近に位置し、湖面は海抜1,719mです。琵琶湖の5.5倍に当たる3,713平方メートルの塩水湖です。周囲の山々から注ぐ小さな川はいくつかありますが、流れ出る川はありません。インジケファリというニシンの一種が獲れます。湖の東岸にヴァンの町があります。また北西側にはシュプハン山 (4058m) 、南側にはイフティヤル・シャハップ山脈といった、美しい山々に囲まれています。


ヴァン湖の写真は、拡大できれいな写真があります。トルコing へどうぞ。




 伝承によるエデンの園の近くに標高5000メートルを超えるアララト山があります。下にアララト山の写真をアップしました。アララト山とは、ノアの箱船が降り立った山です。(創世記8:4)





 エデンの園は実在したのです。私たちは聖書を読む時に、エデンの園での出来事も本当に起きた出来事として読むことができます。




ヨブ34章・エリフは神を擁護する