婚前交渉をどう見るべきだろうか

以下の記事は、エホバの証人1989年発行の「若い人が尋ねる質問 実際に役立つ答え」の23章「婚前交渉をどう見るべきだろうか」の前半部分からの抜粋です。


『二人が愛し合っていれば,婚前交渉をしても構わないでしょうか。それとも,結婚するまで待つべきでしょうか』。『私はまだ処女ですが,どこかおかしいのでしょうか』。若い人たちはこうした疑問をたくさん抱いています。


アラン・グートマヒャー研究所が1981年に出した報告書は,「十代になっても性行為をしたことのない若者は例外的な存在である」と結論しています。「男子は10人中8人,女子は10人中7人が十代の時に性交を経験している」。


『では,どうしていけないのか』と尋ねる人がいるかもしれません。愛されたいと思うのはごく自然な感情です。また若い時には,心が乱されるほど情欲が募ることもあります。さらに,同年代の仲間の影響があります。彼らは,婚前交渉は楽しく,だれかを好きになると,親密になりたいと思うのはごく自然なことだと言うかもしれません。中には,性関係を持つのは男または女として大人になった証拠である,と言う若者さえいることでしょう。それで変わり者に見られたくないため,仕方なしに,性関係を経験しなければいけないように感じるかもしれません。(省略)


「これが神のご意志であるからです。すなわち,……あなた方が淫行を避けることです」と,テサロニケ第一 4章3節は述べています。しかしなぜ聖書は婚前交渉を禁じているのでしょうか。


あとで現われる影響

婚前交渉を行なった人は聖書時代にもいました。不道徳な女は,若者を放縦な行ないに誘って,「どうか,来てください。朝になるまでわたしたちの愛を満喫しましょう。愛の表現を交わして,ぜひ互いに楽しみましょう」と言うかもしれません。(箴言 7:18)しかし聖書は,今日楽しんでいる快楽も明日には苦痛の原因になり得ると警告しています。「よその女の唇は蜜ばちの巣のように滴りつづけ,その上あごは油よりも滑らかだからである」とソロモンは言い,こう言葉を続けました。「しかし,彼女が後に残す作用は苦よもぎのように苦く,もろ刃の剣のように鋭い」。―箴言 5:3,4。


あとで現われるかもしれないひどい影響の一つは,性行為感染症です。不道徳がもとで,不妊症になるとか,深刻な健康上の問題を抱えるなど,取り返しのつかない害を身に受けたことが何年か後に分かったときの心の痛みを想像してみてください。


箴言 5章11節が警告しているように,『将来あなたの肉体と身体が終わりを迎えるときに,あなたはうめかなければならない』のです。婚前交渉はまた,私生児を妊娠すること,堕胎,あるいは早すぎる結婚につながることがあり,それぞれに苦しい結果が伴います。このように,婚前交渉を行なう人はまさに「自分の体に対して罪をおかしている」のです。―コリント第一 6:18。


リチャード・リー博士はそのような危険があることを認めて,「生物学と医学のエール・ジャーナル」の中でこう書いています。「我々は若い人々に対して,避妊や性病の治療において大きな進歩を遂げたことを誇る。そして妊娠に伴う苦しみや性病の苦しみを防ぎ,最も信頼できて明白な,最も安くて無毒の―昔ながらの,尊敬に値する,そして健康的でさえある,純潔を守るという方法を無視する」。


罪悪感と失望


多くの若者はさらに,婚前交渉がひどい失望をもたらすことに気づきました。どんな結果になるでしょうか。罪悪感と自尊心の低下を感じます。23歳のデニスは,「本当にがっかりしました。予期していた快感や愛の温かさは感じられませんでした。むしろ,その行為がいかに間違っているかを,いやというほど思い知らされました。自分の自制心のなさに恥じ入りました」と正直に語りました。


ある若い女性は次のように告白しました。「現実に戻ったときにはむかつくような挫折感を味わいました。……事が終わってからむらむらと嫌悪の念を催し,自分がいかにも安っぽい,不潔な人間に思えました。『一体どうして君は一線を越えないうちに止めてくれなかったんだ』という彼の言葉に,私は一層惨めな思いをしました」。


ジェイ・シーガル博士によると,そのような反応は少しも珍しくありません。2,436人の大学生の性活動を調査した後,同博士は次のように結論しています。「不満足で失望に終わった[性交の]初体験のほうが,満足と興奮を覚えた初体験よりも2対1の割合で多かった。男性も女性も,ひどく失望したことを覚えている」。むろん夫婦でさえ性行為となると問題があるかもしれません。しかし純粋な愛と誓約のある結婚生活では,そのような問題は大抵解決できます。


乱交の代価


一部の若者たちは性関係を持つことに少しも罪悪感を覚えないため,肉欲の満足を得ることに全力を傾け,さまざまな相手と性関係を持とうとします。


研究者のロバート・ソレンセンは,十代の性行為に関する調査で,そのような若者たちが乱交の代価を払っていることを観察しました。「個人的な面接調査で,[乱交を行なう]多く[の若者]は,……目的も自己満足もないまま生きていると自分で思っていることを明らかにした」と,ソレンセンは書いています。


彼らの46%が,「現在のような生き方では,自分の能力がほとんどむだになってしまう」という一文に対し,自分たちもそう思っていることを認めました。ソレンセンはさらに,乱交を行なうその若者たちが,「自信と自尊心」の低下を報告している点も明らかにしました。


箴言 5章9節が述べるとおり,不道徳な行ないをしている若者は『自分の尊厳を他人に渡してしまう』のです。


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