歴代第二15章・アサは偶像崇拝と戦う

「アサはこれらの言葉と預言者オデドの預言を聞くや、勇気を奮い起こして、ユダとベニヤミンの全地から、また彼がエフライムの山地から奪い取った諸都市から嫌悪すべきものを消えうせさせ(た)。」(歴代第二15:8)


 ユダの王アサは、ソロモン王から、レハベアム、アビヤ、アサとなり、ソロモン王から四代目の王になります。「アサはその神エホバの目に善く、また正しいことを行なった。」と記録されています。(歴代第二14:2)


 ソロモン王の晩年、レハベアム、アビヤの治世に、ユダでは偶像崇拝が行なわれました。(歴代第二12:1。列王第一15:1,3)しかし、アサは偶像崇拝と戦い、ユダにエホバの崇拝をある程度回復しました。


 アサの時代になって、「彼は異国の祭壇と高き所を取り除き、聖柱を打ち壊し、聖木を切り倒した。」と記録されています。(歴代第二14:3)


 高き所とは、単に高くなった場所ではなくて、偶像礼拝が行なわれていた場所や聖堂で、そこには祭壇、聖木、聖柱、彫像、香台などが置かれていました。(申命記 12:2,3。列王第一 14:23。レビ 26:30)また高き所では,偽りの神の祭司が職務を行なっていました。(列王第一 12:31。 列王第二17:29,32)


 聖柱とは、バアルの,または時として他の偽りの神々の陰茎像だったようです。(出エジプト23:24。列王第二 3:2)聖木とは、カナン人の多産の女神アシェラを表わしていると考えられています。聖柱が男性の本質を表わすのに対して,聖木は女性の本質を表わしていたのではないかと言われてきました。


 アサは偽りの神への崇拝に付属するものを取り除きました。また、アサは、オデドの子アザリヤに神の霊が臨んで言った言葉や、預言者オデドの預言を聞くや、勇気を奮い起こして、ユダとベニヤミンの全土やエフライムの諸都市から嫌悪すべきものを消えうせさせました。


 嫌悪すべきものとは何でしょうか。ヘブライ語の名詞シックーツ(嫌悪すべきもの)という言葉は主として偶像や偶像礼拝の慣行に関して用いられており、エホバの真の崇拝の見地から見て不快なものを指しています。









 例えば、エジプト脱出の際,エホバはイスラエル人に「嫌悪すべきもの」や「エジプトの糞像」を投げ捨てるよう指示されました。(エゼ 20:7,8)このように「嫌悪すべきもの」という語は、エジプトの偶像と同義で使われています。また、「アンモン人の嫌悪すべきものミルコム」とか、「モアブの嫌悪すべきものケモシュ」という表現があるように、諸国民の偽りの神を指して「嫌悪すべきもの」という語が用いられています。(列王第一 11:5,7。 列王第二 23:13)


 ですから、アサ王が嫌悪すべきものを消えうせさせたとは、偶像や偽りの神々などを自分の領土から排除したという意味であったことが分かります。


 また、アサは、祖母マアカが聖木のために恐ろしい偶像を造ったので、彼女を貴婦人の身分から退けました。そして、マアカの造った偶像を切り倒して、それを粉砕して焼きました。(歴代第二15:16)それで、アサの身近な親族の中にも、エホバの崇拝から離れ、偶像崇拝をしている者がいましたが、アサはそれを大目に見ることなく、ユダの王としての権威を十分に行使して、偶像崇拝と戦いました。


 エホバは、そのように偶像崇拝と戦ったアサをほめて、「アサの心は、一生涯完全であった。」と記録しています。(歴代第二15:17)


 私たちは、王ではありませんから、自分で行なえることは限られています。しかし、それでも、自分の権威が及ぶところでは、偶像崇拝を排除するようにして、アサの模範に見ならうことができます。


 聖書は、「偶像礼拝から逃げ去りなさい。」「子供らよ,自分を偶像から守りなさい。」と助言しています。(コリント第二10:14。ヨハネ第一5:21)サタンの世の中では偶像崇拝がはびこっています。エホバの是認を得るためには、偶像崇拝を避けることが必要です。私たちは、アサのように自分の権威が及ぶところからは、偶像を排除しましょう。少なくとも、自分が偶像崇拝に陥らないように、最善の努力を払いましょう。





ヨブ42章・ヨブは忠誠の報いを受ける


歴代第二24章・エホアシュ王はエホバを捨てて裁かれる