ネヘミヤ13章・ネヘミヤは歴史から教訓を得て行動する

イスラエルの王ソロモンが罪をおかしたのは,これらのことのためではありませんでしたか。しかも,多くの国々の民の中に彼のような王はいませんでした。彼はその神に愛されていたので,神は彼を全イスラエルの王とされました。その彼にさえ,異国の妻たちは罪をおかさせたのです。」(ネヘミヤ13:26)


 ネヘミヤは、ペルシャの王の献酌官という安定した立場を置いてユダの総督になり、エルサレムの城壁を再建しました。ネヘミヤは、十二年ユダの総督でしたが、しばらくペルシャに戻りそれからまたユダにやってきました。その時、ネヘミヤは、神の言葉をよく読んでその歴史の教訓から益を得ていたことを示しました。彼は、何をしたでしょうか。


 モーセの律法下では、イスラエル人は、諸国民との婚姻は禁じられていました。(申命記 7:2‐4)しかし、流刑からもどったイスラエル人の中には、異国の妻をめとっていた者もいました。それで、エズラの指導の下で、異国の妻とその子供たちを去らせてユダヤ人を清めることが行なわれていました。(エズラ10:44)


 そして、ネヘミヤがユダの総督であった時に行なわれた仮小屋の祭りの際には、ユダヤ人はモーセの律法に従い、異国の妻をめとらないという誓いに加わりました。(ネヘミヤ10:29,30)ネヘミヤが、十二年間、ユダヤの総督であった間、ネヘミヤは、ユダヤ人の霊的状態を見守りました。ところが、ネヘミヤが一定の期間ユダから離れまた戻ってみると、ユダヤ人の間では嘆かわしい霊的状態が見られるようになっていました。


 ユダヤ人の中には、再び異国の妻をめとっていた者たちがいたのです。それらの者が異国の女によってもうけた子らは,ユダヤ人のことばを話すことさえできなかったのです。(ネヘミヤ13:23,24)


 ネヘミヤは、彼らに対して断固たる行動をとりました。ネヘミヤは、その際に、歴史から得られる教訓について言及しています。冒頭の聖句にあるように、ネヘミヤは、神に愛されたソロモン王が偶像崇拝に陥って失敗してしまった例を述べました。それは、ソロモン王がエホバを崇拝しない異国の者と結婚したことが原因でした。ネヘミヤは、列王第一11章にある記述に言及していました。(列王第一11:1〜8)


 列王記の記録は、バビロンによるエルサレムの滅びから27年たった、西暦前580年頃までには記されたと考えられています。(列王第二25:27)列王記の記録は、ユダヤ人の間で聖典として認められており、ネヘミヤは、聖書の写字生エズラとも交友があったので、そうした聖書の記録を手に入れて読むことができたのでしょう。


 イスラエルは、ソロモンの背教に始まる偶像崇拝により、バビロンに滅ぼされバビロンに流刑にされることになりました。ソロモンの背教は、もとはと言えば、ソロモンが異国の妻をめとったことが原因でした。イスラエルの残りの者がエホバに許されて帰還して、エホバの崇拝を復興できたのですから、ユダヤ人は、その歴史から教訓を学んで、エホバの崇拝者でない異国の者との婚姻関係を結ぶべきではありませんでした。


 ネヘミヤは、その当時、入手できた聖書の記録を真剣に読んでおり、それから教訓を得て、エホバの崇拝に固く付き従う行動をとりました。ネヘミヤは、異国の者たちと婚姻関係を結んでいたイスラエル人たちに懲らしめを与えることをしました。


 「そこで,わたし(ネヘミヤ)は彼らをとがめ,彼らの上に災いを呼び求め,そのうちの何人かの者を打ち,その毛を引き抜き,神にかけてこう誓わせるようになった。『あなた方は娘を彼らの息子に与えてはならず,あなた方の息子,あるいはあなた方自身のために彼らの娘のだれをも迎えてはなりません』」と記録されています。(ネヘミヤ13:25)


 ネヘミヤは異国の者をめとってモーセの律法に違反していた者たちを厳しくとがめました。ネヘミヤは彼らを「打ち」ましたが,多分,個人的にそうしたのではなく,公式の司法上の行動として彼らをむち打つよう命じたのでしょう。(エズラ9:3)


 ネヘミヤ13章には、「わたし(ネヘミヤ)はすべての異国のものから彼らを浄め(た)」記されているので、ネヘミヤは、以前エズラがそうしたように、異国の者との結婚について断固たる処置をとり、ユダヤ人たちが異国の妻から離れるようにしたのでしょう。(ネヘミヤ13:30)


 私たちも、エホバの崇拝に固く付くために、ネヘミヤのように聖書を読んで、その歴史の教訓から益を得るようにしましょう。私たちはモーセの律法下にはないので、偶像崇拝を行なう未信者と離婚する聖書的根拠はありません。聖書が認めている離婚の聖書的根拠はあくまで淫行です。しかし、独身の人は、エホバの崇拝から離れる原因になる偶像崇拝を行なう未信者との結婚を避けるようにしましょう。(コリント第一7:39)



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