詩編55編・以前の親密な仲間から裏切られる

「わたしをそしるようになったのは敵ではないからです。 そうでなければ,わたしは耐えられたでしょう。 ・・・ そうではなく,それはわたしと並ぶ者であった死すべき人間, わたしの親密な者,わたしの知己であったあなただったのだ。わたしたちは親愛の情を抱く仲だったからだ。 わたしたちは群集と共に神の家へ歩いたものだった。」(詩編55:12〜14)


あなたは、親しかった信仰の仲間から裏切られたことがありますか。それは、あなたに大きなダメージを与えたかもしれません。ダビデは、詩編55編の中で、親しい間柄だった仲間の神の崇拝者から裏切られたことを述べています。以前仲間の崇拝者だったゆえに、その者は、ダビデのことを知り尽くしており、その攻撃は効果的でした。それゆえにその攻撃は、ダビデの命を脅かすものとなりました。


ダビデを裏切ったのは、アヒトフェルでした。アヒトフェルは、おそらくダビデの妻となったバテ・シバの祖父で、ダビデと大変親しい関係にありました。(サムエル第二 11:3; 23:34)アヒトフェルは、以前ダビデに助言を与えていた賢い人でした。アヒトフェルの助言は、的を得ていたので、あたかもエホバから直接伝えられた言葉のようでした。(サムエル第二16:23)


かつてアヒトフェルはダビデと共にエホバを崇拝していました。しかし、アヒトフェルは、裏切り者となり、王に反対してクーデターを起こしたダビデの子アブサロムに荷担しました。アヒトフェルは,ダビデのそばめたちを犯すようアブサロムに勧め、早急に軍隊を召集し、ダビデが混乱に陥って弱っているうちにダビデを追い詰めて殺す許可を願い出ました。(サムエル第二15:31; 16:21; 17:1‐4)もし、アヒトフェルの助言が実行されていたなら、ダビデのグループも敗北し、ダビデも命を失っていたかもしれません。


しかし、ダビデは、「エホバよ、どうか、アヒトフェルの助言を愚かなものにしてください。」と祈りました。(サムエル第二15:31)エホバはダビデの願いを聞き届け、ダビデの友フシャイを用いてアヒトフェルの企てをざ折させました。そして、アヒトフェルの助言ではなくフシャイの助言が実施されることになりました。その時、アヒトフェルは、面目を失ってしまったと考えたのでしょう。あるいは、アヒトフェルはアブサロムの反乱が失敗に終わることを悟ったのかもしれません。(サムエル第二 15:34; 17:7,14)アヒトフェルは自殺を遂げました。(サムエル第二 17:23)


ダビデに起きたことは、メシアであったイエスにも成就しました。イエスも親しかった仲間の崇拝者から裏切られました。イエスを裏切ったのは、イスカリオテのユダでした。イスカリオテのユダ十二使徒のひとりとして選ばれただけでなく,イエス十二使徒の共同基金の管理をゆだねられていました。これは,ユダがその時点では大変忠実で信頼できる人物とみなされていたことを示しています。イエスにとっても一時は大変信頼していた使徒の裏切りはつらいものだったでしょう。ユダもアヒトフェルのようにイエスを裏切った後、自殺を遂げました。(マタイ27:5。使徒1:18)


親しかった仲間の崇拝者に裏切られるというのは、ダビデにとってもイエスにとっても大きな痛手でした。その裏切りは、効果的でした。サタンは私たちにも効果的な試練をもたらすかもしれません。私たちもダビデやイエスのように親しい仲間の崇拝者から裏切られるという試練を受けることもあるかもしれません。その時、どのように対処したらいいでしょうか。詩編55編はこのように答えています。


「あなたの重荷をエホバご自身にゆだねよ。 そうすれば,[神]が自らあなたを支えてくださる。 [神]は義なる者がよろめかされることを決してお許しにならない。」(詩編55:22)ダビデはエホバ神に依り頼んで祈ったので、エホバはアヒトフェルの裏切りがダビデに害を及ぼさないように取り計らわれました。イエスもエホバに依り頼んだので、エホバはイエスが最後まで忠誠を保つように助け、イエスは勝利を収めて復活させられました。


忠実な神の僕がどんな試練を受けるにしても、エホバ神はご自分に依り頼む忠実な神の僕の味方となってくださいます。私たちはどんな試練を経験するとしても、ダビデやイエスのようにエホバに祈り、エホバに最後まで、忠誠を示すようにしましょう。そうするならば、エホバは、私たちを支えてくださるでしょう。


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