エゼキエル23章−新・大娼婦との軍事同盟と偶像崇拝

「あなたが売春婦のようになって諸国民について行くからである。あなたが彼らの糞像で身を汚したからである。」(エゼキエル23:30)


エゼキエル23章では、国家が比ゆ的に売春をしたと述べられています。国家の売春とは何でしょうか。この理解は、諸政府が大娼婦と淫行をすることが何を意味するかを教えてくれます。


エゼキエル23章には、オホラとオホリパという売春をするふたりの姉妹が登場します。オホラは「サマリヤ」つまり北の十部族イスラエル、オホリバは「エルサレム」つまり南の二部族ユダを表しています。(エゼキエル23:4)ふたりは、「わたし(エホバ)のもの」となったと述べられています。(エゼキエル23:4,5)ですから、両国とも、神からモーセの律法を与えられたイスラエルから派生していました。ですから、両国とも国家としてエホバと契約し、エホバに従う義務を負っており、比ゆ的にエホバ神との結婚関係にありました。


しかし、オホラは、エホバに「従属する身」でありながら、「売春を行なう」ようになりました。(エゼキエル23:5)では、オホラの売春とは何だったのでしょうか。オホラは「アッシリア人に欲情を燃やしつづけ」、また、オホラは、アッシリアの「糞像によって身を汚した」と述べられています。(エゼキエル23:5,8)また、オホラは、「エジプトから携えてきた売春を捨てなかった」と述べられています。(エゼキエル23:8)


ですから、北のイスラエルアッシリアやエジプトという国家に頼ること、そしてそれらの国家の偶像を崇拝することは、神の目に北のイスラエルが売春をすることを意味しました。


イスラエルの王メナヘムはアッシリア王プルに銀を支払い、「王国を自分の手のうちに強める」ようとしました。(列王第二15:19)また、イスラエルの王ホシェアはエジプトの王ソに使者を遣わし、貢を納めていたアッシリアの王シャルマネセル(5世)の脅威から守ってもらおうとしました。(列王第二17:3,4)北のイスラエルのそうした行為は、エホバの目に売春でした。(ホセア5:13;7:10,11;8:9)それで、エホバは北のイスラエル「オホラ」をアッシリアの手に渡し、み前から除かれました。(エゼキエル23:9。列王第二17:23)


では、「オホリバ」南のユダ王国はどうだったでしょうか。彼女もアッシリアに対して「欲情を燃やし」ただけでなく、「バビロンの子ら」と「不倫な交わり」をしました。(エゼキエル23:16,18)その売春は姉オホリバの「淫行をしのぐ」ものでした。(エゼキエル23:11,12)


ユダの王アハズは、シリアと北のイスラエルの脅威から逃れるために、アッシリアの王ティグラト・ピレセル(3世)にわいろを贈りました。(列王第二16:7,8。歴代第二28:16)アハズはまた、シリアの王たちの神々に助けてもらうために、ダマスカスの神々を偶像崇拝しました。(歴代第二28:23)



Tiglath-Pileser III, king of Assyria (744–727 BC). Gypsum alabaster relief from Tiglath-Pileser's palace at Nimrud
ティグラト・ピレセル三世−ユダのアハズはこの王に頼ってわいろを贈った



また、ユダのヒゼキヤ王は、アッシリアの脅威にさらされていたので、おそらくバビロンに頼る気持ちがあったのでしょう。全領土にある貴重なものをバビロンの王の使者に見せました。(列王第二20:12,13)それで、ユダもアッシリアやバビロンに頼り、エホバの目に売春を行ないました。


ユダの売春ゆえにエホバはユダに「嫌悪の情」を抱き、ユダにバビロンを攻め来たらせて裁きを行なわせました。(エゼキエル23:18,22-24)



The Flight of the Prisoners, c. 1896-1902
売春のためユダはバビロンから攻められ流刑にされることになった


啓示の書に登場する「地の王たち」も大いなるバビロンと「淫行」をしています。(啓示17:1,2)つまり、大いなるバビロンも、地の王たちと「淫行」を行なっていますが、その逆も淫行であり、売春です。(エゼキエル23:11)啓示の書に「娼婦たち」が登場します。「大娼婦」は、大いなるバビロン、南の王です。「娼婦たち」とは、南の王の軍事力に頼る「地の王たち」です。


私は、以前、淫行とは、キリスト教国家である大いなるバビロンだけが犯すと考えていました。しかし、多くの国家がその国民の一部にキリスト教徒を含んでいます。また、多くの諸政府の高官はキリスト教を奉じているでしょう。ですから、諸政府が、南の王など他の世界強国の軍事力に頼って軍事同盟を結ぶことは、神の目に「淫行」であり「売春」だと言えます。


また、私は以前アメリカに服するのが聖書的に正しいと解釈していました。しかし、聖書をさらに検討して、世界強国の間で、中立の立場をとるのが聖書的に正しいと考えるようになりました。私の以前の聖書の解釈によって判断を誤った方がおられたら、申し訳ありませんでした。


さらに、単に世界強国の軍事力を頼りにするだけでなく、共に軍事行動を行なうことも、当然淫行です。また、そうすることは人々の血を流すこと、すなわち「流血」ですから、神の目にさらに一層はなはだしい罪です。



111031-N-BT947-011.jpg by Commander, U.S. 7th Fleet
PACIFIC OCEAN (Oct. 31,2011) - Japan Maritime Self Defense Force(JMSDF) helicopter destroyer JDS Hyuga (DDH 181) transfers supplies from the Military Sealift Command fleet replenishment oiler USNS Walter S. Diehl (T-AO 193) during a replenishment-at-sea while participating in Annual Exercise 2011
大娼婦と共に軍事行動を行なうことは淫行であり流血という大罪



多くの諸政府が、アメリカと軍事同盟を結んで、その軍事力に頼っています。その主なものは2010年に28カ国が加盟している北大西洋条約機構NATO)です。他に日本、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、台湾、タイがアメリカと軍事同盟を結んでいます。リオ協定は、中南米諸国によって結ばれたアメリカとの集団的防衛条約です。


しかし、米国を中心とした軍事同盟は、多くの国家が脱退したり、事実上機能不全となっています。しかし、新たな軍事強国の台頭により、一層アメリカとの軍事同盟を強化しようという傾向も見られます。


昔の北のイスラエルと南のユダの売春がエホバからの不興を買ったように、地の王たちが南の王に軍事的に頼ったり、共に軍事行動を取るならば、エホバの不興を買うことになります。また、北のイスラエルアッシリアによって滅び、南のユダが頼ったアッシリアにより攻撃され、バビロンによってダビデの王統の王が断たれてしまったように、軍事強国に頼ることはかえって悪い結果になるでしょう。


しかし、聖書の預言は私たちのための「警告」として与えられています。(コリント第一10:11)聖書の警告に従って行動すれば、エホバの是認を取り戻し、結果は違ってくるでしょう。また、悪い預言が起こるのを個人的に避けることができたり、その時を遅くすることができるでしょう。


エゼキエル23章のふたつの国家についてのたとえ話は、諸政府が、南の王との軍事同盟を避け、とりわけ、軍事行動を共に行なうことのないように、警告を与えるものとなります。(啓示17:6;18:4)
 
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