詩編106編・死者への犠牲は神の怒りを引き起こす

「彼らはペオルのバアルを愛慕し、死者の犠牲を食べるようになりました。彼らがその行動によって怒りを引き起こしていたとき、彼らの間に今度は神罰が激しく下りました。」（詩編106：28，29）

詩編106編28節では、エジプトから救い出されたイスラエル人が荒野で死者の犠牲を食べて神の怒りを引き起こし、神罰を受けたことが述べられています。イスラエル人にどんな出来事が起きたのでしょうか。今日それはどんな慣行を意味していますか。

バアルを崇拝し死者の犠牲を食べるとは、民数記25章の冒頭に出てくる出来事です。イスラエル人は、モアブの平原に宿営していましたが、エジプトから出て四十年にわたる荒野での放浪も最後に近づいていました。イスラエル人は、エジプトの奴隷状態から救い出されて、神の律法を与えられ、神の指導を四十年も受けていましたが、神への十分な信仰を示さず、神の怒りを引き起こしました。

モアブ人の王バラクは、イスラエル人を恐れ何とかしてイスラエル人を弱めようとしました。預言者バラムはモアブ人の王バラクに、イスラエル人がエホバの不興を買うように取り計らうようにと提案しました。（民数記31:15，16）

バラクは、バラムの提案を実行して、モアブの娘たちにイスラエル人を誘惑させ、イスラエル人は、モアブの娘たちと不道徳な関係を持ちました。さらに女たちは、イスラエル人をバアルの神々に犠牲をささげる宴にいざないました。その結果イスラエル人は、バアルへの偶像崇拝に陥りました。イスラエル人が偶像崇拝と淫行の誘惑に陥ったために、イスラエル人はエホバの怒りを買うことになりました。（民数記25：1〜3）

Baal with thunderbolt. Found at the acropolis in Ras Shamra-Ugarit.
シリアのラスシャムラウガリットのアクロポリスにある雷のバアル
イスラエル人はバアル神に対する偶像崇拝と淫行に陥りました

バアルを崇拝していた民の頭たちは、エホバの命令で処刑されることになりました。（民数記25：4，５）そして、幾万人ものイスラエル人が、神罰の疫病により命を失いました。（民数記25：9）約束の地に入る直前だったのに、彼らはその報いを得ることができませんでした。

啓示2章には、バラムがバラクを用いてイスラエル人に罪を犯させたことが述べられています。そして、イスラエル人が食べたものが、啓示では「偶像に・・・ささげられたもの」とあり、詩編には「死者の犠牲」と述べられています。（啓示2：14。詩編106：28）

イスラエル人は、バアルという偽りの神の崇拝を行っていました。そして、おそらくバアル神は同時に死者とみなされていたのでしょう。それで、イスラエル人は、偽りの神に対する崇拝と死者に対する崇拝を、混ぜ合わせていたのでしょう。日本で言えば、仏像を拝んで、先祖を崇拝するとみなすのと同じでしょう。

中宮寺菩薩半跏像　by Dakiny
日本では仏像を拝んで先祖崇拝をします
イスラエル人はバアル崇拝と死者への崇拝を混ぜ合わせていたようです

聖書は、死者を「死んだ無力な者たち」と述べています。ですから、死者が無存在になっており、何も行なえない無力な存在だと述べています。（詩編88：10；115：17)ですから、死者を崇拝するのは意味がありません。死者に犠牲をささげることも無意味なことです。

R0010886　by duck75
死者は存在せず何も行なえない無力な者となっています
死者を崇拝しても何もしてもらえません

そして、聖書は「死者の復活」があると述べています。（マタイ22：31)死者を崇拝せず、エホバを崇拝する人は、地上の楽園で死者を復活によって迎えることができます。

A tight hug by QuinnDombrowski
エホバを崇拝する人は楽園で死者を迎えます

コリント第一8章には、偶像にささげられた食物を食べることが何を意味するかが説明されています。そこに、「偶像」は「無きに等しいものである」ことが述べられています。（コリント第一8：4)それで、偶像に食べ物をささげるということは、存在しないものに食べ物をささげることになります。それによって食べ物に何かの変化があるわけではありません。それで、偶像にささげられた食べ物を食べることは何も悪いことではありません。

しかし、ある人々は「偶像に対する犠牲の捧げ物として食物を食べ」ます。（コリント第一8：7)その場合、それは神から偶像崇拝とみなされます。

偶像にささげられた食べ物を食べることによって、良心の弱い人の偶像崇拝を促進することのないように聖書は勧めています。それで、偶像に意味がないと知っていても偶像にささげられたものを食べるならば、それを見た人の偶像崇拝を促進すると考えて、偶像にささげられたものを食べることを避ける人もいます。

死者へ犠牲を捧げる行為のひとつとして、焼香があります。日本で行なわれる仏教の通夜、葬儀、法要などでは、参列者は焼香をするよう求められます。焼香では細かくした抹香をつまみ、香炉にパラパラと落として焚いたり、線香を火をつけて焚いたりします。

高尾山44 by nakimusi
線香を火をつけて焚く焼香は死者への犠牲で神の不興を招きます

もし「あなたの神エホバをあなたは崇拝しなければならず，彼だけに神聖な奉仕をささげなければならない」という言葉に従いたいと思うならば，当然そのような偶像崇拝や死者の崇拝をすることはできないはずです。（マタイ 4:10）それは、エホバの不興を招きます。

私たちは昔イスラエル人に起こったことから教訓を得て、エホバの不興を買う偶像崇拝をしないようにしましょう。

[ライブドアの最近の更新]
ダニエル11章・捕らわれになる聖なる者たち