ルカ12章・人の命の存続を決定するエホバ神

「神は彼に言われました。『道理をわきまえない者よ、今夜、あなたの魂は求められる。そうしたら、あなたの蓄えた物はだれのものになるのか』。自分のために宝をためても、神に対して、富んでいない者はこうなるのです。」（ルカ12：20，21)

　イエスはある富んだ人のたとえ話をされました。そのたとえ話の中で、エホバ神は、その富んだ人に対して、「今夜、あなたの魂は求められる」と言われました。（ルカ12：20) 実話ではありませんでしたが、そのたとえ話はエホバ神が私たちの命の存続を決定されることを示しています。その富んだ人は、富や自分の慰安だけを追い求める神を考慮に入れない生活をしていました。（ルカ12：16-19)

　「今夜、あなたの魂は求められる」とは何を意味するでしょうか。例えば、ユダの人々を殺したバビロンのネブカドレザル王やカルデア人（バビロニア人）は、「魂を求める者たち」と述べられています。（エレミヤ19：7；22：25；34：20)ですから、「魂を求める」とは、人の命を奪うという意味があります。

　ですから、そのたとえ話の中で、エホバ神は、その富んだ人の命をその日のうちに奪われました。エホバ神は、自分の計画に夢中になって神を考慮に入れない生き方をしていいる人の命をその晩に、終わらせる決定をされる場合があることが分かります。

　しかし、エホバ神は通常このようにされません。聖書は、神が信仰を持たない諸国民に対しても、自然界の恵みや食物を享受しながら自分たちの望むままに生き続けるままにされると述べています。（使徒14：16，17）

fruit and vegetables　by Ira Gelb（fruitandvegetable)
エホバ神は信仰を持たない諸国民が豊かな自然の恵みを享受することを許されます

　また、イエスは、天の父が親切に「邪悪な者」や「不義なる者の上にも」「ご自分の太陽を昇らせ」「雨を降らせてくださる」と言われました。（ルカ6：35。マタイ5：45）

Spring Flare by Danielle Scott(glaringsun9)
天の父は悔い改めることを望まれるので邪悪な者の上にも太陽を昇らせ・・・

Rain rain rain rain rain... by GreyHobbit(rain)
雨を降らせて生き続けることを許されます

このことは、たとえエホバに信仰を持たない悪いことを行なう人であっても、エホバ神は、その人が生き続けてご自分が作られた自然界の恵みを楽しむままにされることを示しています。また、ヨブは、「邪悪な人々が生き続け、年老いて(いる)」場合があると述べました。（ヨブ21：7，8，9。サムエル第二 7:14）

エホバが、普通ご自分に信仰を働かせないとか、感謝しないという理由で、その人の命をとることはされないのは、エホバ神は基本的に神に信仰を持たない人でも、悔い改めて生き続けることを望んでおられるからです。（エゼキエル 33:11）

しかし、エホバ神が、ご自分のご意志に反対する人の命を終わらせる例は多くはありませんが、そういう例がないわけではありません。例えば、ヨハネの兄弟ヤコブを剣で殺したヘロデ王は、演説をした時に、人々から過度の賞賛を得ても神に栄光を帰しませんでした。それで、「たちどころにエホバのみ使いが彼を撃った。・・・そして，彼は虫に食われて息絶えた。」と記録されています。（使徒12：21-23)それで、エホバはみ使いによりヘロデの命を取り去って、ヤコブの血を流したことに対する当然の報いを臨ませました。

さらに、エホバは、神の民を虐待していたエジプトのファラオに対して目的があって「あなたを存在させておいた」と言われました。（出エジプト9：16)しかし、ファラオはかたくなにエホバに反対したので最終的には命を失いました。他にも、昔の預言者エリヤ、エリシャ、エレミヤなどにかたくなに反抗した人々で、エホバに裁かれ命を失った人もいます。（列王第二1：10，12。列王第二2：24。エレミヤ28：15，16）

さらに私はエホバの証人を猛烈に迫害する反対者が、突然早期に命を失ってしまうという例を聞くことがあります。例えば、第二次世界大戦中、多くのエホバの証人はヒットラーによって強制収容所に送られました。その中に、ザクセンハウゼン強制収容所があり、ひとりの司令官はフォアスクエア（正方形）というあだ名を持っていました。彼は、「おれはエホバを相手にして戦うことにしたのだ。おれか，それともエホバか，どっちが強いか確かめるのだ」と言っていました。

その収容所に送られたアウグスト・ディックマンという若者は、エホバとその組織とのいっさいの縁を切るという趣旨の宣言書に署名するよう圧力をかけられ、いったん署名してしまいました。しかし、彼は、考えを変え、後にその署名の取り消しを願い出ました。その結果、フォアスクエアは彼を銃殺にしました。しかし、フォアスクエアは、デックマンの処刑後ほんの数回収容所にその姿を見せただけでひどい病気にかかって5か月後死にました。

また、クリスチャンの奥さんを非常に激しく迫害していたご主人が、早期に病気で命を失ったということを個人的にも聞きました。そのような例を時たま聞くことがあります。ですから、エホバはご自分に対して激しく反対する人の命を取ることにされることがあるように思われます。でも、怒り狂って無実の人々を迫害することは、確かにその人自身の健康にも非常に悪いでしょう。

聖書は迫害されても、自分で復しゅうするのではなく、神の憤りに任せるようにと勧めています。エホバは「わたしが返報する」と言われています。（ローマ12：19)ですから、エホバ神は、神の民の迫害する者に対してその復しゅうとして、今の事物の体制下で命を奪うことがあるようです。

聖書はエホバ神が私たち人間に永遠の命を与えるか、永遠の裁きにするかを決定されることを示しています。（マタイ24：46）それは、イエス・キリストを通して行われます。（マタイ25：31，32，46) ルカ12章5節では、エホバ神を、「殺したあとにゲヘナに投げ込む権威のある方」と述べています。「ゲヘナに投げ込む」とは、その人を復活させないという決定をされる、つまり、その人を永遠の裁きにされるという意味です。

エホバ神は、ご自分の目的を必ず達成されます。（イザヤ55：11)それで、ご自分の目的の達成にどうしても必要な場合、めったにありませんが、今の事物の体制下である人の命を終わらせるということもあります。けれども、エホバ神がそうされるからといって、エホバ神が不当なことをされているとは言えません。エホバ神は人間の「命の源」ですし、人間は「神によって命を持ち、動き、存在して」います。（詩編36：9。使徒17：28)ですから、エホバ神は私たちが生き続けるか死ぬかを決定する正当な権利を持っておられると思います。

また、エホバ神は、望むならば、ある人の命を終わらせたとしても、将来その人を復活させて、その人が神の恵みを得るチャンスをもう一度与えることができます。（使徒24：15) 人間や悪霊は私たちの現在の命を奪うことはできますが、エホバ神が私たちを復活させるのを阻むことはできません。ですから、私たちの命の見込みは、エホバの決定に依存していると言えます。つまり私たちの命は、エホバのみ手のうちにあると言えると思います。（ヤコブ4：13-15)

Trammell gets a hug　by adactio（hug8)
聖書は地上の楽園に神が望まれるなら良い人でも悪い人であっても復活させてくださることを約束している

ですから、私たちは第一にエホバを恐れるのが正当でまた賢いことだと思います。物質的な富を蓄えても、それは私たちの命を延ばすことにはなりません。ただ、エホバ神の前で良い記録という富を蓄えた時にのみ、エホバ神から好意的な裁きを受けることができます。私たちは、生活の中でエホバ神の是認を求めて生活しましょう。