創世記3章・女と女の胤と蛇と蛇の胤が表わす実体

「わたしは,お前と女との間,またお前の胤と女の胤との間に敵意を置く。彼はお前の頭を砕き,お前は彼のかかとを砕くであろう。」(創世記3:15)


エデンの園で、蛇がアダムとエバに罪を犯させた後、エホバは蛇に対して上記の預言を語られました。その中で、蛇と蛇の胤、女と女の胤が登場します。それら四者は聖書の歴史を通して存在するはずです。啓示の書でも、登場することでしょう。それらは、それぞれ何を表しているのでしょうか。私たちは、それら四者とどのように関係していますか。


まず、蛇と蛇の胤は何を表しているのか調べてみましょう。聖書の中で、悪魔サタンは、「初めからの蛇」と言われています。(啓示12:9)ですから、創世記3章15節の「蛇」は、エバを欺いた蛇の背後にいた悪魔サタンです。


では、胤とは何を意味するのでしょうか。胤はヘブライ語はゼラでギリシャ語はスペルマです。ふたつの語は対応しています。どちらも「種」あるいは「胤」と訳されています。ゼラとスペルマは、動物や人間に関連している場合、それらの語は、多くの翻訳で「種」もしくは「胤」と訳されており、「子孫」を意味しています。(創世記21:12,13)


蛇の胤は誰でしょうか。イエスは、ご自分に敵対した当時の「偽善者なる書士とパリサイ人たち」に対して、「蛇よ,まむしらの子孫よ」と言われました。(マタイ23:29,33)


さらに、パウロは、イエスの弟子たちに反対し、信仰からそらさせようとした呪術者エルマを「悪魔の子」と呼びました。(使徒13:8-10)また、カインなど「義を行ないつづけない者」、「自分の兄弟を愛さない者」は「悪魔の子供」と呼ばれています。(ヨハネ第一3:10)


これらの聖句は、蛇の胤とは、悪魔に倣ってイエスやイエスの弟子たちに敵対し、仲間の人間を愛さず、神の律法を守らない人間たちであることを示しています。


エホバの証人の解釈では、悪霊たちも蛇の胤と解釈されています。確かに、悪霊たちは龍もしくは悪魔の「使いたち」と呼ばれてはいますが、悪霊たちを蛇の子孫を意味する蛇の胤と呼ぶ聖書的根拠はないように思えます。(啓示12:7-9。マタイ25:41)


では、女と女の胤は誰を表わしているのでしょうか。悪魔と地上の悪魔の胤と敵対関係にある「女」は明らかに比ゆ的な女でしょう。女とは誰でしょうか。聖書を調べると、女の実体は移り変わったようです。まず、聖書の中で、律法契約のもとにあった生来のイスラエル人の国家は、何度も比ゆ的な女として描写されています。


エゼキエル16章で、「エルサレム」が女として描写されています。(エゼキエル16:1,2,8) しかしながら、エルサレムは、「売春婦」になったと述べられています。 (エゼキエル16:35-38)


エゼキエル23章でも、「サマリア」すなわちサマリアを首都とする北のイスラエル王国は「オホラ」という女で表わされています。また、「エルサレム」すなわちエルサレムを首都とする南のユダ王国は「オホリバ」という女で表されています。(エゼキエル23:1-4) どちらも「売春婦」になりました。(エゼキエル23:43-45。イザヤ62:1-6)ですから、聖書は北の十部族イスラエル王国も南の二部族ユダ王国も、「女」に例えています。


エホバの証人は、創世記3章15節の女をみ使いたちの組織と解釈しています。とりわけ、エホバの証人は、イザヤ54章5-8節をみ使いたちの組織に適用します。しかし、み使いたちの組織を「完全に捨てられ,霊の傷ついた妻」と描写することはできないと思います。なぜなら、エホバ神は、み使いたちの組織全体を完全に捨てられたことは一度もないと考えられるからです。確かに、み使いたちの一部はノアの洪水の前に神への奉仕から離れましたが、大半のみ使いたちはエホバに忠実を保ちました。(創世記6:2。ヨブ1:6ダニエル7:10) ですから、み使いたちの組織は、昔の生来のイスラエル人の国家が全体として神に不忠実になったのとは異なって、大半が忠実を保ったのですから、エホバから完全に捨てられはしなかったのです。

そして、み使いたちの組織を神の「女」と呼んでいる箇所は聖書にはありません。しかし、昔のイスラエルの国家は、確かに神の妻、また女として言及されています。ですから、創世記3章15節の女は最初は、イスラエルの国家、また、ユダの二部族王国、もしくはイスラエルの十部族王国でした。


しかし、創世記3章15節の女の実体は、最初のエホバの女が不忠実になったので、変化したようです。なぜなら、先ほど述べたように、イスラエルの国家は、「売春婦」になったので、エホバはイスラエルの国家を離婚されました。「わたしはそれを見たとき,不忠実なイスラエルが姦淫を行なったその理由のために,彼女を去らせ,次いで完全な離婚証書をこれに与えた。」と述べられています。(エレミヤ3:8)そして、南のユダ王国も、偶像崇拝を行って比ゆ的な「売春」を行ったので、エホバはユダ王国がバビロンによって攻撃されるようにし、そして最後には、西暦一世紀にローマによって滅ぼされるようにされ、生来のイスラエル国家は完全に捨てられました。


また、聖書は、この移り変わりをアブラハムの結婚関係で説明しています。アブラハムはサラとハガルというふたりの妻を持っていました。聖書は、サラとハガルが「二つの契約を表わしている」と説明しています。ハガルは「シナイ山から出ていて,奴隷となる子供たちを生み出すもの」を表わしています。(ガラテア4:24)そして、イスラエル国家の個々の成員は、女の「息子」や「娘」つまり胤を意味していました。(エゼキエル23:4)


それで、ハガルは「古い契約」すなわち、モーセの律法契約を表わしています。(コリント第二3:14)ハガルとその子は追い出されました。(ガラテア4:30)そして、エホバはモーセの律法下にあったイスラエルの国家を離婚され、最初の女は捨てられてしまいました。そのことと調和してキリストの贖いの死によりモーセの律法契約は廃棄されました。(エフェソス2:15)


パウロはサラまた「上なるエルサレム」を自分たちの母であると言っています。(ガラテア4:26) サラも契約を表わしていました。ハガルはモーセの律法契約、サラは新しい契約を表わしているということになります。(エレミヤ31:31,32。コリント第二3:14)新しい契約は、エホバ神と、ユダヤ人と非ユダヤ人からなるクリスチャンの間で結ばれました。(ローマ2:28,29;9:6,24) それで、



(hagarandishmael1)
アブラハムから離婚されたハガルは古いモーセの律法契約のもとにいた生来のイスラエルの国家を表していた


ですから、サラで表わされた「上なるエルサレム」は、母ですから、女です。その女は、パウロのような新しい契約に入っているクリスチャンの組織全体です。



(sarah)
アブラハムの妻サラは新しい契約に入っている天的な希望を持つクリスチャン会衆という女を表している


キリストの贖いの死により、新しい契約が、古い契約に取って代わられました。(ルカ22:20)それで、その時以降創世記3章15節の女は、新しい契約に入っているクリスチャンの組織になりました。そして、神に忠実な女の胤は、パウロのようなクリスチャン会衆の成員です。



(paul1)
パウロはサラつまり新しい契約に入っているクリスチャン会衆の成員−パウロは神の女の胤である


サタンは、モーセの律法契約が発効してから、モーセの律法契約に忠実なイスラエル人を自分に従うイスラエル人によって迫害しました。また、新しい契約が発効して後は、生来のユダヤ人や、キリスト教に反対する人々は、新しい契約に忠実なクリスチャンを迫害しました。ですから、預言されていたように、サタンとサタンの奉仕者、そして、神に忠実な神の僕たちの間には、敵意がありました。


イエス・キリストは創世記3章15節の預言にどのように関係しておられるでしょうか。イエスは、最初の女の最も忠実な部分でした。そして、イエスは律法を成就されて、死んで復活して永久に生きておられるので、最初の女の永続する部分となられたと思われます。(マタイ5:17)


そして、サタンは、女のかかとを砕きます。それで、サタンの攻撃により、イエス・キリストだけでなく、生来のイスラエル国家と、新しい契約に入っているクリスチャンは打撃を受けます。しかし、女はサタンの頭を砕きます。聖書は女が将来サタンとその胤を足の下に砕くことを予告しています。(ローマ16:20)また油そそがれたクリスチャンは死後霊者になって、この事物の体制の終わりに、イエスに率いられてサタンに従い続ける人々を滅ぼします。(ダニエル2:44。啓示19:11-19)イエス・キリストはサタンを無活動状態にします。(啓示20:1-3)また、千年統治の後、サタンに惑わされる諸国民を滅ぼすことにも、天の神の王国が関与するのでしょう。(啓示20:9,10)


それで、最終的にイエス・キリストと彼に従う油そそがれたクリスチャンがサタンと彼に従う者たちを滅ぼしてしまいます。ですから、私たちは、サタンとサタンの胤の側からは離れましょう。女と女の胤は最終的に勝利します。最終的な女と女の胤つまりイエス・キリストとキリストの兄弟たちの側に立ちましょう。そうすることによって神の王国の支配下の地上の楽園に入ることができます。それは永遠の命をもたらします。


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