出エジプト32章・人間のとりなしを受け入れられるエホバ神

 エホバ神は完全で全知全能の神です。神が何かを意図されたり、何かを決定されたら、そこに間違いがあるはずがありません。それにもかかわらず、エホバ神は何かを決定されたら、決して変更しないという頑固な神ではありません。謙遜に他の人のとりなしに耳を傾けて、ご自分が行われることを変更してくださいます。エホバ神は事態に柔軟に応じられます。


 出エジプト32章によると、エホバ神は一度イスラエル人の偶像崇拝のゆえに、イスラエル人を滅ぼそうとされました。けれども、エホバ神は、モーセのとりなしに耳を傾けられました。


 エホバ神は、イスラエル人をエジプトの奴隷状態から救い出され時に、十戒を与えられましたが、そのおきての中には、偶像崇拝を禁じるおきてが含まれていました。(出エジプト19:18,19;20:18,19;20:3,4)


 ところが、イスラエル人は、モーセシナイ山に登って律法を与えられている間、モーセがいなくなったと考えて、自分勝手なことをし始めました。モーセの兄アロンに圧力をかけて自分たちの神として金の子牛の像を作らせました。(出エジプト32:1-4)そして、その偶像の神に対する祭りを取り決めて食べたり飲んだりして楽しみました。(出エジプト32:5,6)


エホバ神はイスラエル人が早々とエホバ神のおきてから離れ去って行ったのを見て、モーセに対して、エホバは、イスラエル人に対して怒りを表し、イスラエル人を滅ぼし絶やすと言われました。そして、モーセの子孫を増やしてひとつの国民にしてイスラエル人の代わりにすると言われました。(出エジプト32:10)


 しかし、モーセは、エホバ神の顔をなごめようとしました。モーセは、エホバ神にご自分の評判を考えるようにと訴えました。


 モーセは、エジプト人が、エホバが、イスラエル人をエジプトから連れ出して滅ぼそうとしたのだと言うかもしれないと言いました。また、アブラハム、イサク、イスラエルに対する約束を守って、その子孫であるイスラエル人を約束の地に連れていってくださるようにとお願いしました。(出エジプト32:13)そして、エホバが怒りから離れてイスラエル人に災いをもたらさないようにと願い出ました。




Throughout the wilderness journey, Moses talked to the Lord, often begging Him for help in leading the Israelites. (moses7)
モーセはエホバ神がイスラエル人を滅ぼしてしまわれないようにお願いしました
エホバ神はもっともな論議に基づいたモーセのとりなしを受け入れられました



 エホバ神がイスラエル人を滅ぼしても、モーセ自身は大丈夫だったのですから、モーセがそのように言ったのは、エホバ神の評判を考えてのことでした。また、モーセは、自分の民族も愛していました。


 「するとエホバはご自分の民に下すと言われた災いについて悔やまれるようになった。」と聖書は記録しています。(出エジプト32:14)エホバ神は、完全な判断力を持つ方であるにかかわらず、とるに足りない人間の言葉に耳を傾けられました。そして、モーセのもっともな論議に基づいた訴えに耳を傾けられました。そして、ご自分のしようとしておられたことを変更されました。


 このことは、エホバ神が、完全な方であるにもかかわらず、ご自分の僕の訴えに謙遜に耳を傾けられることを示しています。他の人の論議がもっともな場合は、とりわけ耳を傾けてくださいます。モーセのとりなしはとりわけ、エホバ神の評判に対する気遣いに基づいていました。


 エホバ神は、なんと謙遜な方なのでしょう。エホバ神は、全知全能なのに、他の人の言うことに決して耳を傾けないという頑固な方ではありません。


 エホバ神の判断は間違っていなかったはずです。エホバ神は、イスラエル人の性向を正しく判断されました。そして、この時点で、イスラエル人を滅ぼして、モーセの子孫を代わりに神の民としていた方が、結果が良かった可能性もあります。
 

 そして、エホバ神がその決定を変更されないとしたら、エホバ神の場合、それでも決して間違いではありません。エホバはすべてのことをご存知ですから、エホバ神の言われることには、十分の根拠と理由があります。そして、エホバ神が何百年も後にイスラエル人をご自分の選民とすることをやめられたことは、エホバ神のその時の判断が間違ってはいなかったことを示しています。


 しかしながら、エホバ神は、ご自分の民の訴えに耳を傾けられて、変化する事態に柔軟に対応されました。それでも、エホバ神は、ご自分の動かせない目的とされたことは必ず達成することができます。エホバ神は、「わたしの口から出て行くわたしの言葉(は)、・・・確かな成功を収める。」と言っておられます。(イザヤ55:11)


 それで、エホバ神は、私たちの祈りを聞いて、ご自分の決定を変えてくださったり、私たちの扱いを変えてくださる可能性があります。私たちは、是非熱心にエホバ神に自分の事情を訴えるべきです。


 とりわけ、その祈りがエホバ神の評判など、エホバ神に対する愛に基づく祈りの場合、その祈りは聞かれる可能性が高くなるでしょう。私たちの言うことにエホバ神は耳を傾けてくださって、エホバ神の決定が変更されたり、私たちに対する扱いが違ってきたりするでしょう。


 預言の成就に関しても、その成就する時期が異なってきたりするでしょう。もし、エホバ神から、非とされることを言われても、望まない状況に置かれたとしても、あきらめないで、モーセのようにエホバ神に訴えましょう。あきらめないで祈り続けましょう。エホバ神は交渉に応じない神ではないのです。



bed time [DILO] by striatic (prayer36)
エホバ神は交渉に応じない神ではないのであきらめないでエホバ神に祈り続けましょう