エホバの証人の間違い−大いなるバビロンは偽りの宗教であるという解釈

 私は、エホバの証人と多くの点で共通の信条を持っています。神と聖書に対する基本的な信仰や、神の律法や原則に対する従順の大切さという点では、エホバの証人と同じ考えをもっています。けれども、エホバの証人の解釈は、間違っている部分があると思います。その大きな相違点は、啓示の書に登場する大いなるバビロンの表す実体です。


 エホバの証人は、大いなるバビロンは、「偽りの宗教の世界帝国」だと考えています。そして、「この世界帝国には,エホバ神に反対する立場を取るすべての宗教が含まれています。」とその出版物の中で述べています。 (「聖書は何を教えていますか」の付録『「大いなるバビロン」とは何かを明らかにする』)
 

 私は、聖書全体の調和という観点から考えて、大いなるバビロンは、国家であり、アメリカ合衆国だと考えています。
 

 私がそのように考える理由は次の通りです。聖書の66冊のすべての書物の背後にひとりの神がおられて、神がすべての筆記者に霊感を与えて書かせました。「聖書全体は神の霊感を受けている」と述べられています。(テモテ第二3:16)


 ですから、聖書全体は、ひとりの神の思考の反映であり、ひとつの調和した音信を伝えているはずです。それで聖書の各書の述べていることは、互いに矛盾するのではなく、互いに補い合って、互いに理解を深め合っているはずです。
 

 また、聖書のある書物で、強調されているポイントは、聖書の他の書物でも、強調されている可能性が高いでしょう。




The Bible in Burmese translated by Judson (bible44)
聖書はひとりの神の思考の反映でありひとつの調和した音信を伝えているはずです





 それで、聖書を解釈する際に、聖書自体、聖書の各書を参照して解釈する努力を払うべきです。そうすれば、まことの神が人類に伝えたいと考えているひとつの音信が浮かび上がってくるはずです。


 啓示の書には、大いなるバビロンが緋色の野獣と十本の角に攻撃され滅ぼされることが預言されています。(啓示17:16)エホバの証人は、国連を表す緋色の野獣と諸政府を表す十本の角が諸宗教の組織である大娼婦を攻撃して滅ぼすと解釈しています。



 一方、聖書のダニエル書でダニエルはいつも国家間の興亡に注目して預言しています。それはダニエル11章と12章でも同様です。そこでは、北の王が南の王に総攻撃をかけて滅ぼすことが預言されています。そこで中心となっているテーマは、あくまで、国家と国家の間の戦争です。


 そして、ダニエル書の他の章でも、焦点になっているのは、諸政府の興亡です。




The ram and the goat. (daniel5)
ダニエル書で注目されているのは国家間の興亡です
 

 ただし、ダニエル書には、北の王が偽りの宗教の世界帝国を攻撃するのではなく、神の民の領域を表す「飾りの地」を攻撃することは書かれています。(ダニエル11:40,41;8:9)また、北の王が、諸宗教を統制することは預言されているようです。(ダニエル11:36,37)


 しかし、ダニエル書には、北の王が他の諸宗教に対して総力を挙げて攻撃をすることは、述べられていません。


 ダニエル11章で北の王が南の王に最終的に総攻撃をかけて滅ぼすことはひとつの最高潮となっています。もし、ダニエル書の預言の中で、国家間の国際戦争がひとつの頂点となっているのであれば、啓示の書の預言も、同じことに注目しているはずです。ダニエルの預言の中で、重大なこととして注目されていることを啓示の書で無視するはずがありません。



  ですから、当然、啓示の書で述べられている緋色の野獣による大娼婦の滅びというひとつの最高潮も、国家間の紛争について述べているに違いありません。


 ダニエル書にある北の王による南の王に対する攻撃を啓示の書では別の形で表現したに違いありません。ですから、緋色の野獣も大娼婦大いなるバビロンの両者のどちらも政治的実体であるに違いありません。





Ms 209 f.30 The Woman on the Beast: angel shows St. John's vision of the great Harlot seated on a seven-headed monster, from the Lambeth Apocalypse, c.1260 (vellum) (babylonthegreat9)
聖書全体の調和から緋色の野獣による大娼婦の滅びは国家的な紛争について述べているに違いありません




 そして、イエスはマタイ24章のご自分の預言の中で、ダニエル書に注目するようにと勧めておられます。(ダニエル24:15)当然、イエスも北の王が南の王に総攻撃をかけるというダニエルの預言をご存知であって、そのことに言及されるはずです。それで、イエスが予告された未曽有の大患難は、諸国家の間の最終的で大規模な国際戦争を意味しているでしょう。(マタイ24:21,22)


 従って、大娼婦大いなるバビロンは南の王であり、緋色の野獣は、北の王の設立する荒廃をもたらす嫌悪すべきものであり、緋色の野獣の十本の角の中に、北の王が含まれているに違いありません。この詳細は別の所で論じます。


 エホバの証人も最終的な南の王は、政治的実体であることは認めています。エホバの証人は、南の王は英米二重世界帝国であると解釈しています。
 

 私は、啓示の預言を検討した結果、南の王は、一国だと思います。大いなるバビロンの種々の特徴は、アメリカ合衆国一国に当てはまっています。英国には、その特徴の幾つかは当てはまりません。それで、大いなるバビロンは、アメリカ合衆国だけを意味していると思います。


 このような理由で、私は、エホバの証人の預言の解釈は、間違っていると思います。


 聖書はひとりの神の霊感を受けた本なので、聖書全体が述べることは調和しているはずです。聖書の各書を解釈して、全体で一つの解釈ができるはずです。そのような信仰をもって聖書を解釈するならば、啓示の書の大娼婦大いなるバビロンが政治的実体であり、南の王アメリカ合衆国を意味することがおのずと分かるはずです。



Pages from 36-line Bible at the;Bavarian State Library (bible48)
聖書は全体で一つの音信を述べているので大いなるバビロンは南の王アメリカ合衆国に違いありません




 このことを考慮されて、エホバの証人が聖書預言の解釈を吟味されるようにお勧めしたいと思います。また、他の人々は、どちらの解釈が道理にかなったものか、検討してみられることをお勧めします。そして、預言に調和して行動するなら、私たちは益を得られます。