啓示17章・大いなるバビロンとは何か

「また,七つの鉢を持つ七人のみ使いの一人が来て,わたしと話してこう言った。『さあ,多くの水の上に座る大娼婦に対する裁きをあなたに見せよう。地の王たちは彼女と淫行を犯し,地に住む者たちは彼女の淫行のぶどう酒に酔わされた。』」(啓示17:1,2)

 ヨハネへの啓示17章には、大いなるバビロンという名を持つ大娼婦が登場します。この大いなるバビロンは緋色の野獣と呼ばれる政治組織によって滅ぼされて神の裁きを受けてしまいます。この大いなるバビロンとは何を表わしているのでしょうか。

 まず、大いなるバビロンが地の王たちと淫行を犯しているということが述べられています。(啓示17:2、18:3)地の王たちと淫行を犯すとは何を意味しているのでしょうか。

 過去において十部族イスラエル王国や二部族ユダ王国は、エホバ神に忠実であるべきなのに、他の諸国家に頼ることによって、売春や淫行を行うとエホバ神からみなされました。そして、それは、イスラエル王国ユダ王国が、比ゆ的な意味で、娼婦となったことも意味しました。(エゼキエル16:8,17、23:5)

 それでもし、聖書の神を崇拝すると主張する国が、他の国家に頼って、同盟関係に入るならば、それは比ゆ的に「売春」また「淫行」であり、その国家は比ゆ的な意味で「娼婦」であると言えます。それで、それで、大いなるバビロンが地の王たちと淫行を犯したというのは、大いなるバビロンが神に不忠実になり、他の政治国家に頼って政治同盟を結んだことを意味しています。

 まず、大いなるバビロンにキリスト教以外の諸宗教の組織や国家は、全く含まれていないと言える理由を考えてみましょう。

 霊的淫行とは、聖書の神に忠実であるべき何らかの組織や国家が、他の神や他の国々に頼ることを意味します。(エゼキエル16:8,17、23:5)ところで、イスラム教徒の神はアラーで、ヒンズー教徒や神道信者は多くの神を崇拝しています。仏教徒は崇拝する神を持っていません。ですから、諸宗教の信者はそもそも聖書の神を崇拝していませんし、忠実であるべき義務もありません。それでキリスト教以外の諸宗教の組織や国家は聖書の神に逆らって霊的な淫行を犯すことができません。ですから、このことからも、大いなるバビロンにキリスト教以外の諸宗教の組織や国家は、全く含まれていないということが分かります。

 それで、大いなるバビロンがイスラム教、ヒンズー教、仏教なども含んだあらゆる諸宗教の組織であると解釈しているエホバの証人の解釈はこの点で間違っているでしょう。

 では、大いなるバビロンはどこの政治国家を表わしているのでしょうか。ある国家が神の観点から「娼婦」とみなされるためには、その国家はそもそも聖書の神と関係を持っていなければなりません。もしくは、神と関係を持っていると公言していなければなりません。

 主の日においてとりわけ「娼婦」とみなされる国家はどこでしょうか。アメリカ合衆国はそのような国ではないでしょうか。アメリカ合衆国は、17世紀にイギリスの国教会に不満を持つ人たちが、メイフラワー号に乗って北アメリカ合衆国プリマスに居を定めたのが始まりと言われています。彼らはイギリス国教会を純粋な(ピュアな)ものにすることを求めたので、ピューリタン清教徒)と呼ばれました。その後、アメリカにはピューリタンのみならず、イギリス国教会カトリック、クエーカー教徒、カルヴァン派などキリスト教の各派が入植し、次第に十三の植民地が形成されて行きました。それで、アメリカ合衆国は、おおむねクリスチャンによって建国されたと言えます。

 また、アメリカ合衆国の「独立宣言」には、次のような一節があります。「すべての人々は、平等に造られたのであり、すべての人々には、彼らの創造主によって、一定のゆずることのできない権利が与えられている」それで、アメリカ合衆国は創造者がおられるということを、建国の前提としています。

 さらに、アメリカ大統領の四年に一度行なわれる就任式では、大統領は聖書に左手を置き、右手を挙げて宣誓します。慣例として「神よ加護したまえ」という言葉が最後に添えられます。大統領が、大統領就任演説で聖書の言葉を引用したり、その他の演説の中で、神に対する信仰を表明したりすることは珍しくありません。
さらに、アメリカに移住して来てアメリカ国籍が与えられると、アメリカ国民になる宣誓を行ないます。この宣誓の文章は「私に神のご加護のあらんことを」で終わっています。アメリカ国民になる人間は、神を信じ、神に祈りを捧げる事を当然の前提としている文章になっています。

 それで、アメリカはとりわけ自ら神と関係があると公言している国家であると言えます。それで、アメリカ合衆国は、大いなるバビロンのひとつの特徴を満たしています。

 それでは、大いなるバビロンの他の特徴はどうでしょうか。調べていきましょう。