エステル4章・神はエステルとユダヤ人の祈りを聞き届ける

「行って,シュシャンにいるユダヤ人をみな集め,私のために断食し,三日間,夜も昼も,食べることも飲むこともしないでください。私も,私の若い女たちも共に,同様に断食を致します。そして,その上で,法令に則したことではありませんが,私は王のところへ参りましょう。」(エステル4:16) 


 ペルシャのアハシュエロスの時代にエステルは、王の恵みを得て、王妃となりました。エステルは、実はユダヤ人で、エステルの父母が死んだので、ユダヤ人モルデカイが引き取って育て親になっていたのでした。モルデカイは、ペルシャでのユダヤ人絶滅の危機に際して、ペルシャの王妃エステルに救いのために行動するよう求めます。


 エステルはそれに応じて冒頭の聖句のようにモルデカイに言います。モルデカイにユダヤ人を集めて三日間、断食をするようにと求めます。また、エステルもエステルの侍女たちも同様に断食をすると言います。断食をすると言うのは、エホバへの祈りに集中することを意味します。

 
 なぜなら、ペルシャでの法令では、召されてないのにペルシャの王の前に出る者は、その人を処刑することになっていたからです。ただし、王がその人に金の笏を差し出すならば生きながらえることができました。王の恵みがなければ、エステルは滅びる可能性もありました。
 

 エステルもモルデカイを初めとしたユダヤ人もユダヤ人の救いのためにエホバに叫び求めました。その上で、エステルは召されていませんでしたが、王の前に出て行きます。王は、エステルに好意を示し、エステルに金の笏を差し出します。そして、エステルの願いは何かと尋ねます。


 ここで、エステルとユダヤ人の祈りが聞き届けられていることが分かります。けれども、これは、エステルが単に王妃だったので、もともと王の好意を得ていたのだと考えられるかもしれません。
 

 エステルは、ユダヤ人の絶滅をはかっていたハマンと共に、王がエステルの設ける宴会に来てくださるようにと求めます。エステルは、宴会で王とハマンをもてなします。王はエステルにまた、願いを尋ねます。エステルはもう一度、次の日、王がハマンと一緒にエステルの設ける宴会に出席してくださるよう求めます。エステルは大変、慎重に事を進めていることが分かります。
 

 その日の晩、王は眠れません。ここにおいて、神の介入があってエステルとユダヤ人の祈りが聞き届けられていたことが分かります。王は眠れないので、その時代の事績の記録の書を人に朗読させます。そこで、エステルの養い親であるモルデカイが王を手にかけて殺そうとしていた二人の廷臣のことを王に報告したのに、モルデカイは何も栄誉を得ていなかったことが分かりました。
 

 その時、ハマンが王の前に出てきたので、王はハマンを用いて、モルデカイに栄誉を与えるように取り計らいます。一番、いいタイミングで、ユダヤ人がハマンによって中傷されていたように王にとって脅威ではなく、王に忠実な者たちであることが明らかになります。
 

 それから、王とハマンは王妃エステルの設けたごちそうに再びあずかります。そこで、王はエステルの願いを尋ねます。そこで初めてエステルは自分がユダヤ人であり、ハマンによってユダヤ人絶滅の企てが立てられていることを打ち明けます。王は激怒してハマンを杭にかけます。
 

 その後、エステルはモルデカイとの関係を王に知らせます。その後、もう一度、エステルは王にお願いして、ユダヤ人絶滅の企てが覆されるようにお願いします。それで、王は企てが覆されるように行動する許可をエステルとモルデカイに与えます。その結果、ユダヤ人が滅ぼされることになっていた日に、ユダヤ人は敵を滅ぼすということになりました。
 

 ユダヤ人は、その当時の唯一の神の民でしたから、その時、ユダヤ人が滅ぼされてしまうと、地上からエホバの崇拝が拭い去られてしまうことになります。そうすると、イエス・キリストが到来した時に、イエスを受け入れる神の民が存在しないことになってしまいます。それで、その当時、エホバはエステルとユダヤ人の祈りを聞きとげ、ユダヤ人絶滅の企てが覆されるように取り計らわれました。
 

 エステルとユダヤ人の祈りの例からも、エホバへの祈りは、エホバのご意志にかなうなら、聞き届けられることが分かります。エホバは事態を動かして祈りに聞き届けられることもあります。私たちは難しい事態に直面した時には、エホバに祈りましょう。