良心的兵役拒否―韓国のエホバの証人

以下の記事は、ヤフーブログの風の花さんの2007年9/29(土)の記事、「韓国社会を通して考える―兵役拒否と憲法九条」からの転載です。韓国のエホバの証人良心的兵役拒否をしていることが報道されています。


 1948年から今日まで、韓国人男性なら誰でも当然の義務とされる徴兵制度。その徴兵制度が今、韓国で志願制の論議をを含めて社会問題になり始めています。韓国の徴兵制については、軍隊内でのシゴキやイジメによる数多くの殺人事件、芸能人やスポーツ選手、有名人の兵役忌避を目的とした事件、二年半の軍隊生活による恋人との別れ。日本社会では考えられない社会問題が隣国で起こっています。韓流の話題で相変わらず日本では「芸能人の誰が芸能活動を休んで軍に入った、入らなかった、」と言う話題だけが駆け巡っていますが、今一度、日本で「九条」改正が論議される今こそ、この「徴兵」と言う問題も含めて国民一人一人の問題として考える時期ではないでしょうか?              

韓国社会を読む−兵役拒否
悩む若者たち 懲役も覚悟
 「軍隊に行かず、懲役を選んだことに後悔していない。幼い頃からずっと悩んでいたが、自分の宗教的な良心を捨てることはできなかった」

懲役は韓国男性の義務
統一日報

兵役拒否の理由をそう述べるキム・ジウォンさんは、「エホバの証人」の信者だ。戦争反対はもちろん武器を持つことさえ禁じられている。
 キムさんのように、宗教上の理由で兵役を拒否する若者は少なくない。過去5年間で3760人に達している。「良心的兵役拒否者」と呼ばれる彼らは、懲役刑を受け前科者となる。

国防部は18日、兵役拒否者に対する救済策として「代替服務案」を出した。兵役拒否者を特定施設や社会服務要員として活用するというのが、主な内容だ。
代替案を出した背景には、20代の若者に「前科」をつけるのは苛酷だという指摘があったことに加え、国連人権委員会で「良心的兵役拒否権決議案」が採択されたことなどがあると見られる。

これに対し、国民の間では賛否両論が巻き起こっている。
代替案によると、服務要員は24時間常勤で、服務期間も36カ月と、現役兵(24カ月)と比べて長い。健康上の理由などで現役兵とならない人が服務する「共益勤務要員」(26カ月)に比べても長い服務期間を設定することで、軍隊服務に劣らない「重労働」とした。韓国政府は、重労働をもって反対世論に対処しようとした。

しかし国内世論の反発は激しい。休戦状態にある南北関係において、代替服務制度の導入は時期尚早というのだ。
 在郷軍人会は「代替服務制度の導入は、国家安保に有害だ。兵役忌避の理由を提供する危険な発想」と主張した。
 韓国キリスト教総連合会と、韓国教会言論会も声明を通じて「兵役の義務を履行する若者たちの士気低下が懸念される。軍隊に行きたくない若者が、特定の宗教に集まる可能性もある」と反対姿勢を明らかにした。

逆に、人権保護の観点から一歩進んだ措置と、歓迎する団体もある。
市民団体の参加連帯は「全世界の兵役拒否による収監者の90%は韓国人だ。政府の今回の決定は、遅れた感はあるものの、歓迎するに値する」と述べた。民主労働党は「政治思想を理由に銃を持つことを拒否する人にも代替服務は認められなければならない」と主張した。

兵役拒否者の95%以上は、韓国に約8万人いるといわれる「エホバの証人」の信者だ。兵役拒否者は、兵役法違反で1年6カ月から3年間の懲役に処される。エホバの証人は「男ならば避けられない通過儀礼」と捉えている。

1年に750人程度の少数にすぎないが、宗教的信念や人権を守る道が開かれたと、一定の評価を受けている。

一方、政府の政治的判断があると疑い、代替案撤回を要求する動きもある。国防部が青瓦台の意図を汲んだという疑惑だ。

国防部は5月「国民感情、兵役の公平性、分断国家の特殊性」などを理由に、代替案は時期尚早という立場を表明した。それからわずか4カ月。急に方針を変えた国防部は、「世論の変化」を理由に挙げた。

代替服務導入に賛成する割合は、05年の23.3%から、06年には39.3%に上昇。最近の調査では50.2%まで上がったという。

ところが、インターネットでのアンケート調査の結果は、政府発表と差があった。政府案発表直後、国内最大手のポータルサイト、NaverとDaumが実施した調査によれば、代替服務案賛成は40〜45%。反対は55〜60%だった。