詩篇113編・初期クリスチャンは聖書に神のみ名を見た

「日の昇る所から沈む所に至るまで,エホバのみ名は賛美されるべきもの。」(詩篇113:2)

 聖書全体を通して、神の民に対して神のみ名を高め、賛美するようにという勧めがなされています。では、イエス・キリストとその弟子たちである初期クリスチャンは,どんな聖書を使っていたのでしょうか。

 その当時までに旧約聖書は完成していました。イエスとその弟子たちは、ヘブライ語で書かれた旧約聖書の中にヘブライ語の神の御名のテトラグラマトンを目にしていました。

 また、その当時はギリシャ語が、共通語になっており、イエスの弟子たちは、ギリシャ語で書かれたセプトゥアギンタ訳の聖書を持っていました。

 その最初期のギリシャ語セプトゥアギンタ訳写本には神の御名が出てきます。ギリシャ語セプトゥアギンタ訳の西暦前1世紀のパピルス写本断片の申命記の幾つかの箇所に四文字語・テトラグラマトンが出てきます。

 神の御名を表わすこれら四つのヘブライ文字を用いることは,その後も何世紀かにわたりセプトゥアギンタ訳の幾つかの写本の中で続けられました。

 また、西暦2世紀の年代のものであるアキュラのギリシャ語訳には,依然としてヘブライ文字の四文字語・テトラグラマトンが出ています。

 また、西暦245年ごろ,著名な学者オリゲネスはヘクサプラ(対照訳),ヘブライ語聖書の6欄写本を作りました。その写本は,W・G・ウォデル教授によると、「オリゲネスのヘクサプラでは……アキュラ,シュンマコス,および七十訳セプトゥアギンタのギリシャ語訳はすべて,JHWHをΠΙΠΙで表わしていた。ヘクサプラの第2欄では四文字語・テトラグラマトンヘブライ文字で書かれていた。」それで、最初期の写本の断片には神の御名が確かに用いられていました。

 それで、イエスの弟子たちは、彼らの使っていた聖書の中にヘブライ語テトラグラマトンの神の御名を見たはずです。

 初期クリスチャンの持っていた旧約聖書の中には、その聖書がヘブライ語で書かれたものであれ、ギリシャ語で書かれたものであれ、神のみ名であるテトラグラマトンが出ていました。

 それで、聖書に忠実な初期クリスチャンは神のみ名を使い発音したであろうことは容易に想像できます。

 新約聖書の元の筆者たちが神の御名を用いたこと,とりわけ旧約聖書から四文字語・テトラグラマトンの含まれる章句を引用した際にその名を用いたことに疑いはありません。

 それで、現代の私たちも初期クリスチャンの例に倣って、神のみ名が現れる聖書を使い、神のみ名を用いるべきだと言えます。