サムエル第二11章・ヨアブの盲目的な従順の結果

ダビデはヨアブにあてて手紙を書き,ウリヤの手に託してそれを送ったのである。・・・『ウリヤを戦いの最も激しい前線に置け。あなた方は彼の後ろから退却し,彼が討ち倒されて死ぬようにするのだ』 そして,ヨアブがその都市を見張っていたとき,彼は勇敢な者たちがいるのを自分で知っている場所に,ウリヤをずっと置いたのである。・・・ヒッタイト人ウリヤもまた死んだ。」(サムエル第二11:14〜17)


 ヨアブの例は、神の律法を無視しても盲目的に上位の権威に従う人がどうなることを示していますか。


 ヨアブはダビデの軍の長でした。そして、ある戦いの指令を与えていました。ダビデはバテシバと姦淫を犯して、彼女が妊娠してその罪を隠せなくなりました。それで、軍の長のヨアブにバテシバの夫のヨアブが戦いで死ぬように取り計らうように指示しました。ヨアブはどうしたでしょうか。


 ヨアブは、ウリヤに恨みを持っていたわけではありませんでしたが、ヨアブは事実上ウリヤを殺すようにというダビデの指示に盲目的に従いました。ヨアブはウリヤを戦いの前線に故意に置き続けました。そのようにして罪のないウリヤが死ぬように仕向けました。


 ヨアブは人間の命令に盲目的に従って、人の血をゆえなく流してはいけないという神の律法を無視しました。ヨアブもウリヤの血に責任がありました。ウリヤは神の律法を破ってまでも、上位の権威の立場に従う人でした。ヨアブは軍の長としてダビデの片腕とも言うべき人であり、軍の長としての立場を守りたいと思ったのかもしれません。(サムエル第二11:1)ヨアブは確かに、その時はダビデの軍の長としての立場を守る事ができました。


 ヨアブは、ダビデの立場に敬意を払って、ダビデの有能な軍の長であり続けました。ところが、ヨアブは、ダビデの意向に逆らってサウルの軍の長のアブネル、ダビデに反逆した息子のアブサロム、そしてアブサロムの軍の長アマサを殺しました。(サムエル第二3:27,28、20:10)それで、ヨアブは、神や神の律法に確固として従う人ではないことを明らかにしました。ですから、神の律法に違反しても、自分の立場を守ろうとする傾向の強い人であったと言えます。(サムエル第二18:14)


 ヨアブは生涯の大半をダビデの側に立って過ごしました。ヨアブは、神の律法に逆らっても、ダビデに盲目的に従うこともある人でした。それは、ダビデに対する愛からではありませんでした。ヨアブは自分の立場を守りたいと思ってそのように行動したことが、のちほど明らかになりました。


 ヨアブはダビデの晩年になってダビデの子のアドニヤが反逆した時には、アドニヤの側に付きました。(列王第一1:7)ヨアブはアドニヤの反逆がうまくいくと考え、ダビデにつくよりアドニヤにつく方が有利だと考えたのかもしれません。最終的にヨアブはダビデの申し送りにより、ダビデの子のソロモンによって処刑されるという結果になりました。(列王第一2:34)


 盲目的な従順について何が分かりますか。ヨアブの例から、自分より権威を持つ人に神の律法を無視して盲目的に従ったとしても、神はその律法違反を見過ごされないということが分かります。やはり、結果は悪くなるということが分かります。


 聖書は「人の前には廉直な道であっても,後にその終わりが死の道となるものがある」と述べています。(箴言16:25)神の律法に従わない事が、正しい道のように思えることがあるかもしれません。けれども、そのように行動すると、最後に死という結果となることがあります。


 神の律法を無視するやり方は、一時的に当人にとって都合が良いように見えるかもしれません。けれども、神の律法違反者がこの事物の体制においてさえ、長い目で見ると公正な報いを受けるように神が取り計らわれることを聖書は示しているようです。