使徒15章・無輸血治療の方法

「偶像に犠牲としてささげられた物と血と絞め殺されたものと淫行を避けていることです。これらのものから注意深く身を守っていれば,あなた方は栄えるでしょう。健やかにお過ごしください。」(使徒15:29)


 初期クリスチャンのエルサレム会衆の使徒たちと年長者たちによって下された勧めによると、血から身を守っていれば、栄えるということを述べています。つまり、血を避けることが私たちの益になるということを述べています。では、無輸血治療のどんな方法があるでしょうか。それは、私たちにとって益となりますか。医師たちは何と言っていますか。


 以下は目ざめよ!2000年1/8号「無輸血治療の必要性が高まる」からの一部引用です。


 一般社会も輸血の危険に気づき始めています。実際,1996年に行なわれた世論調査では,カナダ人の89%が供血血液よりも代替物を望んでいることが明らかになりました。「血管外科ジャーナル」(Journal of Vascular Surgery)は,「すべての患者がエホバの証人と同じように同種血輸血を拒否するわけではないだろう。しかし,感染や免疫修飾などの危険は,すべての患者のための代替療法を探さねばならないことの明確な証拠となっている」と述べています。


                   望ましい療法


 幸いなことに代替療法は存在します。それは無輸血治療です。多くの患者はそれを最後の手段ではなく,望ましい療法とみなしており,それにはもっともな理由があります。英国の外科医長スティーブン・ジェフリー・ポラードは,無輸血手術を受けた患者の罹患率や死亡率は,「悪くても,輸血を受けた人と同程度であり,多くの場合,輸血が原因となりやすい術後の感染症や合併症を避けられる」と指摘しています。


                    (省略)


 無輸血手術の利点の一つは,より質の高い医療が促進されるということです。「出血を防ぐうえで最も重要なのは外科医の技術である」と,オハイオ州クリーブランドの外科主任ベンジャミン・J・ライクスタイン博士は述べています。南アフリカの法律関係のある雑誌によると,無輸血手術のほうが「速く,清潔で,安価な」場合もあり,「術後の治療費を節約し,治療期間を短縮できる例が多いのは間違いない」とのことです。・・・


                    無輸血治療


                  さまざまな方法


輸液: 乳酸加リンゲル液,デキストラン,ヒドロキシエチル澱粉などを用いて血液量を維持し,血液量減少によるショックを防ぐ。現在試験段階にある幾つかの輸液は,酸素を運搬することができる。


薬剤: 遺伝子操作を行なったタンパク質を使い,赤血球(エリスロポエチン),血小板(インターロイキン‐11),さまざまな白血球(GM-CSF,G-CSF)の産生を刺激することができる。ほかにも,手術中の出血を大幅に抑える薬剤(アプロチニン,抗線維素溶解薬),また急性出血を抑える薬剤(デスモプレシン)がある。


生体止血剤: コラーゲンやセルロースで編んだパッドを患部に直接当て,止血する。フィブリン糊やフィブリン・シーラントを使えば,刺し傷をふさいだり,広範囲に出血している組織を覆ったりすることができる。


血液回収: 血液回収装置は,手術や外傷で失われた血液を回収する。血液は閉鎖回路内で洗浄され,患者に戻される。このような装置を使って何リットルもの血液を回収する場合さえある。


手術用器具: 血管を切ると同時に止血する機器がある。組織の広範囲におよぶ出血を止める機器もある。腹腔鏡や,侵襲を最小限にとどめる器具のおかげで,大きな切開に伴う出血なしで手術を行なうことが可能になっている。


外科技術: 経験豊かな臨床医に相談することを含め,入念な手術計画を立てるなら,外科チームは合併症を避けることができる。迅速な止血処置は不可欠。24時間以上遅れるなら,患者の死亡率は大幅に高まる。大手術を幾つもの小手術に分けるなら,全体的な出血を減らすことができる。


                  (ヨハネの注解)
無血の輸液によって血液量を維持するだけで、出血による弊害を防ぐことができます。薬剤によって手術の前に血液量を増やしておくことができます。たとえば、術前のエリスロポエチンの投与によって赤血球の産生が促されます。止血のためのパッドを術中に使うことができます。血液回収装置があります。
さまざまな無輸血治療法を用いることによって、輸血による弊害を防ぎ、より質の良い医療を得られます。