創世記6章・悪魔サタンと悪霊の起源

「さて,人が地の表に増え始め,彼らに娘たちが生まれると,そのとき[まことの]神の子らは人の娘たちを見,その器量の良いことに気づくようになった。そして彼らは自分たちのために妻を,すべて自分の選ぶところの者をめとっていった。」(創世記6:1,2) 


 邪悪な霊はいつ、どのようにして存在するようになったのでしょうか。それらは、エホバ神が創造されたわけではありません。聖書の説明によると、神は宇宙を創造される前にご自分に似た霊者を非常にたくさん創造されました。それらの霊は、聖書の中で「使い」や「み使い」と呼ばれています。また、「神の子たち」とも、呼ばれています。(ヨブ38:4,7。詩篇104:4。ヘブライ1:7,13,14)


 神はそれらの霊者をみな廉直な者に創造されました。(エゼキエル28:14,15。申命記32:4,5)そのうちのだれひとり、最初から悪魔サタンだったわけではありません。悪魔には、「中傷する者」、サタンには、「反抗する者」という意味があります。


 しかし、神はそれらの霊者に自由意志を与えておられました。ひとりの地位の高いケルブが、自分の美しさと知恵に思い上がり、その自由意志を誤用して、自分が崇拝されたいという欲望を育みました。(エゼキエル28:13,14,17。マタイ4:10)そして、望んでいた重要な地位を得るために、エデンの園エバにうそを言ってエホバ神に反逆させました。(創世記3:1〜5)そのようにして、自分で悪魔サタンとなるような行動をしました。


 では、他の悪霊はどのようにして存在するようになったのでしょうか。悪魔サタンは、他のみ使いたちに影響を及ぼして、自分の配下に置きました。聖書は悪魔サタンの使い、つまり手下がいることを示しています。(啓示12:7)では、他の霊者たちは、どのように神に背いたのでしょうか。冒頭の聖句にあるように、アダムとエバの子孫が、エデンの園の外で、増えていった時、神の子たちが肉体を着け、地上に来て、美しい女たちをめとって性関係を持ちました。(創世記6:1,2)


 しかし、み使いたちにとってそのような恋愛は間違ったことでした。それは、み使いたちにとって神に不従順な行為でした。ユダ書に霊者なるみ使いたちが、「自分本来の立場を保たず、そのあるべき居所を捨てた」と述べられています。(ユダ6)それで、み使いたちが本来いるべき所は、天であって、そこで行なうよう割り当てられた業を行なうのが、本来の立場でした。しかし、一部のみ使いたちは人間の女たちに対する間違った欲望を培って、天での立派な立場を捨ててしまいました。


 その使いたちと妻たちに子供が生まれました。その子供は巨人になって、ネフィリムと言われました。(民数記13:33)その結果、人の悪が地にあふれました。(創世記6:4,5)そこで、エホバは大洪水を起こされました。ネフィリムや邪悪な人々はみなでき死しました。しかし、地に来ていた使いたちは、肉体を捨てて、霊者として天へ戻りました。


 しかし、彼らは、聖なるみ使いたちでなる神の組織に戻ることは許されませんでした。彼らは、神の組織の霊的な啓発からは断たれてしまいました。それで、彼らの前途にあるのは、永遠の滅びだけです。(ペテロ第二2:4。ユダ6)


 このようにして、悪霊が存在するようになりました。ギリシャ神話などの、神が人間の女と結婚したこと、暴力的な巨人がいたことなどの話は、ノアの洪水の前の実際の状況を反映しています。しかし、ノアの大洪水後に、悪霊は以前のように人間の体を身に着けることは許されていないようです。


 悪霊も、人に個性があるように個性があります。また、悪霊崇拝に、性の不道徳が関係することが多いのは、人間の体を身に着けることはできなくなっても、悪霊たちが今でも、女性との不道徳な快楽を味わいたいと願っていることを表わしているでしょう。


 悪霊は危険です。私たちは、悪霊から害を受けないために、エホバに依り頼み、心霊術や悪霊崇拝、偽りの神の崇拝に関わらないようにすべきです。(啓示21:8。箴言18:10)