啓示17章・自己崇拝を意味する額にある名

「 そして,額にはひとつの名が書いてあった。それは秘義であって,『大いなるバビロン,娼婦たちと地の嫌悪すべきものとの母』というものであった。」(啓示17:5)


 今ここで啓示17章に登場する大娼婦大いなるバビロンのひとつの特徴が、アメリカ合衆国に当てはまるか検討してみましょう。17章5節には、大娼婦の額にひとつの名が書いてありました。これは何を意味するでしょうか。


 啓示22章3,4節には、神の奴隷たちの額に神のみ名があり、神に神聖な奉仕をささげると述べられています。それで、額に記されている名は、その者の崇拝や神聖な奉仕の対象を表わしています。大いなるバビロンは額に「大いなるバビロン、娼婦たちと地の嫌悪すべきものとの母」という自分の名がありました。この事は、大いなるバビロンが自らの崇拝者であって、自らを神として自分に奉仕をささげることを表わしているでしょう。


 アメリカ合衆国の特徴は、自らを崇拝していることであると言えるでしょうか。たとえば、1990年代半ばの世論調査によると、「自分の国が優れていると思うか」との設問に対して、アメリカ成人の75%が、肯定的な回答をしています。この割合はイギリスでは54%、フランスでは35%、旧西ドイツでは20%です。また、アメリカの若者の間では、98%が自分の国を誇りに思っています。イギリス、フランス、旧西ドイツの若者ではそれぞれ58%、80%、65%です。


 アメリカ合衆国の街角では祝日でなくても国旗すなわち星条旗をよく見かけます。また民主党共和党の党大会の時や、ガソリンスタンドや個人の庭先でも、星条旗が至る所で見られます。アメリカ合衆国では南北戦争の後に、公立学校で毎朝、星条旗に向かって起立し、右手を左胸に置き、忠誠を誓う習慣があります。「アメリカ合衆国の旗に、この旗が象徴する共和国、神の下にある、不可分の、自由と正義の国に、忠誠を誓います」という「国旗宣誓」を行ないます。これらのことは、大バビロンが自らの崇拝者であるとヨハネの啓示が述べているように、アメリカ人がことさら、愛国心を強調する国家であることを示しているでしょう。


 また、アメリカでは、常日頃、公式の国歌「スター・アンド・ストライプ(星条旗)」、「アメリカ・ザ・ビューティフル」、「ゴッド・ブレス・アメリカ」の二曲を加えた三つの曲がよく演奏されます。教会の賛美歌集の中には、国歌と幾つかのアメリカ賛歌が掲載されているものもあります。このことは、教会の中には、完全に野獣の崇拝という偶像崇拝に陥ってしまっている教会があることを示しているでしょう。また、それは、確かにアメリカ人の教会員の一部が自らの国家の崇拝者であることをはっはりと示しているでしょう。


 アメリカ人全体がこうした愛国主義にとりつかれているわけではないとしても、とくに9.11の攻撃以来、愛国的デモが各地で繰り広げられるようになりました。また、厚手の綿の靴下から、狩に便利な懐中電灯まで、星条旗のつけられた数々の商品の売れ行きが伸びていると言われます。それで、アメリカ人は、最近、ますます愛国主義的になっていると言えるでしょう。


 こうして検討してみるとアメリカ合衆国は残念ながら大いなるバビロンの特徴を備えていると言わざるをえません。それでは、啓示の書に出てくる大いなるバビロンの他の特徴はアメリカ合衆国に当てはまるでしょうか。引き続き検討していきましょう。


〔参考文献〕

異文化社会アメリカ 改訂版 示村陽一著 2006年 株式会社研究社

面白いほどよくわかるアメリカ 鈴木晟・荒木教夫 2006年 日本文芸社

経済学論集 瀬戸岡紘著 2008年 駒沢大学経済学会 

図解ひと目でわかる!アメリカ大統領 龍崎孝著 2004年 学習研究社

図解アメリカのしくみ Version2 柳沢賢一郎編著 2002年 (株)中経出版

わからなくなった人のためのアメリカ学入門 2003年  洋泉社 

音楽から見える「アメリカ」 マイク伊藤 2008年  株式会社彩流社