イザヤ65章・アーミッシュの自給自足から学べること

「いまわたしは新しい天と新しい地を創造している。・・・彼らは必ず家を建てて住み,必ずぶどう園を設けてその実を食べる。彼らが建てて,だれかほかの者が住むことはない。彼らが植えて,だれかほかの者が食べることはない。わたしの民の日数は木の日数のようになり,わたしの選ぶ者たちは自分の手の業を存分に用いるからである。」(イザヤ65:17,21,22)


 聖書は将来私たちがどんな生活をするようになることを予告しているでしょうか。イザヤ65章17節には、「新しい天と新しい地を創造している」と予告されています。新しい天とは、神の王国を意味しています。新しい天とは、神の王国の支配下の新しい人間社会を意味しています。続く21,22節には新しい天のもとでの新しい地での生活が冒頭の聖句のように描写されています。それで、将来楽園では家も自分で建てることになるでしょう。そして、自分で植えて自分で食べるのですから、人間は農業をして自給自足の生活を送ることになっています。


 聖書が描いている将来の生活は都会生活ではなく、田舎で農業をして自給自足の生活を送ることです。私たちの大半はそうした自然に調和した生活に対して心の中であこがれは持っていても、現代文明に慣れてしまっているので、農業をすることをおっくうに感じるでしょう。また、都会から離れて田舎で暮らすことも実際、不便に感じるでしょう。


 では、どの時点で私たちは楽園での生活に切り替えるのでしょうか。イエスの助言に従って大患難が始まる前に、山に逃れた時が一番適切だと言えるでしょう。(マタイ24:15,16)それは、おそらく第三次世界大戦が起こる直前だといえるでしょう。


 そして、その時、山に逃れて自給自足をするよう努めることが、その時代に食糧不足で苦しまなくてもいい一番賢い生活の仕方になるでしょう。さらに、その時には、世界的に野獣の崇拝をさせようとして強い圧力と、迫害が生じていることでしょう。おそらく、山に逃れることは、そうした迫害を避ける方法ともなるでしょう。私たちは適切な時に山に逃れるように助言して下さっているイエスの知恵に感謝できます。


 しかし、山に逃れるべき正確な時期がいつであるかは、まだ聖書の研究を続けて、聖書の預言に対する洞察を深め、さらに聖書の預言の成就となる世界情勢を観察していかなければ分かりません。それは、まだまだ先のことでしょう。まだ何十年も先かもしれません。今の時点でいつかを言うことはできませんが、その時は必ず訪れるでしょう。


 しかし、私たちはその時が来てなくても状況が許す人は、自給自足の生活を試みてみることができます。現代でも、自給自足の生活が可能であることは、それに成功しているグループや人々がいることから分かります。


 世界中にアーミッシュと呼ばれる人々がいます。現代文明を拒否して電力会社の提供する電気や車を使わず、農業をして暮らしています。アメリカ合衆国、カナダ、南米、中米に散在しています。アメリカ合衆国全体に16万人以上のアーミッシュがいるということです。


 彼らはラジオ、テレビ、コンピューター、電話を所持しようとせず、燃料は石炭、照明はガスランプを使っています。そして、さほど大きくない畑に野菜を輪作して自家用の野菜を作っているということです。トラクターや化学肥料を利用せず、牛の糞などを利用した有機農法を行なっているので、畑にはテントウムシがいるということです。


 彼らの農業の技能は非常に高く優秀な農民として評価されています。ある人々は太陽電池を使っています。彼らは手作りのもので食事をし、家族を大事にします。葬式や結婚式のさいコミュニティで互いに助け合い、また困窮した人を助けるシステムも持っていると言うことです。ですから、彼らはお金をあまり持っていませんが、その分を助け合いで補っています。彼らの生活は、聖書に対する信仰に支えられています。


 もちろん、筆者はアーミッシュ生活様式をすべて強制するものではありません。けれども、彼らの例は、現代社会にあっても、自給自足に近い生活が可能であることを示しています。彼らの生活様式は、聖書の描く自然と調和した自給自足の生活に近いと言えるかもしれません。


 また、彼らは政治から離れて宣誓を行なわず、徴兵に応じず絶対平和主義を貫いているということですから、その点で聖書に忠実に従っていると言えるでしょう。


 現代でも、自給自足の生活は可能ですが、そのためには、相互の助け合いが必要であることをアーミッシュの例は示しています。聖書の預言を考慮するクリスチャンは、将来を見据えて自給自足をする仲間を作って行くことが必要でしょう。


〔参考文献〕
アーミッシュの学校  サラ・フィッシャー レイチェル・ストール共著
2004年 論創社

アーミッシュ・キルトと畑の猫  菅原千代志 2001年 丸善株式会社