ダニエル7章・ダニエルの預言の四番目の獣の小さな角

「見よ,四番目の獣,恐ろしく,すさまじく,際立って強いものがいた。・・・十本の角があった。・・・見よ,別の角,小さなものがそれらの間に生えてきた。・・・そして,見よ,人の目のような目がこの角にあり,また大仰な事柄を語る口があった。」(ダニエル7:7,8)


 ダニエルは、バビロンの王ベルシャザルの時に、預言的な夢を与えられました。その夢の中では、海から四つの獣が上ってきました。それらの獣は、それぞれ、バビロン、メディア・ペルシャギリシャ、ローマとそれから派生する諸国家を表わしていました。四番目の獣には、十本の角がありましたが、そこに別の小さな角が生えてきました。この小さな角は何を表わしているのでしょうか。この小さな角についてどんなことが預言されているのでしょうか。


 続く説明によると、小さな角の獣は、殺され、燃える火に渡され、全く滅ぼし去られました。(ダニエル7:11,12,26)聖書の預言は、聖書全体で調和しているはずです。啓示の書では、大いなるバビロンについて火で焼き尽くされると預言されています。(啓示17:16;18:8)それで、この小さな角は、大いなるバビロンを意味しているに違いありません。(大いなるバビロンがどの国家を表わすかについては、カテゴリ「大いなるバビロン」を参照してください。)


 冒頭の聖句にあるように、小さな角には、人の目のような目があり、大仰な事柄を語る口があります。これは、何を意味しているのでしょうか。ヨハネ第一2章16節によると、世にあるものの中に「目の欲望」があります。また箴言16章2節には、人の道が人の目にはどれも浄いと述べられています。それで、小さな角は、目の欲望に基づいて行動するのでしょう。しかし、自分の行動はいつも浄いとみなし、そう主張することでしょう。


 では、小さな角は、どのような大仰なことを語るのでしょうか。啓示16章13節には、大いなるバビロンである偽預言者の口から、悪霊の霊感による表現が出て行き、全能者なる神の大いなる日の戦争に地の王たちを集めることが述べられています。それで、小さな角の語る大仰な事柄の中には、全世界をふたつに分けて争う世界大戦を奨励する言葉が含まれていることでしょう。


 この小さな角が、大いなるバビロンであるもうひとつの理由は、小さな角は、聖なる者たち、すなわち神の民に対して、戦いをしかけ、絶えず悩ますことが預言されているからです。(ダニエル7:21,25)確かに、米国では、1918年にものみの塔聖書冊子協会の役員8人が不当に投獄されたことを始めとして、様々な迫害が行なわれました。小さな角は、聖なる者たちを主の日の始めから悩ましてきました。
啓示17章6節には、大いなるバビロンが、聖なる者たちの血とイエスの証人たちの血に酔っていると述べられています。それで、大いなるバビロンは、神の民を迫害し、その迫害が流血を伴うものになることが預言されています。


 ダニエル7章13節に預言されていた通り、人の子であるイエス・キリストは、神の王国の支配権を西暦1914年に日を経た方であるエホバ神から受け取りました。


 ダニエル7章18節には、至上者に属する聖なる者たちが定めのない時に至るまで王国を取得することになると預言されています。(ダニエル7;27)聖なる者たち、すなわち天的希望を持つ者たちは、死に至るまで、忠誠を保つことによって、天で不滅の霊者として復活させられ、神の王国を取得します。それで、大いなるバビロンの迫害によって命を奪われる聖なる者たちは、それによって敗北するのではなく、王国を受け継ぐことになるでしょう。


 ダニエル7章9〜11節によると、エホバ神は宇宙の至高の裁き主として、大いなるバビロンの記録を調べて、大いなるバビロンを永遠の滅びに価するものとして、裁かれる時が来るのでしょう。その結果、啓示の書に予告されている通り、緋色の野獣と十本の角は、大いなるバビロンを攻撃して、神の言葉を成し遂げることになるのでしょう。(啓示17:16,17)そのため、大患難が生じることになります。(マタイ24:21,22)


 ダニエル7章12節に、残りの獣たちは、一時また一時節のあいだ命を延ばすことが許されたというのは、大いなるバビロン以外の政治国家が大いなるバビロンの滅びの後も、しばらくの間、上位の権威として、存続することをエホバ神から許されることを意味しているでしょう。(ローマ13:1)なぜならば、大いなるバビロン以外の諸国家も、神の民に対して迫害をしますが、その迫害は神の民の命を奪うまでには至らない迫害であることが多いからでしょう。


 大患難が生じることは、大抵の人が望まないでしょう。大いなるバビロンと、諸国家の政府が、神の民を迫害しないことを望みます。


(四つの獣がどの国家を表わすのかということについては、2010年3月1日「ダニエル7章・ダニエルの夢の海から出てきた四つの獣」を参照してください。「聖書の中の野獣」のカテゴリにあります。)