[主の日の預言]啓示6章・全地を駆け巡る青ざめた馬とそれに従うハデス

「見よ,青ざめた馬が[いた]。それに乗っている者には“死”という名があった。そして,ハデスが彼のすぐあとに従っていた。そして,地の四分の一に対する権威が彼らに与えられた。長い剣と食糧不足と死の災厄をもって,また地の野獣によって[それを]殺すためである。」(啓示6:8)


 啓示6章では、子羊イエス・キリストが七つの封印で封印された巻き物を順々に開いてくると、白い馬、火のような色の馬、黒い馬、そして青ざめた馬が走り出します。これは、西暦1914年にイエスが天で神の王国の王権を与えられ、その後、世界的な戦争を表わす火のような色の馬、商人の貪欲によって助長される飢きんを表わす黒い馬、人類の中に生じる恐れや動揺や不安や大きな苦痛を表わす青ざめた馬が全地を走り回ることを表わしています。


 青ざめた馬の後には、ハデスが従っていました。「ハデス」とは何を意味するでしょうか。啓示20章13節には、「死とハデスもその中の死者を出(す)」と述べられていますから、ハデスとはその中に死者が入る墓の領域であることが分かります。


 地の四分の一に対する権威が四頭目の騎士とあとに続くハデスに与えられました。人々が殺される原因となるのは「長い剣と食糧不足と死の災厄」また「地の野獣」です。長い剣とは戦争を表わしています。死の災厄とは何を意味しているでしょうか。新世界訳出エジプト5章3節に出てくる「疫病」の語は、七十人訳では「死の災厄」となっています。それで死の災厄である疫病も人類を苦しめてきました。


 主の日に戦争と疫病はどのように人類の命を奪ってきたでしょうか。第一次世界大戦の「4年にわたる死に物狂いの戦いで2,100万人を超える死者が出たとはいえ,スペイン風邪は約4か月の間にほぼ同数の死者を出している」とサイエンス・ダイジェストは論評しています。スペイン風邪のために世界中で2,100万人が亡くなったとされてきましたが,死者数は5,000万人ないし1億人にも達したであろうと考える疫学者もいます。


 1998年に出された「アメリカの戦争に関する事実」(英語)という本は,第二次世界大戦だけを取り上げて,「ほとんどの文献は,第二次世界大戦の死者(軍人および民間人)の合計を5,000万人としているが,この問題を綿密に調査してきた人の多くは,より正確な数はそれ以上に多く,2倍には達すると考えている」と述べています。この20世紀には戦争による死者の数が,それ以前の400年間に起きた戦争による死者の総数の4倍にも上っています。


 また、ネイチャー誌(英語)の2004年7月8日号は「伝染病が直接の死因で亡くなる人は世界中で毎年1,500万人に上ると見られている」と報告しています。エイズは過去25年間に2,000万人余りの命を奪う大変な災厄となってきました。2004年末の世界のエイズ感染者の数は3940万人とされています。国連その他の組織の支援を受けている国連エイズ合同計画は,「被害が最も深刻な45か国において,2000年から2020年にかけてエイズで早死にする人は6,800万人に上ると予想されている」と述べています。


 地の野獣とは何を意味しているでしょうか。ホセア2章18節では、野獣が比ゆ的な意味で使われているようです。そこでは、エホバは「その日、彼らのために、野の野獣」・・・「に関して、必ず契約を結び,弓と剣と戦いをこの地から断ち,彼らを安全に横たわらせる」と述べられています。文字通りの野獣は契約を結んでも影響を受ける事がありません。それで、野獣とは闘争的で戦争やテロを引き起こす野獣のような人間を表しているでしょう。人類は確かに戦争や食糧不足、疫病、テロ行為などによって命を奪われてきました。


 地の四分の一に対する権威が彼らに与えられたとは、どういう意味でしょうか。この四分の一とは、全地の人々のうち非常に大勢の人が巻き込まれることを示しているでしょう。もし、第三次世界大戦が起きれば、全人類の文字通りの四分の一が戦争や食糧不足や疫病、またテロ行為によって命が奪われてしまうということさえあるかもしれません。


 イエスが第一の封印から第四の封印を開くとケルブの招待に応じて白い馬、火のような色の馬、黒い馬、青ざめた馬が出てきました。それで、西暦1914年にイエスが天で王として即位して以来、悪魔サタンや人間によって引き起こされた戦争や食糧不足が全地で起こり、人類の中に恐れや動揺や不安や大きな苦痛が生じ、戦争、食糧不足、疫病、テロ行為によって全地の多くの人が命を失いました。


 そしてこれからも今の事物の体制が終わるまで赤い馬、黒い馬、青ざめた馬は全地をかけ巡り続けるでしょう。しかしながら、そのことはイエス・キリストが白い馬に乗って勝利の行進をしておられることを意味しています。


 イエスは終わりの日のしるしを予告された後、「これらの事が起こり始めたら,あなた方は身をまっすぐに起こし,頭を上げなさい。あなた方の救出が近づいているからです」と言われました。(ルカ21:28)ですから、そうしたしるしとなる出来事を見る時、神の王国による救いが近いことを知ることができます。


マタイ24章・続々 イエスの臨在とは何を意味するか

啓示6章・主の日に全地を駆け巡る青ざめた馬