列王第一12章・続 エホバ神を怒らせた金の子牛崇拝

「王は相談して,二つの金の子牛を造り,民に言った,『あなた方がエルサレムに上るのは大変だ。イスラエルよ,ここに,あなたをエジプトの地から連れ上った,あなたの神がおられる』。それで彼は一つをベテルに据え,もう一つをダンに置いた。」(列王第一12:28,29)


 イスラエル人がエジプトから救出された直後、イスラエル人は、金の子牛崇拝に陥り、エホバから滅ぼされそうになりました。それでも、イスラエル人は教訓を学びませんでした。イスラエル十部族王国の最初の王ヤラベアムは、自分の臣民が崇拝のために引き続きエルサレムに上るならば、自分に背いて、ユダ王国ダビデの家に戻って行ってしまうのではないかと恐れました。それを妨げるために、二つの金の子牛崇拝を始めました。(列王第一12:26‐28)


 ヤラベアムは、エジプトから出たイスラエル人が子牛崇拝に陥り、滅ぼし絶やされそうになったという聖書の記述を知らなかったのでしょうか。ヤラベアムの行ないは何と不信仰で愚かなことだったのでしょう。


 ヤラベアムは金の子牛の一つを北方の都市ダンに、もう一つをエルサレムの北約17キロの所にあるベテルに設置しました。彼は自分の臣民に、崇拝のためにエルサレムまで上るのは大変なことだ、この子牛はイスラエルをエジプトの地から導き出した神であると告げました。(列王第一12:28,29)そして、ヤラベアムはダンとベテルにある子牛の偶像の前で偽りの崇拝を指導させるために独自の祭司たちを任命しました。(歴代第二 11:13‐15)


 エホバはこの子牛崇拝をとがめ、預言者アヒヤを通してヤラベアムの家の後を完全に一掃するとヤラベアムの家に災いを予告されました。(列王第一 14:6,9,10)そして、預言者アヒヤの予告どおり、バアシャは、王になるとすぐヤラベアムの家の者をすべてを滅ぼし尽くしました。(列王第一15:28,29)それでも、子牛崇拝は十部族王国の中で存続しました。


 イスラエルのバアル崇拝を根絶するために尽力したエヒウ王でさえ、子牛崇拝の存続を許しました。それは、やはり、ヤラベアムのように十部族王国をユダ王国から引き離しておくためだったかもしれません。(列王第二 10:29〜31)


 西暦前9世紀、エホバは預言者アモスとホセアを起こし、子牛崇拝に対して有罪宣告をふれ告げさせ、また十部族王国の破滅を予告させることもなさいました。


 エホバはアモスを通して、ベテルの祭壇に言い開きを求め、祭壇の角が断たれること、ベテルは火によってむさぼり食われることを警告されました。(アモス 3:14;5:5,6)ベテルの祭壇とは、ベテルにあった金の子牛崇拝のための祭壇でしょう。


 北のイスラエルの十部族王国では、子牛崇拝の一貫として子牛に口づけすることが行なわれていました。しかし、ホセアは子牛の偶像がアッシリアに流刑の身となり、アッシリアの大王への贈り物となるために、サマリヤに住む者たちも異国の神の祭司たちも嘆き悲しむことを予告しました。(ホセア13:2;10:5,6)


 そして、西暦前740年に十部族王国はアッシリアの手に落ち、災いは確かに臨みました。北のイスラエルが滅びたのは、確かにその子牛崇拝も大きな原因でした。北のイスラエルは、金の子牛崇拝によってエホバの是認と保護を失って災いを被りました。


 エホバ神は、ご自分に対する崇拝であると主張されても、子牛崇拝という偶像崇拝に対して断固として反対されました。私たちは、エホバを崇拝する助けであると言い訳しても、エホバが偶像崇拝を一切容認されないことを覚えておくべきです。エホバの崇拝の場所にいかなる偶像崇拝の対象となりえるものも置かないように注意深くあるべきです。


 キリストの像、十字架、マリアの像、キリストの絵画など、エホバを崇拝する助けであると主張しても、エホバは偶像崇拝を一切容認されないことを覚えているべきであると言えます。また、神社や仏閣で参拝することも、たとえ、エホバを崇拝していると主張しても、エホバに是認されない偶像崇拝です。







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