エゼキエル21章・エホバは占いを操作することもできる
「一つの道を，剣がアンモンの子らのラバに向かって入って来るように設け，[一つを]ユダに，防備の施されたエルサレムに向けよ。バビロンの王はその分かれ道，二つの道の頭の所で立ち止まったからである。占いをするためである。彼は矢を振った。テラフィムによって伺いを立てた。肝を調べた。彼の右手に占いはエルサレムと出た。」(エゼキエル21：20〜22)
昔、西暦前7世紀に、バビロンの王がふたつの道の分かれ道で、立ち止まって占いをしました。それは、分かれ道のどちらの方向に行くかという占いでした。バビロンの人々は、よく占いに頼る人々でした。
バビロンの王ネブカドネザルもベルシャザルも、分からないことがあると、魔術を行なう祭司，まじない師，呪術者，占星術者たちなどに、助言を求めたいうことが記録されています。(ダニエル2：1，2；5：7)それで、バビロンでは、国家の問題や王の私的な問題を解決するのに、占いに頼る習慣がありました。(イザヤ47:12,13)
聖書は占いの音信の源は、悪霊であることを示しています。聖書には、西暦一世紀に、「占いの悪霊につかれたある下女」が予言を業として、その主人に多くの利益を得させていたことが記されています。(使徒16：16)それで、バビロンの人々は、悪霊から大いに影響を受けていました。
バビロンの王は、占いのために矢を振ったと記されています。後代のローマでは矢で行なう矢引き占いがありました。同じようなものだったのかもしれません。また、テラフィムに伺いを立てました。テラフィムとは、家族神の偶像でした。テラフィムには、等身大で人の形をしたものから、鞍かごの中に納まるような小さなものもありました。テラフィムを通して悪霊の声が聞こえることがあったようです。(ゼカリヤ10：2)
肝を調べるとは、どのような占いでしょうか。古代の数多くの肝臓の粘土製模型が発見されていますが，最古のものはバビロンのもので，吉凶のしるしや占い師の用いた楔形文字の文面を含んでいます。バビロンで発見された肝臓の粘土製模型を調べると、『肝を調べる』慣行は占星術の特別な一面だったことが分かります。ハンムラビの時代のものとされるバビロンのある神殿学校で，肝臓の粘土製模型が見つかりました。その粘土製模型の縁は16の部分に分かれていて，その各々の部分には天の神々の対応する名前が付されていました。ですから，彼らは肝臓を天の縮図的な反映とみなして，神々が自分たちにどのような兆しを示しているかを確かめたようです。
様々な形態の占いのすべては聖書の中ではっきり非とされています。エホバはモーセを通して，他の諸国民の占いの慣行を採用してはならないと繰り返し厳しくイスラエルに警告を与え，こう言われました。「あなたの中に，自分の息子や娘に火の中を通らせる者，占いに頼る者，魔術を行なう者，吉凶の兆しを求める者，呪術を行なう者，また，まじないで他の人を縛る者，霊媒に相談する者，出来事の職業的予告者，死者に問い尋ねる者などがいてはいけない。すべてこうした事を行なう者はエホバにとって忌むべきものであり・・・。」(申命記18：10〜12)
また、新約聖書の中でも、占いなどの心霊術の行ないを「肉の業」と述べて、「そのような事柄を習わしにする者が神の王国を受け継ぐことはありません。」と述べられています。(ガラテア5：19〜21)それでクリスチャンは占いを忌避すべきです。
そして、冒頭の聖句で示したように、バビロンの王は、アンモンか、エルサレムを攻めるか、どちらの道を選ぶか決めるのに占いに頼りました。そして、占いの答えは、エルサレムに向かう道を選ぶようにと出ることになっていました。エルサレムの人々は徹底的に悪くなり、エルサレムがバビロンによって攻撃されることは最終的にエホバの決定となりました。(エレミヤ25：8,9)それで、エホバはバビロンの王の用いる占いを操作してご自分の決定どおりの占いの結果がでるようにされました。
これは、もちろん、すべての占いをエホバが操作されているという意味ではありません。けれども、エホバはご自分の目的が果たされるためには、あらゆる手段を用いられることが分かります。エホバはご自分の目的の達成のために必要であれば、サタンの用いる手段をご自分の目的に従って操作することさえできることが分かります。それで、悪霊よりも、エホバの力の方が勝っていることが分かります。
このことは、現代に関するエホバの預言の言葉は、悪霊や人間がその成就を阻もうとしても、必ず成就するということに対する確信を強めます。
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