サムエル第二13章・性的虐待の犠牲者とならないために
「そこでアムノンはタマルに言った，『慰めのパンを奥の部屋に持って来てくれ。わたしが病人としてお前の手からそれを取るためだ』。それで，タマルは自分の作ったハート型の菓子を取り，それを奥の部屋の兄アムノンのところへ持って行った。 彼女が食べさせようとして彼に近づくと，彼はいきなり彼女を捕まえて言った，『わたしの妹よ，さあ，わたしと寝てくれ。』」(サムエル第二13：10，11)
今日、望まないのにレイプの犠牲になる人は少なくありません。それは、大変悲惨で残念なことです。レイプの犠牲者になる人は妊娠してしまうこともあります。また、レイプの犠牲になる人は辱められ、大きな精神的苦しみが後に残ります。
たとえば、アムノンに犯されたタマルは、その後「その頭に灰を載せ，身に着けていたしま模様のある長い衣を引き裂いた。彼女はその手を頭に置いたまま歩み去ってゆき，歩きながら泣き叫んだ。」と記録されています。(サムエル第二13：19)タマルはそのために心を引き裂かれるような苦しみを味わいました。
アムノンから追い出されるタマル
ではどうやって性的虐待の犠牲者とならないように防ぐことができるでしょうか。また、子供たちが性的虐待の犠牲者とならないようにどんなことを教えたらいいでしょうか。聖書の中に出てくる性的虐待の事例から知恵を汲み取りましょう。
美しいタマルは異母兄弟アムノンにより、近親相姦の犠牲者となってしまいました。ダビデの長子アムノンは、タマルに恋をしました。そして冒頭の聖句にあるように、病気のふりをしてタマルに慰めのパンを作ってもらいタマルと部屋に二人きりになりました。
聖書はアムノンが「彼女に勝る力を用いて、彼女を辱め、これと寝た。」と記録しています。(サムエル第二13:14)レイプの場合は、男性が力づくで女性を辱めることが多いでしょう。力の劣った女性は抵抗しても、防ぎきれないということが多いでしょう。聖書はそのように記録してタマルに同情しています。力づくでレイプされた人は、非は全く相手にあります。
しかしながら、もし、美しいタマルがアムノンと部屋に二人きりにならなければ、レイプされるという悲惨な事態は防ぐことができたかもしれません。親は子供に、配偶者でない異性と部屋や車の中でできるだけ二人きりになるのを避けるように、教えておくことができるでしょう。また、若さに伴う美しさがあると性愛の対象にされることがあるということも教えておくことができるでしょう。
ウリヤの妻バテシバは、イスラエルの王ダビデに王の家に呼び出され、姦淫に陥りました。バテシバは家の屋上で裸になって身を洗っていてそれを見かけたダビデを性的に刺激してしまったのです。(サムエル第二11:2)それで、ダビデはバテシバを王の家に呼び出しました。女性は自分の振る舞いや服装が他の人を性的に刺激しないかどうか省みるのは賢明であることが分かります。露出度の高い服装を着たり、異性のいる家や場所で入浴するなら、異性を性的に刺激してしまってレイプされる原因になるかもしれないことを覚えておくことができるでしょう。親はそうしたことを子供に教えることができます。
ヤコブの娘ディナは、カナン人のシェケムにレイプされてしまいました。どうしてディナはそうした事態に陥ってしまったのでしょうか。聖書はディナは「いつも出て行ってその地の娘たちと会おうとするのであった。」と記録しています。(創世記34:1)その結果、シェケムがディナを見かけてとらえ、犯したのです。カナン人は性的習慣の堕落した民でした。彼らは、結婚関係外の性関係を持つことを何とも思わない人々でした。
ディナは交友に気をつけて聖書の道徳基準に敬意を払わない人たちとの交友を求めることをしなければ、災いを避けることができたかもしれません。
それで、私たちは自分の交わっている人々の道徳基準がどのようなものであるか、注意深くあることができるでしょう。また親は、子供の交わっている人たちの道徳基準に気をつけるように子供に教えることができるでしょう。
アブラハムの甥のロトは自分の娘たちと近親相姦に陥りました。娘たちが父親にしきりに酒を飲ませて、ふたりの娘たちが一晩づつ父親と寝たのです。ロトは、酔っていたので、娘がいつ寝ていつ起きたのか分かりませんでした。(創世記19:33,35)それで、ロトは、酒を飲んでいたので、娘たちと近親相姦に陥っていたのを気づきませんでした。義なる心を持っていたロトは、娘たちが妊娠することによって、そのことに気づいた時、何と苦しんだことでしょう。
ロトの事例から何を学べるでしょうか。アルコールに泥酔すると正体を失って淫行に陥る危険が高くなるということです。交わりにお酒が出された場合、泥酔状態に陥って後で後悔するような行為をしてしまわないように飲酒の量に節度を保つことが必要でしょう。
また、ロトは、自分と娘たちだけという不自然な生活を送っていました。娘たちにとって異性の対象は、父親しかいませんでした。それで、その家族が他の人たちとの交友が限られている場合、近親相姦は起こりやすくなるでしょう。家族外の人との健全な交友関係を持っていることは、近親相姦などの問題に陥らないように助けるものとなるでしょう。
ソドムを訪れたみ使いたちがロトの家に泊まっていた時、ソドムの町の男たちが少年から年寄りまで，訪問者と同性愛の関係を持とうとしてこぞってやってきました。(創世記19:4,5)また、ベニヤミンのギベアでも、旅人がひとりの老人の家に泊まったところ、その都市の全くどうしようもない男たちがその家を取り囲みその旅人と性関係を持とうとしました。結果として旅人のそばめが男たちに夜通し辱められ、死んでしまいました。(裁き人19:22,25,26)
地域によっては道徳的に退廃していてレイプなどの犯罪発生率が高いという評判のある所があるでしょう。そのような悪い評判のある地域は旅行などは避けた方が賢明でしょう。
親は子供に配偶者ではない異性と部屋や車の中でできるだけ二人きりになるのを避けるように教えることができるでしょう。また、異性を性的に刺激するような服装や振る舞いに気をつけるように教えることができます。自分と交わっている人たちの道徳基準がどのようなものか気をつけることも必要でしょう。また、交わりの席でのアルコールの量に気をつけることも教えておくことができます。また、親は、家族外の人たちとも健全な交友関係を持つように取り計らうことができます。また、旅行の際には、レイプなどの犯罪発生率が高いという評判がある地域は避けることができるでしょう。
聖書の事例から知恵を汲み取って当てはめれば、性的虐待の犠牲者になる確率を大いに減らすことができるでしょう。
