伝道の書8章・神を恐れる者は良い結果になる

「罪人が百回悪を行ない,その思いのままに長らえようとも,わたしは[まことの]神を恐れる者たちが[神]を恐れていたために良い結果になることに気づいてもいる。」(伝道の書8:12)


 今の事物の体制は、正しい聖書の基準を守ろうとする者にとって、生きていくのにたやすいとは言えません。誠実に聖書の基準を守ろうとするがゆえに困難に遭遇することもあります。また、罪人が悪を行ない罰を受けずにながらえているのを私たちは見るかもしれません。


 けれども、聖書は神を恐れる者にとって、その神への恐れによって結果が良くなると述べています。エホバはご自分を恐れる者が困難を乗り越えるように助けてくださることを、ヤコブの息子のヨセフの例から学びましょう。


 ヨセフは、族長ヤコブの愛妻ラケルによる息子でした。ヤコブは、他の息子たちに勝ってヨセフを愛しました。そのために、ヤコブの他の息子たちはヨセフをねたみました。(創世記37:3,4)しかも、エホバはヨセフの将来を預言する夢をヨセフに見させました。その夢は、ヨセフが家族の者たちよりも高められることを示唆するものだったので、ヨセフの兄弟たちはますますヨセフを憎みました。(創世記37:8)


 それで、ヨセフは、10代のころに、兄弟たちによりエジプトに奴隷として売られてしまいました。ヨセフは、エジプトのファラオの廷臣で護衛の長であるポテパルの奴隷となり、そこで勤勉に働きました。エホバ神は、ヨセフと共におられ、ヨセフのすることを祝福していかれました。それで、ヨセフの主人であったポテパルはヨセフを信頼して、家の管理をすべてヨセフに任せました。(創世記39:2〜4)ヨセフは主人のポテパルの信頼に答えようと誠実に働いていました。


 ところで、ヨセフは容貌と姿の美しい若者になりました。それで、ポテパルの妻は、ヨセフに言い寄り、ヨセフが自分と寝るようにいつもヨセフを誘惑するようになりました。ヨセフは、主人のポテパルが、自分を信頼してすべてのものを自分に任せているけれども、奥様だけは別だと言いました。そして、「どうしてわたしはこの大きな悪行を犯して、まさに神に対して罪をおかすことなどできるでしょうか。」と述べて、ポテパルの妻の誘惑からいつも逃げていました。(創世記39:8,9)


 ヨセフは、神に対しても、自分の主人のポテパルに対しても、誠実に行動していました。ところが、ある日、いつものようにポテパルの妻が、ヨセフに言い寄り、ヨセフは、そのもとに衣を残して逃げていきました。すると、ポテパルの妻は、その衣を根拠に、ヨセフが自分をレイプしようとしたと、偽ってヨセフを夫に訴えました。ポテパルの妻は、いつもヨセフに拒まれていたので、腹を立てていたのでしょう。









 それで、ボテパルは妻の言葉を信じ、怒ってヨセフを、獄屋に入れました。ヨセフは、神の道徳基準を守ったゆえに、災いを経験してしまいました。ところが、エホバはヨセフが神の道徳基準を守っていたので、ヨセフに対して忠節な愛を示し続けられました。(創世記39:21)エホバは獄中のヨセフと共におられ、エホバは、ヨセフが成功するよう助けられました。そのようにして、ヨセフが獄屋の長の目に恵みを得られるようにされました。それでヨセフは、獄屋にいたすべての囚人の管理を任されました。


 さて、献酌人の長とパン焼き人の長が、ヨセフが囚人となっていた護衛の長の家にある牢屋に幾日か入れられることになりました。ヨセフはそこでふたりに仕えることになりました。その時に、献酌人の長とパン焼き人の長のふたりは同じ晩に共に夢を見ました。ふたりは、その夢の意味するところが分からなかったのですが、ヨセフは、ふたりの見た夢の解き明かしをしました。そして、ヨセフの夢の解き明かしのように事は運びました。献酒人の頭は、三日後に、元の職務の地位に戻り、パン焼き人の頭は、三日後に杭につけられました。


 献酒人の頭は、職務に戻った後、ヨセフのことを忘れてしまったのですが、それから満二年経ってファラオが神から特別な夢を見せられました。しかし、エジプトの魔術を行なうすべての祭司やすべての賢人たちの誰もその夢を解き明かすことができませんでした。その時、献酒人の頭は夢を解き明かすことのできる人としてヨセフをファラオに紹介しました。ヨセフは神の助けによってファラオの見た夢を正しく解き明かしました。そして、獄を出て、エジプトの食糧管理官としてファラオに次ぐ者となりました。


 このように、エホバは、自分を恐れていることを示したヨセフと共におられ、ヨセフに恵みを示し続けられました。そしてヨセフが夢の解き明かしをできるように導くことにより、ヨセフにファラオに次ぐ地位が与えられるようにされました。ヨセフは、夢の説き明かしに従ってますますエジプトで権威を増していきました。


 そして、カナンの土地に飢きんが臨んだ時、ヨセフの兄弟たちはエジプトに食糧を求めてヨセフのもとにやってきました。その時、ヤコブの家族は、ヨセフに敬意を払い、ヨセフが家族の中で高められ、ヨセフが若い頃に見た夢の通りになりました。


 それで、ヨセフは、ヤコブとその家族をエジプトに呼び寄せ、飢きんが続く間、家族に食糧を供給しました。そのようにして、ヨセフは苦難に遭いましたが、家族を生き永らえさせるという良い目的に貢献することになりました。


 私たちは、ヨセフのようにエホバの道徳基準を守る時、今の不義な世の中のために、災いを経験することもあるかもしれませんが、エホバは、神を恐れる廉直な者に忠節に恵みを示し続け、その者から目を離すことなく、廉直な者が災いから助け出されるように導いてくださることが分かります。


 詩編34編19節にも、「義なる者の[遭う]災いは多い。しかし,エホバはそのすべてから彼を救い出してくださる。」と述べられています。確かに、冒頭の聖句にあるように、神を恐れる者は、良い結果になるということが分かります。ヨセフが良い結果になっのは、神を恐れて神の道徳基準を守ってエホバ神との良い関係を失わなかったからでした。


 私たちは、この不義な世界にあっても、エホバを恐れ、エホバに依り頼んで、神の道徳基準を確固として守っていきましょう。そうすれば、エホバの祝福により、最終的には、良い結果を享受できるようエホバがとりはからってくださるでしょう。


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