列王第一19章・エホバは弱ったエリヤに優しくされる

「震動の後に火があった。(エホバは火の中にもおられなかった。)それから,火の後に,穏やかな低い声があった。・・・すると,見よ,彼のための声があって,こう言った,『エリヤよ,何の用でここへ来たのか』」(列王第一19:12,13)

 私たちは弱い人間ですから、エホバに仕えることに伴って生じる問題やストレスのために、死んでしまいたいと願うことさえあるかもしれません。昔、バアル崇拝と果敢に戦ったエリヤも同様に感じました。その時、エホバはエリヤにどのように対応されたでしょうか。
 

 エリヤは、カルメル山上で、バアル崇拝者と対決して、勝利を得、何十人、もしかすると何百人ものバアル崇拝者を処刑しました。ところが、事のてん末をアハブから聞いた王妃イゼベルは、エリヤを殺すと言ってよこします。エリヤは、恐れて逃げました。(列王第一19:1〜3)
 

 エリヤは、普通の感情を持つ人だったと聖書は述べています。(ヤコブ5:17) エリヤはカルメル山上の対決においてエホバから際立った仕方で答えていただき、エホバから大変助けられてはいましたが、たったひとりで何百人ものバアル崇拝者たちと対決するのは、エリヤにとって大きなストレスとなったことでしょう。エリヤは、カルメル山上の対決とその後のイゼベルの脅しによって精神的感情的にへとへとになってしまったようです。


 王妃イゼベルによってイスラエル十部族王国のエホバの預言者は殺され、エホバの崇拝者は残り少なくなっていました。アハブの僕オバデヤは、イゼベルの手からエホバの預言者100人を守って洞窟に隠し、パンと水を与えて生き永らえさせました。(列王第一18:13)オバデヤは、そのことをエリヤに話しましたが、エリヤはオバデヤの言葉を信じなかったようです。エリヤは、エホバの預言者として生きているのは、自分ひとりだと思っていました。そのように考えたこともエリヤの落胆を増し加えました。
 

 イゼベルの脅しを受けて、エリヤは逃げ、荒野への道のりを入っていき、木の下で死ぬことを願って、「これで十分です!さあ、エホバよ、私の魂を取り去ってください。私は父祖たちに勝っていませんから。」と言いました。(列王第一19:4)そして、彼は木の下で寝入りました。
 

 ところが、エホバは弱ったエリヤにみ使いを遣わされました。そのみ使いはエリヤに優しく触れて起こし、エリヤに菓子と水を食べるよう勧めました。そしてみ使いは二度そうしました。その菓子は普通の食べ物ではありませんでした。奇跡的に力をつける栄養物でした。エリヤは、その栄養物から力を得て、それからおそらく飲まず食わずで四十日四十夜まことの神の山ホレブに進んで行く事ができました。
 

 エホバは弱ったエリヤをわざわざホレブ山まで招待して、励まそうとしておられました。エリヤはついにある洞くつに入ったところ、エホバの言葉がありました。その声は、「エリヤよ。何の用でここへ来たのか。」と言います。エホバはそのように尋ねてエリヤの心にあることをエホバに申し述べることができるようにされました。そして、エホバはエリヤに同じ事を二度尋ねられました。(列王第一19:9,13)
 

 エリヤは、「私は万軍の神、エホバのために徹底的にねたんできました。イスラエルの子らはあなたの契約を捨て、あなたの祭壇を壊し、あなたの預言者たちを剣で殺したため、ただ私だけが残ったからです。彼らは私の魂を取ろうとして捜し始めています。」と言って自分の心にかかっていることを申し述べます。(列王第一19:10)
 

 その声は「外に出て、山の上でエホバの前に立ちなさい」と言います。そして、エホバは、さらにエリヤと話をされ、エリヤに重要な任務を与えます。その時に、エホバは弱ったエリヤに対して、穏やかな仕方で現われました。エホバは、大風、震動、火の中などエリヤに脅威を与えるものの中で現われることはされませんでした。そうではなく、エホバはエリヤに穏やかな低い声で話しかけられました。(列王第一19:11,12)
 

 そして、エホバは、ハザエルに油をそそいでシリアの王とし、エヒウに油を注いでイスラエルの王とし、エリシャに油をそそいでエリヤに代わる預言者とするようにという任務をエリヤに与えられました。(列王第一19:15,16)エリヤは、そのようにするならば、バアル崇拝と戦うことに率先する者を増やすことになりました。
 

 エホバは、エリヤが、バアル崇拝者からの攻撃の矢おもてにひとりで立つことから、退けるようにされました。それで、エホバがエリヤに与えた任務によって、エリヤにかかっていた非常なストレスから、エリヤを開放することになりました。


 さらに、エホバはその当時のご自分の崇拝者がエリヤひとりでないことを明らかにされます。イスラエルの中にバアルを崇拝しようとしない者が七千人もいることをエリヤに告げてエリヤを励まされます。(列王第一19:18)


 それで、エホバはそれまでひとりでバアル崇拝者と戦ってきたと感じていたエリヤに対して、非常に優しく接せられたということが分かります。エホバはエリヤの感情と訴えを考慮して、実際的な解決策を与えました。


 エホバは変わらない方です。(マラキ3:6)エホバは私たちの普通の感情に同情してくださいます。私たちがエホバの側に立つならば、私たちが弱ってしまった時に、エホバがエリヤに対してされたように私たちに対して優しく接してしてくださることを信頼することができます。


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