ダニエル6章・ダニエルはライオンの口から救い出される

「わたしの王国のすべての領土において,民はダニエルの神の前におののき,かつ恐れるように。・・・この方は天においても地においても,救助と救出をなし,しるしと不思議を行なっておられる。ダニエルをライオンの手から救い出されたのである。」(ダニエル6:26,27) 


 預言者ダニエルは、バビロンが滅びた後メディア・ペルシャが支配する時代に、迫害を受け、ライオンの穴に投げ込まれてしまいました。けれども、ダニエルは、神によってライオンの口から救い出されました。


 メディア人ダリウスは、王国の上に三人の高臣を立てましたが、ダニエルはその一人でした。(ダニエル6:1,2)ダニエルが際立っていたので、高臣や他の役人たちが彼をねたんで、ダニエルを非とする口実を見つけようとしました。他に口実が見つからなかったので、それらの男たちは神の律法に関してダニエルを非としようとしました。
 

 そこで、これらの男たちは、三十日の間、神にであれ、人にであれ、ダリウス以外の者に誓願する者がいれば、その者はライオンの抗に投げ込まれという法令を制定することを王に求めました。ダリウスはその禁止令に署名しました。(ダニエル6:6−9)
 

 しかし、ダニエルはその書面に署名が行なわれたことを知ると、自分の家に入り、屋上の間でひざまずいてエホバに祈りました。おそらく、この危機を切り抜けさせていただけるように、エホバに助けと恵みを哀願していたのでしょう。ダニエルは自分の家の屋上の間の窓をエルサレムに向けて開いて、日に三度、ひざまずいて祈る習慣がありました。(ダニエル6:10,11)


 彼は、禁令が制定されたのを知っても、定期的に祈ってエホバに頼る習慣をやめませんでした。ダニエルは、この時、禁令を破ってもエホバが保護してくださることを信頼しました。(ダニエル6:23)
 

 そこで男たちが王にそのことを告げました。王は、ダニエルを何とか救い出そうと誠実な努力を続けましたが、いったん制定した法令を変えることはできませんでした。そこで、王の望まないことでしたが、命令を出して、ダニエルをライオンの抗に投げ込ませました。








 眠れぬ夜を過ごした後、王は明け方になって急いで、ライオンの抗に行き、悲しげな声で、ダニエルに呼びかけました。ライオンの抗から、ダニエルの元気な声が返ってきました。「私の神はご自分の使いを送って、ライオンの口をふさがれましたので、これらが私を滅ぼすことはありませんでした。」そして、ダニエルは神のみ前に潔白であり、王の前でも、何も害となるような事を行なっていないと説明しました。(ダニエル6:22)


 この時に、王は非常に喜び、ダニエルを抗から引き上げさせました。そしてダニエルを訴えた男たちをその家族もろともライオンの抗に投げ入れました。ライオンは彼らの骨まで砕いて滅ぼしてしまいました。そして、王は全土に冒頭の聖句のような布告を出しました。


 バビロンに「ライオンの坑」があったことは,オリエントの支配者がライオンその他の野生動物を集めた動物園を持っていたことを示す古代の碑文の証言と一致しています。


 今日、エホバはダニエルをライオンの口から救い出されたようにクリスチャンを迫害や試練から奇跡的に救い出されるでしょうか。今日、そうした保証は与えられていません。イエスは、クリスチャンに関しては、ある人々が迫害によって命を失うことを予告されました。(マタイ23:34)


 しかしながら、啓示の書には、だれも数えつくすことのできない大群衆が大患難から出てくるという預言的な保証の言葉があります。(啓示7:9,14)


 ですから、クリスチャンは個々の人は迫害によって命を失うかもしれませんが、全体としては、ライオンの穴に投げ込まれるような迫害や試練を生き残っていけるようにエホバ神は保護や救出を与えてくださることを信頼することができます。


 私たちもダニエルのようにどんな圧力が加わっても、確固としてエホバの崇拝を第一に続けていきたいものです。



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