アモス7章・預言者のとりなしで滅びが延期される

「わたしは言った。『主権者なる主エホバよ、どうかとどめてください。ヤコブのだれが立ち上がれるでしょうか。彼は小さな者なのです。』エホバはこれに関して悔やまれた。『それもまた起きない』と、主権者なる主エホバは言われた。」(アモス7:2,3)


預言者アモスは、北のイスラエル十部族王国で、「イスラエルは、必ず自分の土地を追われて流刑にされる」と預言していました。(アモス7:11)アモスは、ユダのテコアの出身でした。



Tekoa area, Amos was a herdsman of Tekoa.
アモスの出身地ユダのテコア


エホバはアモスを北のイスラエルに遣わし、北のイスラエルが災いを被るという預言をさせました。(アモス1:1)しかし、エホバはたびたびアモスのとりなしによって、ご自分が宣告した災いの預言を撤回されたようです。


アモス7章によると、エホバは、いなごの大群が地の草木を食い尽くすという幻をアモスに見させたようです。(アモス7:1)アモスは、それがある程度実際に起きた後に、イスラエルのためにエホバにとりなしをしました。アモスは、イスラエル人が小さな民族であり、その災いに耐えられないと言ってイスラエルが滅ぼしつくされないようにエホバの憐れみを懇願しました。(アモス7:2)エホバは、アモスのとりなしを聞かれ、その災いを撤回され、その災いによってイスラエルが滅びることのないようにされました。(アモス7:3)


また、エホバは火によって、イスラエルが荒廃するという幻をアモスに見せられました。これは火事によって、あるいは火のような戦争によってイスラエルを荒廃させるという預言だったのでしょう。(アモス7:4)この度も、アモスイスラエル人のために、その災いをとどめてくださるようにとエホバに懇願しました。エホバ神は、アモスのとりなしに耳を傾けられました。「それもまた起きない」とアモスに確証されました。(アモス7:5)



アモスのとりなしによってイスラエルの滅びは延ばされた


しかし、最終的にイスラエルの荒廃は、西暦前740年にアッシリアによってもたらされ、アモスの預言は確かに成就しました。(アモス7:11,17)それでもアモスがエホバにとりなしをしたので、北のイスラエルの滅びの時は、遅くなりました。


ですから、預言者がある国家について災いを予告する場合、多くの人はそれを聞いてその預言者を不快に思いますが、実際は預言者は、エホバにとりなしをしたり、その民族が悪いことを悔い改めるように働きかけたりして、その災いが遅くなるようにしています。


エホバが、ご自分の預言者のとりなしに耳を傾けられるという例は聖書の中に他にも出てきます。例えば、モーセイスラエル民族が滅びないようにエホバにとりなしをしたので、イスラエル人はモーセの時代には滅びを免れました。(民数記14:17-20)



モーセのとりなしでイスラエルは滅びを免れた


また、イエスも、エルサレムの荒廃を予告されたとはいえ、イエスのたとえ話によると、イエスエルサレムの荒廃が早く来ないようにエホバに嘆願しました。(ルカ13:6-9)


また、啓示の書も天的希望を持つ者たちが大患難が生じないように努力していると述べられているようです。啓示7章1節では、「四人のみ使い」が「地の四方の風をしっかり押さえて」吹かないようにしていました。ここで、み使いと訳されているギリシャ語アンゲロスは、人間の使者を意味することがあります。(ヤコブ2:25)ですから、ここで四人のみ使いと訳されている言葉は、実際には、神の怒りが表わされて大患難が到来することのないように尽力している天的希望を持つ者たちを表していると思います。それで、天的希望を持つ者たちは神の怒りが表されないように祈りのうちにとりなしをします。


エスは、選ばれた者たちすなわち天的希望を持つ者たちの努力のゆえに大患難の時が「短く」され、「肉なる者」が救われる結果になると述べられて、啓示の書が述べていることを確証しています。(マタイ24:22)


アモスは、昔北のイスラエルに災いが臨まないようにエホバにとりなしをしました。その結果、北のイスラエルの滅びの時は遅くなりました。ですから、この終わりの時も、天的希望を持つクリスチャンは人々がエホバと良い関係を持つように助けたり、エホバ神にとりなしをしたりして、大患難の時ができるだけ遅くなり、またその災いが最小限になるように尽力しています。


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