パチンコ中毒(1)−日本の現状と中毒者を助ける組織

 聖書はギャンブルを非としています。(イザヤ 65:11。テモテ第一 6:10。テモテ第二3:4。ローマ6:16)パチンコ中毒に関係する日本の現状と、パチンコ中毒に対処する助けとなる組織について紹介したいと思います。


                       パチンコ大国日本


 日本は、ギャンブル大国です。西暦2011年に、日本全国にあったパチンコ店パチスロ専門店等の総数は12,323軒でした。(警視庁調べ)。パチンコ参加人口は約1670万人(西暦2010年)です。パチンコ店の年間売り上げは全店で19兆3800億円(西暦2010年)でした。


 西暦2010年一人につき年に平均約116万円をパチンコに使っている計算になります。(全店売り上げ額と参加人口から)。



Pachinko King by Stéfan(pachinko5)
パチンコ店は全国に一万二千軒以上ありパチンコ参加者一人当たり年間116万円を費やしています
パチンコ業界は巨大な業界であり日本はパチンコ天国になっています



 また、ユニクロの年間売り上げは5000 億円ですが、パチンコ業最大手のマルハンの売り上げは2兆です。いかに、パチンコ業界の規模が大きいかが分かります。


 あるデータによると日本人は過去20年で540兆円をパチンコに費やしました。その金額は、2011年度の国家予算(92兆円)の約6倍、2010年の名目GDP(国内で、1年間に新しく生みだされた生産物やサービスの金額の総和)479兆円を超えています。


パチンコに日本人は20年で540兆円使った-幻冬舎新書-若宮
   

 2009年の厚生労働省による調査結果によると、日本の成人男性の9.6%、女性の1.6%、全体平均で5.6%がギャンブル依存症です。これはアメリカの0.6%、マカオの1.78%などと比較して極めて高い数値です。


 長年、パチンコ業界について調査してきた人は、日本では、警察、メディア、広告がパチンコ業界と癒着していると言っています。日本ではパチンコ人口が多いので、パチンコ中毒になっている人はあらゆる分野の人にいるでしょう。


 20兆円のパチンコの売り上げで、もし200万円の車を買うとしたら1000万台の車が買えます。多くの人がパチンコ中毒から抜け出したら、消費も伸びることでしょう。


 2009年の国勢調査推計からすると、559万人がギャンブル依存症と計算されています。あるギャンブル依存症のカウンセラーは、パチンコでの借金による自殺者が年間3000人から多くて10000人ではないかと考えています。


                        パチンコ中毒に陥っている階層
 
 日本では、病的賭博の問題に陥っている人の約半数がパチンコ中毒であり、近年は女性や年金受給者でパチンコ中毒に陥る人が増えていると言われています。また、東日本大震災の被災地でパチンコ店が繁盛しているという事実があるようです。


                      パチンコ依存のもたらす社会問題
 
 パチンコ中毒でさまざまな問題が生じています。パチンコ中毒によって、主婦であるなら、家事をなおざりにする場合が多いです。(箴言31:27)また、夫であれば、パチンコ店に入り浸って家族と時間を過ごさなくなる人が少なくありません。そのため、パチンコ中毒者と配偶者との関係が冷え込むことになります。


 そのようにして、パチンコ中毒者が失業や家庭崩壊に陥ったりすることがあります。私も身近にもパチンコのために離婚になった人を幾人も知っています。親はそれぞれパチンコをすることやパチンコ依存者が引き起こす問題に対処することで頭が一杯で、子育てを放棄したり、子供に八つ当たりすることがあります。(コロサイ3:21)


 このような境遇に置かれた子供は成人後、対人関係障害、抑うつ、親としての機能障害、依存症などの問題を抱えるケースがあります。


 また多くの人が借金を抱え、多重債務、破産に陥っています。(箴言22:7)また借金がどうにもならなくなり、自殺する人がいます。また、パチンコ資金を得るための犯罪が数多く発生しています。



Pachinko by bargenson (pachinko)
パチンコ中毒は家庭崩壊・失業・借金・犯罪・自殺の問題を引き起こしています


 また、パチンコ中毒者は、はじめに自分の収入や財産を注ぎ込みますが、それが底をつくと親や配偶者の収入や財産に手をつけるようになります。さらに、消費者金融などに借金を作って取り立てにあい、配偶者に経済的精神的な負担がかかることがあります。


【若宮健】パチンコに溺れる日本、全廃した韓国[桜H23/1/20]

         
              ゲームセンターでの若者のパチンコ中毒


 風適法という法律によってパチンコ店には18歳未満の立ち入りが禁止されています。しかし、ゲームセンターには時間帯の規制はありますが、18歳未満の立ち入りは禁止されていません。多くの若者はゲームセンターでパチンコに夢中になります。
           

                 台湾や韓国ではパチンコ禁止


 1994年台湾の台北ではパチンコ店が法律で禁止になりました。韓国では、2006年に韓国版パチンコメダルチギを全廃にしたそうです。韓国でも、コンビニよりも多い1万5000軒のパチンコ屋があり、夜通し営業していました。日本円にして3兆6500億円の規模まで大きくなっていました。


 韓国では、新聞が社説でパチンコの問題を痛烈に批判したために、パチンコ反対の気運が盛り上がり、全廃にまでこぎつけたということです。 その後、韓国では消費が伸びました。
 また、兵庫県・芦屋市ではパチンコ店を規制する条例を作ったためにパチンコ店が一軒もないそうです。ですから、努力をすれば悪習は克服できるはずです。


 ところが、日本の新聞で、パチンコ業界を批判する記事を、私は個人的に見たことがありません。また日本のTVでも、パチンコ依存症による犯罪が多発しても、ほとんど問題にすることはありません。それどころか、毎日のようにパチンコ店のCMが見られます。



Pro-Celeb Pachinko by psd (pachinko3)
毎日のように流されるパチンコのCMが新しい中毒者を産み出しています
パチンコ中毒者の犯罪はほとんど問題にされません
           

                 パチンコ中毒に立ち向かう自助グループ


 1989年、東京で、GA(ギャンブラーズ・ アノニマスGamblers Anonymous)が誕生しました。「アノニマス」には、「匿名の」という意味があります。GAは無名の強迫的ギャンブラーとして、それぞれの人が参加する自助グループです。


 GAの目的は、ギャンブルをやめることであり、ほかの強迫的ギャンブラーもギャンブルをやめることを手助けすることです。現在、45都道府県で136のGAグループがあり、活動を行っています。家族や友人も出席できるミーティングもあります。
 

 多くの人が、GAのミーティングがパチンコ中毒の克服に有効だとして、その会合に行くことを勧めています。GAは、最初はアメリカのクリスチャンによって始まりました。それで、GAは基本的にキリスト教がその考え方の基礎にあります。


 GAは、神に頼ることにより、また仲間との支え合いによって、ギャンブル中毒を克服し続けようとしています。GAは、ギャンブル中毒が精神的霊的な病気だという認識を持っています。GAは非営利団体で、100円か150円の低額で冊子を発行しています。


 GAの宗教的信条とわたしが聖書について信じていることは、すべて一致しているわけではないと思いますが、パチンコ中毒を神に頼ることと相互の励ましあいで克服しようとしていることは、基本的にいいことだと思います。
               

                           別の援助組織


 認定NPO法人ワンデーポートは、一年もしくは二年入所することによって、ギャンブル中毒者を助ける回復支援施設です。このグループは、GAとは違った問題の取り組み方をしています。例えばグループミーティングで益を得られない人もいると考えています。


 ギャンブルについてGAとは違い病気だとは考えていません。ワンデーポートは、グループセラピー、個別相談を通じ、中毒者を助けています。また、ギャンブルに問題を抱える人に就職支援をしています。


                           エホバの証人
 
 エホバの証人は、大会や集会、家庭聖書研究、出版物を通して聖書が賭け事を非としていることを人々に教えています。


目02 7/22 9–11ページ「ギャンブルのわなを避ける」


 次回も、パチンコ中毒について取り上げたいと思います。